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日本代表復帰のリーチ マイケル、「パッションは倍」発言の現場。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
ワールドカップでも八面六臂の活躍。(写真:アフロ)

ラグビー日本代表は6月10日、熊本・えがお健康スタジアムでルーマニア代表を33-21で制した。

この日注目を集めていた1人が、フランカーのリーチ マイケル。キャプテンを務めた2015年のワールドカップイングランド大会以来の代表復帰だった。

札幌山の手高校、東海大学を渡り歩き、2011年に東芝入り。2015年からはニュージーランドのチーフスの一員にもなり、国際リーグのスーパーラグビーでも存在感を示してきた。 

日本代表としてはワールドカップに2大会連続で出場も、歴史的3勝を挙げたイングランド大会の後は心身の疲弊などを理由に自ら離脱していた。この日は、昨秋着任のジェイミー・ジョセフヘッドコーチのもとで初めてプレーした。

以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――久しぶりの代表復帰。

「まぁ、新しい代表になって、マインドが変わって、2015年を経験していない選手も自信を持ってプレーしていた。は前(2016年秋)のツアーの時の経験をしていない選手もです。嬉しい。ナーバスなところはない。どんな身体の状態でも、一生懸命やる。腰も痛かったし、首も痛かったけど、一生懸命やる」

――2019年のワールドカップ日本大会に向け、きょうはリーチ選手にとってどういう試合になったか。

「スタートになる試合です。代表をずっとやっていなくて、ジェイミージャパン1発目の試合。これからどんどん良くなって、いい試合と悪い試合の波をなくしていきたい。

(トライは)ワールドカップ以来です。ワールドカップが終わって、代表から抜けて、帰ってきて、全然、2015年と違うリーチが見られる。もっと成長できる。パッションは倍になる。ただ、勝ちたい。その気持ちが前よりも強くなった。代表を離れて、皆が遠征に行っているのを見て、もう1回選ばれたいと思えて。(離脱は)結構、危険な判断だった。リスクもあった。そこは、ジョセフとコミュニケーションも取っていて。テストマッチは、特別。トップリーグとも、スーパーラグビーとも違う。2019年まで、パッションは持っていたい」

ルーマニア代表戦では、キックオフ早々に自陣22メートルエリアでランを仕掛け、次の局面では鋭く駆け上がってのタックルを繰り出す。以後、セットプレーの合間での声かけ、キックチェイス、タックルとその後の起き上がりなど、チームのかすがい役を全うした。

攻撃時は、チーム戦術に倣っておもに右タッチライン際のエリアで待機。もっとも14点リードで迎えた後半1分には、枠組みのなかでの好判断で魅す。

敵陣中盤での連続攻撃のさなか、中央寄りの位置へ駆け込む。スタンドオフの小倉順平が放ったパスを受け取り、復帰後初のトライを決めた(ゴール成功でスコアは30-9)。

チームは中盤以降にやや足踏みしたが、必須とされた白星を掴んだ。リーチは今回の収穫と課題などについて語った。

――試合を通じて、セットプレー以外の場面からの連携攻撃が光りました。

「ジャパンのアタックプランがカオスな状況を作るというもの。それをずっと練習してきたので、特に後半、やりやすい形ができたかなと」

――その「後半」。トライシーンがありました。

「ずっと外にいないといけないなか、小倉の仕掛けに、僕が入っただけです。きょうは外にいて、タッチラインに出た回数が多くて…。自分の役割をやれば、ジェイミーの目指すラグビーができる」

――試合を決めてから、相手のペースになった印象があります。

「キックオフから相手がモールを組んで、押して、ペナルティーが起こって、蹴られて、モール…という流れ。モールディフェンスはまだまだ、練習をやらないといけない。ワールドスタンダードじゃない。これが、テストマッチの良さです。自分の弱みを見つけられる」

――チーム全体のフィットネス、ストレングスにはどんな印象を持ちますか。

「うーん…。ここまで(合流から約)1週間。今日の相手はボールを持って走ることが少なかった。だから、答えられないです。ニュージーランドなど(強豪)の相手とやって、もっと弱みがわかるかもしれない。いまのところは、フィットネスは問題ない」

チームは17、24日にアイルランド代表と2連戦をおこなう(場所はそれぞれ静岡・エコパスタジアム、東京・味の素スタジアム)。アイルランド代表は、2019年にあるワールドカップ日本大会の予選プールで日本代表と同組。もっとも今回は日程上、主力を多く欠く。引き続き白星が期待される。リーチは言った。

「相手は2年後とは全く違うチームです。僕らも2年後は違うチーム。ただ、アイルランド代表との相性やメンタル状況がわかる。いいタイミングで戦える」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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