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日本代表に緊急復帰。トンプソン ルークが「今週だけ」の戦いに込める決意とは。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
アメリカ代表とのイングランド大会最終戦後(左)。代表引退を聞き、田中史朗は涙。(写真:ロイター/アフロ)

2015年のラグビーワールドカップイングランド大会を最後に代表引退していたトンプソン ルークが、24日に東京・味の素スタジアムでおこなわれるアイルランド代表戦に向け、今回限りの日本代表復帰を果たした。ニュージーランドからやって来た36歳の日本人選手が、関西弁を交えて決意を明かす。

チームは17日、静岡・エコパスタジアムでのアイルランド代表戦で22-50と大敗。2年後のワールドカップ日本大会で同じ予選プールに入るアイルランド代表は今回、ブリティッシュ・アイリッシュライオンズに11名のメンバーを供出して若手主体の編成。海外組を含め現時点でのベスト布陣で臨んで敗れた日本代表には、勝利が期待されていた。

この日の夜、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチはトンプソンへSOSを送った。トンプソンの務めるロックの位置でけが人が相次いだこともあり、カムバックが決まった。

トンプソンは2007年に初めて日本代表入りし、これまで63キャップ(国際真剣勝負への出場数)を取得。日本人にワールドカップへは3大会連続で出場した。特に前回のイングランド大会では、献身的なタックルで南アフリカ代表戦勝利などを実現している。

ロックは、相手と組み合うスクラムや空中戦のラインアウトなどセットプレー(プレーの起点)の要。周りとの細かい連携が問われる。そんななか通称「トモさん」は、合流1週間で大一番に臨む。

以下、共同取材時の一問一答の一部。

――日本のために戦いたい理由。

「僕、日本人(帰化済み)ね。家族もここに住んでいる。ファンも応援してくれるし。それだけ。僕はラグビーが大好きだから、日本代表でもプレーしたい。これがラストチャンスだから、頑張る」

――久々に代表へ戻ってきて。

「(笑って)しんどいね。皆、若くて速いからね。自分の仕事をやるだけね。セットプレー、ディフェンス、フィジカル、努力…」

――次戦に向けて。

「素晴らしいチームに入った。今週だけね。2015年に引退して、僕、また(復帰したことが)信じられへん!」

――空中戦のラインアウトでのコンビネーションはいかがですか。

「ショーちゃん(フッカーの堀江翔太キャプテン)、リーチと知っている人もいるから。全然、問題ない。ジェイミーのもとでいい準備をしている」

ジョセフヘッドコーチはこれまでサンウルブズ(国際リーグのスーパーラグビー)と連携を図り、ナショナル・デベロップメントスコッドのキャンプで若手を強化。戦術の共有や選手層の拡大に時間を割いてきた。ただ、ピンチで求められたのは経験者の戦いざまというわけだ。

招集そのものが議論を招くなか、呼ばれた本人は決意を込めて戦う。

――日本代表の若手ロックに伝えたいメッセージは。

「ロックの仕事はセットピース、クリーンアウト、タックル。すごくシンプルやけど、それをやれたらチームを助ける」

言うは易し行うは難しである。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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