Yahoo!ニュース

ラインアウト苦戦もツアーは楽しく。サンウルブズ、リーチ マイケルの反省。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
プレー中のリーダーシップにも期待がかかる。(写真:松尾/アフロスポーツ)

 国際リーグのスーパーラグビーへ参戦3季目のサンウルブズは、3月3日、東京・秩父宮ラグビー場で第3節をおこない、レベルズに17―37で敗戦。チームにとっての初戦にあたる第2節に続き、開幕2連敗を喫した。

「体力的には満足。ただ、試合に影響するプレーはあまり…」とは、この日サンウルブズの一員として初めてプレーしたリーチ マイケルだ。日本代表では2015年のワールドカップイングランド大会などでキャプテンを務めてきたリーチは、ブラインドサイドフランカーとして先発フル出場。しかし、自身の出来には不満足だった。特に、空中戦のラインアウトが悔やまれた。

 タッチライン際からボールを投入して両軍の選手が空中で競り合うラインアウトは、攻防の起点にあたるセットプレーの一種。攻撃権確保のためにも安定した捕球が求められるが、この日は24本中5本を失敗して成功率79,2パーセントと低調に終わった。リーチはこの日、ラインアウトでどの位置でボールを受けるかなどのサイン出しを担当していた。思うような結果を出せなかったことを、どう振り返るか。取材エリアで語った。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――ラインアウトについて。

「サインのなかで(選手たちの)並びがある(決める)のですが、そのなかで、混乱してしまった。相手のディフェンスが後ろめに張ってあって、そこで捕るサインを出したら、それができなくて、今度は新しいサインを出して…」

 サンウルブズは前半2分、敵陣ゴール前左で自軍ラインアウトのチャンスを得た。フォワードが6人(一番前に立つスクラムハーフの流大キャプテンは除く)並ぶうちの前から4人目に入ったリーチは、自信より後方にいる長身選手を警戒して前から3人目のサム ワイクスを飛ばすことにした。

 ところがボールは確保できず、チャンスを逃した。その直後に与えられたハーフ線付近左での1本は、後方への投入でワイクスを飛ばすも空中で球を取られた。相手の対応に後手を踏んだ格好だった。別の場所で、次戦以降の反省点を挙げた。

「(選択するサインを)シンプルにして、テンポよく捕りたいです」

 チームは5日から、南アフリカ遠征に出かける。シャークス、ライオンズと順に戦うツアーだ。

 

 発足から過去2シーズン、サンウルブズはしばしこの南アフリカ遠征に苦労してきた。コンディショニングを狂わせるなどして90失点以上を喫したこともあり、経験者の選手はその過酷さに気を引き締める。

 しかしリーチは、このツアーに苦手意識を持っていなかった。前年まで3シーズンはニュージーランドのチーフスでスーパーラグビーを戦ってきたリーチは、南アフリカのツアーへ前向きな言葉を重ねるのだ。

「ラグビーをやっているなかで、遠征が一番、楽しい。準備する。楽しむ。そのバランスが一番、大事です。いま、プランニングしているのは、着いたらすぐフォワードを連れてTボーンステーキ! 南アフリカのチームはでかく、力で来る。ただ南アフリカ相手なら、サンウルブズはいい戦いをします。キックを多く使って、スマートに戦いたい」

 

 シーズン5位以内を目指すなかで開幕2連敗と苦しい船出を強いられているが、心は折らない。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

すぐ人に話したくなるラグビー余話

税込550円/月初月無料投稿頻度:週1回程度(不定期)

有力選手やコーチのエピソードから、知る人ぞ知るあの人のインタビューまで。「ラグビーが好きでよかった」と思える話を伝えます。仕事や学業に置き換えられる話もある、かもしれません。もちろん、いわゆる「書くべきこと」からも逃げません。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

向風見也の最近の記事