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オーストラリア代表、63―30で下した日本代表をどう語ったか?【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
ラインアウトからの整理された攻めが得意。(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 2年後のワールドカップ日本大会に向け強化を進める日本代表は、11月4日、神奈川・日産スタジアムでオーストラリア代表に30―63と大敗。前半に3―35と勝負を決められた。国内でのラグビーのテストマッチ(国際真剣勝負)最多となる「43621人」を集めるなか、反則からの失点やフィジカリティなどに課題を残した。

 この試合を制したオーストラリア代表は、世界ランク3位(日本代表は11位)。昨今は同1位のニュージーランド代表に勝つなど充実ぶりが伝えられていた。試合後、マイケル・チェイカヘッドコーチとフランカーのマイケル・フーパーキャプテンが会見。日本代表への見立てなどを語った。

 以下、公式会見中の一問一答(編集箇所あり)。

チェイカ

「まず思うのは、きょうの試合の雰囲気は素晴らしかった。数は覚えていませんが、素晴らしい観客。スタンドを観ても雰囲気伝わり、いいラグビーができる雰囲気でした。チームに対してのフィードバックですが、今週は大きな、大きな1週間でした。土曜にバーバリアンズ戦をして日本へ来ました。その間にスタメンが5~6人いなくなり、色々な変更があり、10番(司令塔のスタンドオフ)に若い選手が入ったということで、どうかと思うところもあったのですが、マインドセット、姿勢のところではよくやってくれた。最後失速したのは、日本代表がよくプレーした、コミットしたとも取れます(終盤に日本代表が加点)」

フーパー

「きょうのゲームは非常に素晴らしいスピリットのもとプレーされた。フィジカルで、ハード。スピードもあった。この会場で試合ができたことは素晴らしいことでした。2年後を見据えると、ここは大切な会場になります(日本大会の決勝戦が開催される)。お客さんも多く入ってきた。大きな歓声も聞こえてきました。日本の地で日本代表とオーストラリア代表とが戦うのは初めてなのですが、こうした歴史的な日に、タフなゲームをエンジョイできた。我々にとっての春のツアーで、いいスタートが切れた(南半球のため)」

――代役の「10番」、リース・ホッジ選手の評価。

チェイカ

「この試合の前に彼に話したのは『数か月の準備を表す絶好機だ』です。きょうは日本代表のラインスピードの速さにより、試練を与えられる展開でした。ただ、色々な判断をしなくてはいけないなか、いい判断をしてくれた。今後ワラビーズの10番を背負ううえでの、いいスタートが切れた。今日出ていないバーナード・フォーリーなどに加わり、層を厚くしてくれるのでは。満足です。最後、少し疲れたのかと見受けられましたが」

――30失点、いかがですか。

チェイカ

「30点で3トライ、全体で見たら多いのか少ないかどう捉えるか。ペナルティーもそれなりに与え、想定内か想定外かと言われれば、多かった。ディフェンス全体は悪くなかったのですが、ゴールライン上でのディフェンスは苦しんだ」

フーパー

「監督が説明済みですが、後半選手を入れ替えた。ゲームの細かい進め方や状況判断のところで違いが起きた。日本代表がボールを持ってプレーする力がある、ということでもある。今日勝てたことは嬉しいですが、遠征中残りの試合に向けた課題も出たと思います」

――日本代表をどう見て、どう攻略したか。

フーパー

「日本の選手たちは、ブレイクダウンで素晴らしかったと思います。我々もすごく試される場面が多かった。ターンオーバーも何度もしてこられた。ただ、我々の方に上手く流れが向いた…というところが今回は多かったと思いますが、(日本代表は)有効なプレーをしていました。また、80分間プレーしてきたのが印象的でした。最後は彼らが試合をドミネートして、我々がプレッシャーにさらされた」

チェイカ

「フーパーに同感です。付け加えれば、ボールがあるなかでのコンタクトのレッグドライブ、タックルが有効だった。ラインスピードもよかったと思います」

 

 日本代表陣営では、リーチ マイケルキャプテンが「自分たちがやりたいラグビーとフィジカリティがマッチしていない。自分たちはもっとハイテンポでやりたいのに、体力的に、厳しい」。この日のレッスンを受け、捲土重来を期す。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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