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ベン・ガンター、今年中の日本代表入りは不可? 「つい最近わかったのです」【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
侍を意識したヘアが特徴的(著者撮影)。

 ベン・ガンターのワールドカップ日本大会での日本代表入りが叶わない見込みであることが、5月29日、本人への取材でわかった。オーストラリア出身でタイ国籍を持つガンターは代表資格取得前からラグビーワールドカップトレーニングスコッドの一員となり、同代表入りを目指していた。

 現在21歳のガンターは身長189センチ、体重118キロの筋骨隆々のボディと俊足の持ち主。来日初年度の2016年10月30日には、パナソニックの一員として当時の国内トップリーグ最年少出場を記録している(19歳6日)。

 今季は日本代表と連携を図るサンウルブズに加わり、国際リーグのスーパーラグビーに初挑戦。フォワード第3列として下働きで光った。チーム戦績を2勝11敗とするなか、今年の代表デビューも期待された。「国内連続居住3年以上」という条件をクリアして代表資格を得られるのは、今年7月と見られていた。

 取材に応じた際は、6月1日のスーパーラグビー第16節(対ブランビーズ、東京・秩父宮ラグビー場)への意気込みも語った。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――シーズンが大分、深まってきました。チームの状態は。

「いい1週間の準備ができています。今週は月曜から水曜にかけ3日連続で練習を行い、明日1日のオフを経て、明後日の金曜にキャプテンズラン(前日練習)。選手としてはフレッシュな状態で試合に挑めます。シーズン序盤などは2日練習して1日オフで2日練習してという形でしたが、リーダーシップグループとコーチ陣との話し合いで『こういう(今回のような)日程もいいのでは』というアイデアが出ました」

――ブランビーズ戦に向け、改善点は。

「ディフェンスで前に出て相手の勢いを止める。これを80分間、継続してできるようにしたい。アタックではパニックにならずシンプルにすべきことをして、逆に勢いをつけてプレーしたいです」

――スーパーラグビー参戦初年度。

「すごく信じられないようなシーズンを過ごしています。以前はスーパーラグビーでプレーすることはないだろうと思っていたので。今季、新しい選手やコーチから学ぶことが多い」

――日本代表候補に相当するラグビーワールドカップトレーニングスコッドのうち複数名が、6月からの代表合宿に備えサンウルブズを離脱しました。

「今年はスーパーラグビーの後にワールドカップがある大きな年です。(離脱する)彼らはノンストップでラグビーをしてきたので、合宿合流前にはリフレッシュも必要。ブレイク後は、ワールドカップ。日本代表には頑張ってもらいたいです」

――ご自身もラグビーワールドカップトレーニングスコッドのひとり。本来であれば、宮崎合宿に加わりたかったのでは。

「自分もできればそうしたかったですが、日本代表資格を得るにはもう1年いないといけなかったので」

――そうなのですか。もともと、今季中の代表資格取得が可能だったとの認識でしたよね。

「そうですね。ただ、つい最近、ワールドカップ前の資格取得が無理だとわかったのです。まぁ、日本代表のバックローは素晴らしい選手ばかりなので、彼らがいい仕事をしてくれると思います」

――日本代表になりたい気持ちは、変わらないですか。

「はい。今回は残念ですが、私はまだ21歳。今後なれたらいいですね。(日本語で)アリガトウゴザイマス!」

 統括団体のワールドラグビーは、「当該国へ36カ月以上連続居住」などの条件を満たせば海外出身者でも他国代表になれると認めている。もっとも関係者によれば、規定に関する取り締まりは年を追うごとに厳しくなっている。ガンターの件も、本人の言葉によれば一時帰国した期間などが「連続居住」にカウントされなかったと見られる。似た理由で日本代表入りが叶わなそうなサンウルブズの選手は、他にもいる。

 2020年以降は「連続居住」の期間が「60カ月以上」となるだけに、他国の選手を代表入りさせる協会にはこれまで以上の交渉力が求められそうだ。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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