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帝京大学に勝った明治大学は、なぜ早稲田大学に負けたのか。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
写真は春季大会時。左端が福田。(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 前年度19シーズンぶりに大学選手権へ出場した明治大学は、今季の関東大学対抗戦Aを4位で終えた。

 12月2日、東京・秩父宮ラグビー場。早明戦と呼ばれる早稲田大学との最終戦を27-31で落とした。終盤に連続でトライを奪うなど追い上げたが、防御の乱れから一時は13-31と差をつけられていた。

「…は私のプランだったので…」

「結果論ですけど、あそこもゲームのターニングポイント」

 公式会見に出た田中澄憲監督、福田健太キャプテンは、反省の弁を述べる。

 今季は昨季ヘッドコーチとなった田中新監督のもとフィジカリティ、勤勉さを磨いた。大学選手権9連覇中の帝京大学には春季大会、夏合宿中の練習試合、秋の関東大学対抗戦で3連勝。ファンの期待値を高めていた。

 もっとも11月4日には慶応義塾大戦を落とすなど、力を出し切れないゲームもゼロではない。12月16日から参戦の大学選手権ではさらなるバージョンアップが求められるが。

 以下、共同会見中の一問一答の一部(編集箇所あり)。

 

田中

「結果としては悔しい敗戦。早稲田さんのアタック、ディフェンスともに素晴らしかった。明治としてはちょっと、前半、堅くいきすぎた(フォワードでの縦突進でボールをキープしてから、外へパスを回す攻め方を指す)。これは私のプランだったので、私の責任だと思います。後半、ボールを動かしだしてからトライを返し、伝統の一戦らしい試合にはなった。後半にやったようなアタックを大学選手権に向けて磨いていくしかない。一戦、一戦、チャレンジしていくしかない。また八幡山でいい準備をしたいです」

福田

「明治ファンの方、早稲田ファンの方、大勢の方の前でプレーできたことはよかったです。内容に関しては、早稲田さんのアタック、ディフェンスに完敗したなという印象です。ボールを動かしてからはトライが取れたので、もうちょい早くボールを動かせればよかったかなと。あれだけ点差を離されると、ラグビーではどうしてもきつい部分がある。80分を通したゲームメイクを、僕自身もチームも学ばなきゃいけないと思いました。対抗戦優勝は逃しましたけど、これからいい準備をする。大学日本一になれるチャンスはあるので、もう1回、チームとしてレベルアップしたいです」

――攻めきれなかった場面について。

福田

「ただ単に早稲田のタックリルしてからの起き上がりが速かった。アタックをしていて、分厚さを感じました。ただアタックできないわけではなかった。もっとアタック整備して、真正面に当たりにいかないで、ずらしてゲインラインをちょっとずつ切るようにすれば持ち味のアタックができた。あとはもっとセット(ポジショニング)を速くできた。そこも反省点です」

――4点差を追う後半11分頃、敵陣ゴール前でペナルティーキックを獲得。ペナルティーゴールを狙って1点差に詰めようとするのではなく、スクラムを選んでトライなどによる逆転を狙いました。結局、そのスクラムで反則を取られてトライが取れませんでした。

福田

「拮抗した試合で3点を積み重ねることの大切さは重々わかっていて、ショットの選択肢も持っていたのですが、スクラムに自信があったので、セーフティーリードを奪いたいというフォワードの思いもあって、最終的に僕がスクラムで行こうと判断した。

 結果論ですけど、あそこもゲームのターニングポイントだったかなと思います。あそこでペナルティーをもらわないようにしっかりスクラムを組むことも大切だし、ゲームの流れを読む大切さを学びました」

――防御のリンクが切れた時もあった。なぜか。

福田

「セットアップが遅かったかなと思います。ゲインラインを簡単に超えられているというわけではなかったので、(早めに防御網をセットすることで)前を見て(いればよかった)。裏とダブルラインでリンクしている部分が多かったのは、試合の序盤からわかっていた。速いセットをしてラインスピードを上げるということが我々に欠けていて、フォワードとバックスのギャップのところを走られたかなと思います」

田中

「コネクションが切れてしまった。特に外のプレーヤーの判断、コミュニケーションはもっと整備していかなきゃいけないと思います」

――フルバックの山沢京平選手が欠場。背景と影響は。

田中

「体調が万全ではなく、出せる状態ではないので、外しました。(影響は)どうですかね。(代わりの)雲山(弘貴)もルーキーで初先発。彼なりに思い切りよくやってくれた。2対1の場面で放れないというところもありましたけど、強気のプレーをするのは彼の財産になる。いい経験をしたと思います」

――チームの成熟度は想定通りか。

田中

「成熟度が計画通りかと言われれば、計画通りではないと思います。望み通りにはなっていませんので。大学選手権に向けてはもう1回、細かいところ(を見る)。前半はコミュニケーションが遅く、誰がボールをキャッチするのか? というプレーがいくつか見られた。そういう細かい部分を突き詰めるのがこれから大事になる」

――大学選手権へ。16日に大阪・キンチョウスタジアムで立命館大学とぶつかります。

福田

「立命館のビデオをじっくり見ていないので細かいことは言えないですが、そこは僕らもいい準備をして臨みたい。東海大学も夏合宿時と比べて武器のモールなどで成長を感じるので、強みを出させないようにいい準備をする。まだここは終わりじゃない。選手権では早稲田や慶応にチャレンジできる(4強入りすれば、早稲田大学や慶應義塾大学と対戦する可能性がある)。いい準備をしていきたいと思います」

田中

「目標に向けて、一戦、一戦、しっかりやっていくこと。目標とは何かもチームに再確認する。何が足りないのかをチームで共有する。さっきも言いましたけど、細かい部分を突き詰めていく」

 会見で質問のあった後半11分頃の場面は、それ以前のスクラムを押しまくっていたことがペナルティーゴールを選ばない決断を後押ししたか。そのため福田は「結果論ですけど」と前置きして「流れを読む大切さを学びました」という。

 防御のつながりなどの「細かい部分」は、未完成というよりも試合によって精度にばらつきがある印象。パフォーマンスを高値安定させるべく、陣営が打つ次の一手は何か。22年ぶりの日本一奪還に向け、ますます注目される。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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