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サンウルブズの山下裕史、「駒なので」の決意。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
ニュージーランドのチーフスにも在籍歴あり(写真は著者撮影)。

 ラグビー日本代表候補の山下裕史は5月25日、国際リーグのスーパーラグビーの第15節にサンウルブズの右プロップとして先発予定。オーストラリアのレベルズとの対戦に向け、24日、試合会場となる東京・秩父宮ラグビー場で意気込みを明かした。

 山下は身長183センチ、体重120キロの33歳。日本代表としてはワールドカップイングランド大会などで51キャップ(代表戦出場数)を記録。スクラムでの安定感や強烈なタックル、明るいキャラクターが魅力的だ。

 

 今回の取材では、アイルランドから途中加入のコナン・オドネルについても言及した。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――次はレベルズ戦です。

「相手は大きいフォワードが多く、スクラムもしっかり組めるチーム。ラインアウトモールにも注意したい。どこのチームもそうですが、相手フォワードの勢いを殺すのが大事。

 あとは(ここまでのサンウルブズは)反則が多くてリズムに乗れず、相手をリズムに乗らせてしまう。いかに反則をなくせるか、です。サンウルブズのラグビーを80分間できれば。相手もあることなので流れが傾くことはありますが、そこを修正できればいい戦いはできる」

――惨敗した試合でも作戦に沿ってチャンスは作っている。

「(チャンスを仕留めるまで)もうひと頑張り、ボールキープできるか。ここが重要かなと。色々な人種が集まっている。チームの一体感は悪くはないのですけど、一番根っこの根性、しんどい時こそ出る…(粘り)というのは(もっと必要)」

――日本代表候補として。他の選手たちがジェイミー・ジョセフヘッドコーチ率いる「ウルフパック」で活動するなか、山下選手は一貫してサンウルブズでプレーしました。

「駒なので、つぶれるまでやります。何がアピールになるかはわからないですが、与えられたところでやるだけです。あまり、ワールドカップは見えないです」

――要は、目の前の戦いに集中している。

「とにかくホームで、勝ちたいですね。今季はまだ(ホームで)勝っていないんで。昨季までのサンウルブズのメンバーはそれを味わえているんですが、それを(自身も)どうにか味わいたいです」

――山下選手以外の日本人選手は随時入れ替わっています。コンビネーションが肝となるスクラムでは、難しさがあるのでは。

「ウルフパック(日本代表候補)から選手が来る分には問題ないです。ただ、コナン(・オドネル=途中加入のアイルランド人選手)を同じマインドにもっていくには説明が必要で、組んでいかないとわからないことです。(自身が3番=右プロップなのに対し)彼は1番(左プロップ)。強いですよ。同じ三上正貴、パウリアシ・マヌが色々と教えているんじゃないですか」

――日本代表はワールドカップで、オドネル選手の母国であるアイルランド代表と戦います。難しさはありませんか。

「それは関係ないでしょう。同じチームで、同じフィールドなら。関係ないです!」

 9月のワールドカップ日本大会、さらには6月からの日本代表合宿へ視線を向ける前に、今度の80分に心血を注ぐ。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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