11季ぶり準決勝、平尾誠二さんの話題…。同志社大学4年・大越元気の実感は。【ラグビー旬な一問一答】

3連覇時代の平尾誠二さん。伝統の「紺グレ」ジャージィ。(写真:山田真市/アフロ)

1982年度から選手権3連覇を達成した同志社大学ラグビー部は、今季、11シーズンぶりに全国大学選手権の4強入り。1月2日、東京・秩父宮ラグビー場で昨年のファイナリストである東海大学と決勝進出を争う。

昨年10月には、卒業生で日本代表監督も務めた「ミスター・ラグビー」こと平尾誠二さんが逝去。平尾さんは3連覇時の中心選手でもあっただけに、その動向が注目される。

12月29日の全体練習後、決戦に向けた心境を語るのは大越元気。司令塔のスクラムハーフに入り、素早いパスさばきとハイパントでボールを縦、横に動かす。歴史的に自由奔放とされてきた同志社大学のラグビーを体現するにあたり、キーマンの1人となっている。

卒業生で今年度からコーチになった元日本代表の大西将太郎氏は、いまの選手について「ぎりぎりな勝負での勝ち運が強い。そういうものは持っている、持っていないというのはあると思うんです」と評す。その意味では、大越は自らの勝ち運を高校時代に証明。茨城・茗渓学園高でキャプテンを務めていた2012年度の全国高校ラグビー大会で、強豪の東福岡高校を撃破。相手の大会連覇を3でストップさせていた。

以下、単独取材時の一問一答の一部。

――まず、よかったですね。正月にラグビーができる。

「(表情を崩して)はい、嬉しいです」

――チーム状況、いかがですか。

「雰囲気はすごくいいです。有意義な練習をしていると思います。Bチーム(控え)も、相手と本当に同じようなプレーをしてくれる。僕は大学に入って初めて、正月にラグビーをしている。シンプルに、1日でも長くこのチームでラグビーがしたい。だからすごく嬉しくて、1日、1日を噛みしめてやっています」

――変幻自在のアタックが光ります。

「アンストラクチャー(セットプレーを経由しない局面)で、僕らハーフ団(司令塔)だけではなく各ポジションのディシジョンメーカー(スペースを見つけ、プレー選択を決断する役割の選手)が判断してくれる。僕が『こっち空いているな』と観たところに、別の選手がいることもあったり。やりやすいです」

――大越選手自身も、以前にも増してプレーのバリエーションが増えたような。

「(パスを)捌くだけじゃなく、裏が空いていたらフォワードを前に出すキックを蹴ってあげたいですし、ハイパント(高い弾道のキック)を上げてウイングを競らせたいという意図もある。(自らボールを持ち出して)仕掛けていきたいとも思っている」

――プレーの幅を広げたいという意識は、いつごろから芽生えましたか。

「今年の関西学生Aリーグが始まった頃ですかね。それ以前も蹴っていましたけど、本当に精度を高く…と意識するようになったのは今年からです。あとは、沢木さん(卒業後に入社するサントリーの沢木敬介監督)に、『色んなキックを蹴っておけ』とも言われているので」

――予習、ですね。

「ハハハハ! 予習、ですかね」

――大越選手が加わるより少し前から、同志社大学の選手層が徐々に厚くなっています。2季前までのプロップ北川堅吾選手、いまの2年生インサイドセンターである永富晨太郎選手ら、強豪の東福岡高校の主力選手も多く集まっています。

「何でなんですかね…。ひとつは、自由ななかで自分たちが規律を持ってやらなきゃいけない、自分たちに託されている、というところ(に惹かれているのでは)。東福岡高校、僕の茗渓学園高校と、楽しい自由なラグビーをしていたチームから、『この(同志社大学の)スタイルで勝ちたい』と思う選手が集まってきているんですかね」

――自分たちの高校時代の成功体験。その延長線上に同志社大学があった。

「そうですね。僕はそうです。4年間通して、徐々に同志社大学に入ってよかったなと言える出来事が増えています。去年、関西を制したのは8年ぶり。今年も選手権の準々決勝で早稲田大学に勝った。僕は関東の人間なので、関東の早稲田大学に勝って正月を迎えられるというのは、嬉しい出来事です」

――いまの快進撃。メディアでは平尾さんの逝去と関連付けられる傾向があります。そのあたりのことは、どのように捉えていますか。

「偉大な方が亡くなられ、悲しい気持ちはありました。ただ、テレビ局の方から平尾さんがインタビューをされている映像をいただいたのですが、そこでもらった言葉は『3連覇なんて関係ない。新しい同志社大学をお前らが作ってくれ』でした。勝つことが、いま、僕らに求められていること。ただ自分たちが勝ちたいという思いで1試合、1試合やってきました」