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スコットランド代表戦「出たかった」。資格なかったホセア・サウマキ、諦めない。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
明朗。来日4年目。プライベートの交友関係の充実から日本語が上達。(写真:アフロスポーツ)

4年に1度あるワールドカップの自国大会を2019年に控える日本代表は、6月25日、東京・味の素スタジアムでスコットランド代表とのテストマッチ(国際間の真剣勝負)をおこなう。このゲームへの出場が期待されながら、ルール上プレーの叶わなかったトンガ人選手がいる。

大東文化大学4年生のホセア・サウマキだ。身長187センチ、体重100キロの大柄な体躯とスピード、強烈なハンドオフ(相手のタックルを弾き飛ばすプレー)を強みとし、初来日した2013年から大学ラグビー界で活躍。「同国居住3年以上」という代表資格をクリアしたように見受けられたことで、5月10日、現在おこなわれているツアーの候補選手となっていた。

しかし公式発表後、来日前に7人制ラグビーのトンガ代表としてワールドシリーズオーストラリア大会に出場した経験があると判明。統括団体のワールドラグビーが定める「代表選出は1カ国のみに限定」との規定に抵触するため、5月30日に発表された日本代表の正規メンバーには加わらなかった。

スポーツニッポンが他国代表歴に関する第一報を伝えた5月16日から2日後、日本ラグビー協会は薫田真広・男子15人制日本代表ディレクター・オブ・ラグビー(DOR)の名義で「サウマキ選手が2012年にトンガ代表としてセブンズワールドシリーズに出場していたことは認識していますが、日本代表に必要な選手であることに変わりはありません。現在、日本代表でプレーできるかどうかを各所に最終確認しております」とのコメントを発表した。

サウマキの過去は、大東文化大学をはじめ各大学ラグビー部の関係者の間でも周知の事実。某チームの指導者は「10日に名前が入っているのを見て、何らかの方法でクリアしたんだと思った。それが…」と苦笑した。事前確認の不徹底ぶりが指摘されるなか、薫田DORは「皆さんがわからない方法で、まだ(選出の)可能性がある」と口にしていた。

日本代表は18日、愛知・豊田スタジアムでもスコットランド代表とぶつかり、13―26で敗れた。ナショナルチームが欧州6強の一角と戦うなか、自身も選出を希望していたというサウマキが何を語るか。

翌19日、埼玉・熊谷ラグビー場。早稲田大学との関東大学春季大会グループBの一戦を68―10で制した後、口を開いた。

以下、一問一答(編集箇所あり。全て当方質問)。

――まずは試合のこと。真正面の相手をぶっ飛ばすハンドオフ、驚愕です。

「あぁ、そうそう。私、ハンドオフ大好き! ジョナ・ロムーのハンドオフが好きで、だから、(試合中も)止まらない」

――ロムー選手は、いまは亡き90年代のニュージーランド代表のウイング。若いのに、渋い。

「フフフフ! きょうはフォワードがラックをきれいにして、僕らバックスにいいボールを出してくれた。いいアタックでした」

――きのうのスコットランド代表戦については…。

「あぁ…。出たいです。出たかったです。これから(諸条件を)クリアして、また日本代表になりたいです」

――資格がないことを知った際は、どう思いましたか。

「はい。2019年のワールドカップ(日本大会)には日本代表で出たいです」

――7人制のトンガ代表に入っていたのは、事実ですか。

「うん、2012年。もう3年日本にいたけど、ルールが変わったのか…。次、チャンスがあったら…」

――現行ルール通りに行けば…。

「(以後の言葉を察してか)ハイ、そうです!」

――日本国籍を取得した後に7人制日本代表としてワールドシリーズに4大会出れば、15人制の日本代表にもなれます。この可能性も、考えているのですね。

「考えます、考えます。とにかく、(条件を)クリアにしたいです」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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