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キレ増したのは減量のおかげ? 明治大学・箸本龍雅のモデルチェンジ。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
今後、縦への推進力がさらに増すか。(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 明治大学3年の箸本龍雅は、東福岡高校時代に高校日本代表のキャプテンを務め、昨季は20歳以下日本代表でもプレーしたロックである。22季ぶりの大学日本一に輝いて迎えた今季は、球をもらってスペースへ駆け込む、迫りくる防御をセンチ単位でかわす、鋭い出足でタックルを放つなどといった、動きの一歩目の鋭さが増しているような。その背景を本人が明かす。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――春から夏にかけての試合では、シャープなプレーぶりが目立ちました。

「いま、体重をめっちゃ絞っていて。春は113くらいあったのを106くらいにしていて、自分の動きやすい身体になってきた感じがあります。それがスピードに(表れているかもしれない)。トップリーグの練習に参加させてもらった時、自分の持ち味はパワーよりもスピードだ、もっと動けるようになりたいと思いました。そこで栄養士さんにも教えてもらっていました。朝はしっかりと食べる。他に言われているのは、3時間おきの栄養補給。お昼と夕食の間に時間が空くので、その時もタンパク質を摂ってお腹が空いた状態をなくそうとしています。それは、メイジの選手全員が言われてもいます。

 空腹状態が続くと、筋肉が落ちてしまう。食べ過ぎると脂肪が増えるのでバランスは難しいですが、とにかく(3時間おきの栄養補給を)意識しています。(普段は)炭水化物を減らしましたが(全体的な)食事量は減らさず、バイクなどの有酸素運動を増やしています。暇なら散歩に行くなど、トレーニング以外でもちょっとした動きを入れています」

――スピードと言えば、年代別代表で出会った里大輔スピードコーチのトレーニングを自主的におこなってもいます。

「5月くらいに愛知に行かせてもらう機会があり、その時にもう1度(静岡聖光学院で指導する)里さんにも会いました。(それまで意識が)薄れてきていたんですけど、自分にとって使えるスキルを再認識し、力を入れるようにしていました」

――先ほどお話ししたように、春先は進路先候補にもなりそうなトップリーグの強豪クラブで練習参加もしました。得たものは。

「チームのトレーニング時期に行かせてもらい、身体の強さ――速さもなんですが――は、これから絶対に強化していかなきゃいけないと感じました。自分がどうすれば強く成れるかを考えた時、もっと速く動く(ことが大事と感じた)。スピードを上げれば、(相手にぶつかる際の)パワーも高まる。そこで、絞ろうかなぁというイメージが出てきました」

――春季大会では本職のロックと同時に、ナンバーエイトとしてもプレーしました。将来を見据え、複数ポジションに挑みます。

「エイトがいつも考えないようなエイトの仕事について考えてしまい、普段の自分のプレーに対しても消極的になっていた。これからもバックロー(フォワード第3列。ナンバーエイト、フランカーの総称)で出るチャンスをもらえると思うので、ミスに消極的にならず、強みを出していきたい。色々なポジションをやることでプレーの幅が増えた感じはした。もっとバックローでやっていきたいです」

――2023年のフランス大会を見据え、日本代表入りを目指していそう。

「はい。入りたいです」

 春シーズンの明治大学は、春季大会Bグループを制すると同時に帝京大学(一昨季まで大学選手権9連覇)との招待試合も制し、好調を維持。それでも田中澄憲監督は選手交代後の連携などを課題に挙げるなど、向上心を保つ。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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