Yahoo!ニュース

サンウルブズMVPのマイケル・リトル、活躍した手応えは?【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
写真中央がリトル。防御の隙間を何度もかいくぐった。(写真:アフロ)

 国際リーグのスーパーラグビーに日本から参戦3シーズン目のサンウルブズにあって、出色の働きを示したのがマイケル・リトルだ。身体接触の多いインサイドセンター、アウトサイドセンターとして計13試合に出場した。

 シーズン5位以内を目指したチームは、3勝13敗で最下位に終わった。選手の入れ替えを余儀なくされる事情、一部首脳陣と選手との歩調の乱れなどに苦しんだ。もっとも群馬県で幼少期を過ごしたニュージーランド人のリトルは、身長183ンチ、89キロと小柄ながら鋭さと強さをにじませる突破で存在感を発揮。地元のオークランドではブルーズ入りを逃してスーパーラグビーから遠のいたが、昨季加入した三菱重工相模原でのプレーぶりが買われてサンウルブズで戦うチャンスを掴んだ。

 7月15日、都内で共同取材に応じ、今季の活躍と来季以降の展望、期待される日本代表入りへの思いを語った。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。 

――スーパーラグビーで戦える自信は、デビュー前から抱いていましたか。

「自信がないと、スーパーラグビーでは戦えない。その意味では、自信がありました」

――通用するプレーをいくつも見せたと思います。シーズンを過ごす中で感じた手応えは。

「楽しんだ結果です。その瞬間、瞬間は何も考えていません。ただ、大好きなことを思い切りやっているだけです。他の選手もそうだと思いますが」

――サンウルブズの美点について。

「ボールインプレーと機敏さ、素早さ、どこからでも楽しんでボールを動かすスタイルです。見ていて楽しいラグビーをしていると思いますし、その一員であることは嬉しいです」

――サンウルブズにおける自らの役割。

「ハードワークすることです。才能あふれる選手が周りにたくさんいるので、そのなかで自分なりのプレーをする。そこで運が良ければラインブレイクができますし、運が悪ければつぶされます。ボールを持って走るのは得意です」

――相手をたくさん抜き去っていました。コツはあるのですか。

「決して大きな選手ではないので、フットワークを使う。安定性、バランスは、あると思っています。ジムでめちゃくちゃ重いバーベルを上げられるわけではありませんが、機敏さでベストを尽くします」

――参考にする選手は。

「(オーストラリア代表経験者の)マット・ギタウ、ベリック・バーンズ…。ニュージーランド人がこの2人の名を挙げるのはおかしいのかもしれませんが、決して体格が大きいわけではない10,12番の選手(は参考にしている)。コンラッド・スミス(元ニュージーランド代表)もそうですね。いろんな選手に憧れていました」

――将来について伺います。規定上、希望する日本代表入りは当分、果たせません(国内居住3年以上)。血縁や出生地の関係でフィジー代表やイタリア代表になる資格もお持ちだと思いますが、気持ちは揺れませんか。

「それに答えるのは難しいですが、来季はサンウルブズでプレーします。サンウルブズで、日本代表選手をサポートしていくのは間違いない。いつか、桜のジャージィに袖を通したい」

――他国からのラブコールは。

「ないことはないです。揺れている状態ですし、何の契約もしていませんが、(日本代表入りを)断る理由はありません」

 幼い頃に日本で済んでいたのは、ニュージーランド代表だったウォルター・リトルが三洋電機(現パナソニック)でプレーしていたため。いまは、この「第2の故郷」とも言える国で才能を開花させている。

「どのチームであろうが、ラグビーができる喜びは一緒です。ラグビーができてありがたいし、恵まれていると思っています。ニュージーランドだろうが、日本だろうが、いるチームのためにベストを尽くすだけです」

 2019年のワールドカップ日本大会時は、まだ日本代表資格を得られない。もっとも2023年の同フランス大会の頃には、桜のジャージィを着ることもできる。決断が注目される。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

すぐ人に話したくなるラグビー余話

税込550円/月初月無料投稿頻度:週1回程度(不定期)

有力選手やコーチのエピソードから、知る人ぞ知るあの人のインタビューまで。「ラグビーが好きでよかった」と思える話を伝えます。仕事や学業に置き換えられる話もある、かもしれません。もちろん、いわゆる「書くべきこと」からも逃げません。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

向風見也の最近の記事