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日本代表&ホンダのレメキ ロマノ ラヴァ、戦列復帰→フル回転で伝える感謝。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
11月25日、敵地でフランス代表と23―23でドロー。「俺らの方が強いと思うよ」(写真:アフロ)

 問答無用で壁を突き抜けるのが、レメキ ロマノ ラヴァだ。

 2014年に日本国籍を取得したニュージーランド出身の28歳で、16年夏にはオリンピックリオデジャネイロ大会の男子7人制ラグビー日本代表として4位入賞を果たす。間もなく15人制の日本代表にも呼ばれ、同代表とリンクするサンウルブズ(国際リーグのスーパーラグビーへ日本から参戦)にも加わる見通しだった。

 しかし、好事魔多し。昨秋の日本代表ツアーで故障し、以後は約1年間の戦線離脱を余儀なくされた。リハビリのさなかはもやもやを抱えていただろう。

 復帰後は日本代表にも復帰し、今年11月はテストマッチ(国際真剣勝負)3試合に出場して2トライを挙げる。そして12月17日は、神奈川・ニッパツ三ツ沢球技場でトップリーグ昇格をかけたトップチャレンジリーグ・セカンドステージAグループ第2戦目に先発。ホンダのウイングとして2トライを決め、三菱重工相模原を53―8で下した。

 シーズン終了後の来年2月からはサンウルブズに参戦という過密日程下、どうコンディションを整えているだろうか。

 自信満々のランナーがこの問いに出した答えは、周囲のスタッフへの感謝の声だった。

 

 以下、試合後の単独取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――過密日程下、コンディションはいかがですか。

「大丈夫。全然、大丈夫。去年は怪我して、1年間レスト。だから、いまはメンタルも元気。今日の試合はフルバックのエイダン・トゥアが『(状態が)タイトだから』って交代して、俺もそれをアピールしたけど交代なし! …でも、怪我も何もない。元気」

――普段のケアは欠かせない。

「いつもお風呂、アイスバスにも入っているし、(目の前を通るのを見て)いつも高橋さん(啓チーフトレーナー)が週に2~3回ぐらい俺にマッサージしてくれるから」

――試合でベストパフォーマンスを出すために…。

「俺、チームのなかでも、フィットネス(持久力)がある方。だから全体練習が終わった後に走ろうとしたら、JPさんに『終わり、終わり!』と言われて。で、(全体練習などで)走り過ぎたら『ウェイトはナシ。帰ろう、帰ろう』と。だから、試合ではめっちゃ元気。去年なんかは、毎回、100パーセントでやっていたけど…。今年はJPさんが入って、皆が強くなっている」

 レメキが紹介した「JP」ことホンダの奥野純平ヘッドストレングス&コンディショニングコーチは、昨季までトップリーグのNTTコムでストレングス強化に従事。新天地でも「力任せにやっていたところを、より(各選手の身体能力の)ポテンシャルを引き出すようにしたい。ラグビー練習の一部としてのトレーニングを…」との思いで選手の肉体改造に取り組む。

 着任直後に見たリハビリ中のレメキへは、こんなアプローチをしていたという。

 

「リハビリを見ていたら、どちらかというと怪我の不安を抱えていた。怪我をする前のデータを上回ることで、『これだけパワーがつけば、不安はないよ』という道を作りたかった。で、結局、誰よりも強くなって、去年のジャージィが着られないくらい大きくなって、それでもスピードは上がっている。本人にも自信がついたみたいです」

 レメキは続ける。

――トップリーグを目指すチームに、肉体強化の新たな観点がインストールされたのですね。

「JPさんが来てから、前より(身体の)バランスがいい。怪我をしてから、そのバランス、下半身を意識している。ベンチプレスだけじゃなく、ダンベルを使ったり、片足(の踏ん張りなど)にフォーカスしたり…。で、去年よりも一瞬のパワーがついた。体重も94~95キロ(公称は身長177センチ、体重93キロ)になって、去年よりも全然、でかくなったけど、フィットネスはキープ。…最強」

 常にフル回転のレメキの後ろには、オーダーメイドのプログラムがある。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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