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31歳? 「22、3歳くらいです」。日本代表・山田章仁の引き締め効果。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
練習でも大声を響かせる。張り切る。(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

ラグビー日本代表は4月29日、アジア・ラグビーチャンピオンシップ(ARC)第2戦目をホームの東京・秩父宮ラグビー場でおこない、格下とされるも初戦で47―29とやや苦戦(仁川・南洞アジアードスタジアム)した韓国代表に、80-10で大勝。この日初先発となったウイングの山田章仁が前向きに総括した。

今度の若手中心のメンバーにあって最年長の31歳は、唯一のワールドカップ経験者。前年度はスーパーラグビーの日本チームであるサンウルブズに参戦し、9トライを挙げた。慶應義塾大学時代から変幻自在とされるランニングスキルを持ち味とし、人気も博してきた。

チームはアウェーでの第1試合で、11名がテストマッチ(国際真剣勝負)デビューという布陣で挑み防御を乱した。この日は山田が大外からの声出しを貫き、スペースをえぐられるなかでも各人の立ち位置を整理。自らも激しく身体をぶつけ、マークした1トライ以上の存在感を示した。

今回の試合内容にもやや反省点が残ったとされるが、そちらへの改善点もシンプルに掲げた。

日本代表は5月にARCの残り2試合を消化し、6月にはベストメンバーを編成してルーマニア代表、アイルランド代表とぶつかる。

以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――ご自身の出来。

「平均点ぐらいですかね。まだまだやらなきゃいけないこともありますから。スタートとしては非常によかったかな、とは思いますが」

――改善点は。

「もっと周りとコミュニケーションを取って、皆の輪に入っていくのが課題でしょうか」

――もともと年齢を感じさせないプレーを心がけていたようですが、きょうは何歳のプレーでしたか。

「22、23歳かな」

――この先の試合での出場へは。

「僕は選手の立場なのでやるだけ。調子を上げて、アピールしたい」

――定位置争いに際し。

「ライバルが多ければ多いほど自分自身が成長できる。そういった面では皆で活躍して、日本ラグビー界のレベルを上げたいです」

日本代表デビューを果たす2013年より前も、強力なライバルについて触れる際は「一緒にジャパンで戦えたら」といった旨の発言をしていた。自分のコントロールできることのみをコントロールしようとする気概は、当時から変わらない。

この午後は前半初頭、さっそく防御で魅した。

自陣22メートル線付近左からロングキックを放ち、敵陣22メートルエリアまでその弾道を追う。カウンターアタックを伺う相手の動きを見定め、鋭いタックルを放った。 

「今週、チームが相手のカウンターを止めたい、という思いでやっていた。それができてよかったです」

年長者として、チーム全体に関する談話も残してゆく。

――チームの出来には。

「そうですね。結果もよかったし、素直に喜んでいい」

――時折、簡単に防御を破られるシーンもありましたが。

「確実によくはなっているので、見えた課題は来週に…と」

――いまの「よくはなっている」チームをもっとよくするには、何が必要ですか。

「コミュニケーションを上げていくのが、シンプルでわかりやすい。今週出たいい課題を周りで話して修正していって、いいチームになっていくかなと」

グラウンド内外での話し合いで、選手間の密度を濃密にしてゆく。その先導役の一端を担う。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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