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サンウルブズ・徳永祥尭が振り返る「必勝」から「チャレンジ」への転換。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
当日は背番号でいう「6」「7」「8」という3つの位置の控えとしてスタンバイ。(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

 国際リーグのスーパーラグビーに参戦3季目のサンウルブズは、5月12日、今季最後の国内開催試合となる第13節をおこなう。場所は東京・秩父宮ラグビー場で対戦相手はレッズ。約1週間の休息期間を終えたチームは、7日から動き出している。

 現在は開幕9連敗中。特に4月14日にあった前回のホームゲームでは、昨年勝ったブルーズに10―24で敗れた(第9節)。もっともその後にあったニュージーランド遠征ではクルセイダーズ、ハリケーンズという昨季、一昨季王者にそれぞれ11―33、15―43と敗戦も、前年の対戦より点差を縮めた。その背景を描写するように語るのは、聡明なフランカーの徳永祥尭だ。

 身長185センチ、体重102キロの26歳。海外出身者がひしめくフランカーを主戦場としながら、加入2年目の今季は9戦中8戦で出番を得ている。国内所属先の東芝では昨季、出場機会に恵まれなかったが、日本代表の指導を兼ねるジェイミー・ジョセフヘッドコーチから身体の強さや迷いの少ないコンタクト、万能性などを評価されている。

 レッズ戦では控えに回った徳永が、秩父宮での第9節の時、その後のニュージーランド遠征時の首脳陣のアプローチの変化について話している。現状打破のためにチームがどんなアプローチを取っているかが見え隠れする。

 以下、一問一答の一部(編集箇所あり)。

――ブルーズ戦の直後はどんな雰囲気でしたか。

「(ブルーズ戦は)勝てる内容だったので、試合が終わった後のロッカールームには暗い雰囲気がありました。ただ、切り替えなければやっていけない。相手を崩せていたといういいところ(を認め)、ターンオーバー時の連携が取れていなかったという悪いところに修正をかけて…。あとは、ホームの観客の前で前半にいい試合をしながら後半に崩れたメンタリティーのところに修正をかけました」

――苦しい状況で、強敵とぶつかるニュージーランド遠征が始まりました。

「ツアー自体がとてもタフになると言われていて、『チャレンジしよう』と話していました。勝たなければいけない相手、勝つ可能性がある相手(と戦う)というより、チャンピオンやそれに近いチームにいいチャレンジをして、自分たちのやっていることができているかにこだわっていました。僕は、ですが、(遠征時のほうが)メンタルの部分で割り切って戦えました」

 例えば大雨のなかでのクルセイダーズ戦では相手の攻めに狂いが生じるなど、ジャイアントキリングの条件は揃っていた。しかしサンウルブズは、ブルーズ戦を受けての反省から必勝態勢を打ち出すよりも「チャレンジ」とのスタンスで試合を見据えていたのだ。

 徳永は続ける。

――ちなみに、首脳陣と選手とのコミュニケーションについては。

「個人でレビューはもらえていますし、フィードバックはなされている。少しでも(選手の)気持ちを楽にするという意味でも、コーチ陣は『チャレンジするツアーにしよう』という話をしてくれたんだと思います。『勝たないといけない』では気持ちの部分が変わっていたかもしれませんが、『王者に対してチャレンジ』なら自分たちにフォーカスできる」

 今度のレッズ戦に向けては、「ラグビーのパフォーマンスをしっかり出して、それに勝利がついてくるというのがベストだと思っています」と共同キャプテンの流大。繊細な道のりは続く。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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