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サンウルブズ姫野和樹、レッドカードへの対応を悔やむ。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
日本代表ではリーダーシップグループの一員にもなった。(写真:アフロ)

 国際リーグのスーパーラグビーに日本から参戦するサンウルブズが7月15日、3季目の終了を報告。初参戦で11試合に出場した姫野和樹が、激動の1年を振り返った。

 帝京大学で大学選手権8連覇(現在は9連覇中)を達成し、2017年にトヨタ自動車へ入社。新人ながらキャプテンに抜擢され、国内トップリーグの新人賞に輝く。その間には日本代表に初選出され、2018年からは日本代表とリンクするサンウルブズでもプレーした。

 7月15日、都内ホテルでの共同取材時にここまでの歩みを回顧。出場したシーズン終盤2戦では、味方のレッドカード(退場処分)の影響もあり25―77(7月7日、ワラターズとの第18節)、27―48(7月13日、レッズとの第19節)とそれぞれ敗れている。レフリングへの対応力が課題とされたが、姫野はまず、いざ14人になった後の戦い方について「反省」を口にした。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。 

――6月の代表戦を経て、第17節は休息。第18節から再合流しました。

「ブルズに勝っていい雰囲気でした(42―37)。そのなかでやるのは楽しかったです。ただ残念な結果に終わりましたし、レッドカードなど反省すべき点は多々あると思います」

――レフリングへの対応について、チームとしてできることは。

「イエローカード(10分間の一時退場)が出るのを想定して練習することはありますが、レッドカードを想定して準備することはなかった。14人になった時の意思疎通が瞬時にできなかったのは、ひとつ、反省すべき点かと思います。(チームは普段)ラッシュアップディフェンスをするのですが、1人足りない状況になった時、その場で流すディフェンスにするのか、前に出るディフェンスにするのか(という連携や意図)がお互いにバラバラで、ワラターズ戦は見ての通りにやられてしまった」

――いざ、14人で長い時間を戦わなくてはならなくなった時、残された選手がいかに戦術をマイナーチェンジできるか。

「そうですね。そこで判断、対応していかないといけない。現場に監督がいるわけでもないですし。それを想定した(試合前の)準備、(試合中の)判断が大事になってくると思います」

――昨夏からのトップリーグ、2月からのスーパーラグビー…。合間に代表戦も挟まった長いシーズンが終了しました。

「1年目だったことを忘れるくらい、ハードでしたね! いまも、あ、もう1年経ったんだと思ったんですが、それくらいハードななか、突っ走ったと思います。サンウルブズ、日本代表は大学時代から目標にしていました。その目標としていたものになれて、想像していた以上によくできたことには満足しています。ただ、至らぬ点がたくさんある。リーダーとしても、選手としても。まだまだ満足してはいけないなと思います」

――リーダーシップについて学んだことは。

「ひとりひとり、やれることは決まっている。人に頼ることも、リーダーシップかなと思いました。自分ひとりで全部をやろうとするのではなくて、引っ張れるところは引っ張る、やってもらうことは仲間を信じて頼る。そうした、周りを引き出すリーダーシップも大事かなと思います」

――フィジカリティに手ごたえがあった背景には、帝京大学時代の下地があったのですか。

「帝京大学の時の経験もすごく活きていますし、教えられた部分をベースにいい経験をして、スーパーラグビーでプレーして殻を破れた。スーパーラグビーでやっていくと、自分のいい部分、だめな部分がすごく明確に見える。トップリーグや大学でも見えない部分がくっきり見えるので、そこを見ながら反省して次に行くということを繰り返すうち、それが自信に繋がり、殻を破るきっかけになったと思います」

 グラウンド内でこそ力強いプレーをし続けるが、大学時代はけがにも泣かされていた。医療やトレーニングの環境が揃った帝京大学を卒業したいま、姫野は自身のコンディショニングをどう捉えているのか。

――最近は、大学時代にしたような大きなけがはしていません。コンディションはどう管理していますか。

「大学時代は(岩出雅之)監督にプレー時間を短くしてもらったりと、守られていた立場。社会人になってプレー時間が増えたなか、守るのは自分になります。そこには責任を持って、トレーナーさんとも連携を取って身体のケアをする。無理はせずにやっていくことが大事だと感じましたし、それが実践できたから、大きな怪我無く終えられたと思います」

 グラウンド内外で、後悔のない選択をしたい。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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