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サンウルブズの福岡堅樹、トライよりも大切なものとは。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
スーパーラグビーは「ポン、ポンとボールを離す、攻撃的なチームが多いと思います」。(写真:アフロ)

トライゲッターが狙っているものは、トライではなかった。

国際リーグのスーパーラグビーへ日本から挑むサンウルブズは、4月8日、東京・秩父宮ラグビー場でブルズとの第7節をおこなう。ここまでチーム最多の4トライをマークしている福岡堅樹が、3日、意気込みを明かした。

参戦2季目となる今シーズンは、ここまで開幕5連敗中(第6節は試合のないバイウィークに充てられた)。国内2戦目となる今度のゲームで、今季初勝利を目指す。

以下、取材時の一問一答(編集箇所あり)。

――1週間の休息を経て。

「特に気持ちの部分では、いいリカバリーができました」

――いままで多くの遠征を経験されてきました。シンガポール、南アフリカ、シンガポールと移動を重ねる今回のサンウルブズのツアーはいかがでしたか。

「移動は、いままでのなかで一番、多い部類に入ってくきます。飛行機の移動で少し体調を崩したりもしたので、これがスーパーラグビーの大変さのひとつなのかな、と思います」

――座っている座席がビジネスクラスであったとしても、機内の乾燥した空気と時差への対応はマスト。

「時差的には、南アフリカからシンガポールへ戻る時の移動が辛かったです。ただ、最初に日本からシンガポールへ行く時点で少し調子が悪くなって…」

――それでも、試合では手応えを掴んでいるようです。

「このチームのスタンスとして、ウイングでトライを取り切る形が多い。その意味ではいいスコアを取らせてもらえているなという印象です。とはいえ、もっと貢献できる部分はある」

福岡は2015秋におこなわれたワールドカップイングランド大会では15人制日本代表として歴史的な3勝を挙げ、昨夏のリオデジャネイロ五輪でも男子7人制代表として4強入りを果たした。

15人制ではタッチライン際のウイングへ入り、加速力を披露。エディー・ジョーンズ前日本代表ヘッドコーチには「チーターより速い」と評された。

昨季は国内所属先のパナソニックの新人選手として国内最高峰トップリーグの第11節で、リーグ戦の最多タイとなる6トライをマークした(12月10日、大阪・東大阪市花園ラグビー場でホンダを69―14で制した)。

テストマッチ(15人制での国際間の真剣勝負)では20キャップ(テストマッチ出場数)を獲得して通算13トライをマーク。今年11月にあった日本代表のツアーでも3試合に出場し、欧州6強の一角であるウェールズ代表などからもトライを奪っている。

もっとも、サンウルブズの今季初白星を見据える今回、目指しているのはトライではないという。フォーカスポイントは、味方のキックの弾道を追う「チェイス」である。

――自慢のスピード、通用しているような。

「通用する部分はあるのかな、と、自信にはなっています。そんなにパーフェクトかといわれるとそうでもないですが、何となく、調子はいいのかな…」

――トライが期待されていますが。

「自分自身、あまりトライを意識せず、チームが勝つためにプレーしたいです。もちろん、取れるシーンでは取りたいですが」

――力業に長けるブルズとのゲームでは、なるべく自陣で守る回数を減らしたい。福岡選手はどんなプレーを意識しますか。

「相手には大きな選手がいる。自陣でプレーしすぎないようにするには、キックチェイスでプレッシャーをかけたいと思います。チーム(サンウルブズ)では、自陣でのアタックのミスから失点するケースも多い。それはできるだけなくしたい。蹴らなければいけない部分は、出てくる。そこでチェイスをしっかりと整備していけたら」

この人は、献身的な防御も長所とする。チェイスラインの先陣を切り、敵陣で鋭いタックルを決めたい。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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