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東海大学→チーフスのアタアタ・モエアキオラ、サンウルブズから誘われなかった?【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
日本代表3キャップ保持。(写真:築田 純/アフロスポーツ)

 東海大学ラグビー部4年のアタアタ・モエアキオラが、ニュージーランドの強豪プロクラブであるチーフスと契約。国際リーグであるスーパーラグビーの2019年シーズンに挑む。

 トンガ出身で目黒学院中学、高校を卒業したモエアキオラは、東海大学2年時に日本代表デビュー。身長185センチ、体重113キロの体躯でスピード、突進力、フットワークに長ける。

 おもにウイングやアウトサイドセンタ―などでの活躍が期待されていて、スーパーラグビーシーズン終了後は国内トップリーグの神戸製鋼に合流の見込み。神戸製鋼とチーフスは提携関係にあり、元ニュージーランド代表コーチのウェイン・スミス現神戸製鋼総監督はチーフスでもディベロップメントコーチの経験がある。

 スーパーラグビーにはサンウルブズが日本代表の兄弟チームとして加盟も、代表定着を目指すモエアキオラが今回入ったのはラグビー王国のビッグクラブ。11月10日、関東大学ラグビーリーグ戦1部のゲームがあった東京・秩父宮ラグビー場からの帰り道、本人が心境を語った。

 以下、単独取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――チーフス入り。率直に感想を聞かせてください。

「嬉しいです。夏には話がきて…」

――日本代表とリンクするサンウルブズというチームがあるなか、チーフス入りを決断したわけは。

「とりあえず(トップレベルでプレーする)チャンスが欲しいなか、先にチーフスが声をかけてくれたので。サンウルブズで日本代表入りへアピールするチャンスも欲しかったのですが、先に来たチーフスの話を断ったらもったいないと思った。迷わずに、決めました」

――その後、サンウルブズからのアプローチは。

「いや、来ていないです」

――チーフスは、東海大学の先輩で日本代表キャプテンのリーチ マイケルさんも在籍経験がある。どんなイメージですか。

「もともと、小さい頃からニュージーランドのラグビーに憧れがあって。(当時は)ニュージーランドのチームに行きたかった。そこに行って成長できるチャンスはあると思う、ということもあって(今回の決断に至った)」

――チーフスに行っても、ジャパン入りへのアピールはできます。

「まずは試合に出てアピールしないと、選んではもらえないと思います」

――目標はチーフスでのレギュラー入り。

「そうですね。日本代表に見てもらえるように、自分のプレーをアピールしたいです。ポジションは、向こうで決めてくれるとは思いますが、とにかく(どの位置でも)試合には出たい」

――この日の法政大学戦は怪我で欠場しました。25日の大東文化大学戦に向け、状態は。

「大丈夫です!」

 一般論として、環太平洋諸国の有望なラグビー選手は近隣の強豪国であるニュージーランドなどでのプレーを渇望する傾向にある。トンガカレッジを経て15歳で来日のモエアキオラもその意思があったようで、日本で成長した選手として憧れの国に挑む点が注目に値する。

 今度の証言によれば、日本代表スタッフも選考に携わっていると見られるサンウルブズが、モエアキオラの獲得を見合わせていたこととなる。日本代表のジェイミー・ジョセフヘッドコーチは、国内シーンで活躍する選手の抜擢に慎重を期す傾向にある。今年は、早稲田大学を経てジャパンAで活躍の齋藤直人を「大学でプレーしていた選手をスーパーラグビーでプレーさせるのはフェアではない(当時はジョセフがサンウルブズを指揮)」と評したこともある。

 もっともモエアキオラは規定上、原則的には他国代表になれないため、チーフス入り後も日本代表定着を目指してゆくだろう。

「日本代表に見てもらえるように、自分のプレーをアピールしたいです」

 昨季プレーオフ入りしたチーフスでの活躍が期待される。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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