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サンウルブズのマーク・ハメットヘッドコーチ、日本代表と合同練習し「あの件」に【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
ジャガーズ戦で勝利して笑顔のハメットヘッドコーチ。(写真:アフロスポーツ)

若手中心のラグビー日本代表と国際リーグのスーパーラグビーに日本から初参戦しているサンウルブズが、5月3日に都内で初の合同練習を行った。日本代表側からのリクエストが叶った格好で、スクラムや実戦形式セッションを重ねた。サンウルブズのマーク・ハメットヘッドコーチが取材に応じ、「両方にとってメリットがあることを願います」と振り返った。

昨秋のワールドカップイングランド大会で歴史的な3勝を挙げたメンバーが1人も含まれていない日本代表と、同大会の主軸と海外出身選手が世界で戦うサンウルブズ。この両者間には密な連携を目指す意思があるものの、2日にはふたつの組織に在籍する選手の日程調整で問題が起こった。もっとも現場を任されたハメットヘッドコーチとしては己の職務を全うしているまでで、「彼らはサンウルブズにとっても大事な選手」と意見を述べた。

中竹竜二ヘッドコーチ代行が率いる日本代表は、4月30日、神奈川・ニッパツ三ッ沢球技場でのアジアラグビーチャンピオンシップ初戦では韓国代表に85-0と大勝。5月7日に敵地の香港フットボールクラブである香港代表との同2戦目に向け、準備を重ねている。

サンウルブズは4月23日に東京・秩父宮でおこなわれた第9節で、ジャガーズを相手に36-28で初勝利を挙げた。1週間の休みを挟んで、7日、秩父宮でフォースとの第11節をおこなう。

今季初来日のハメットヘッドコーチは、6月の日本代表ツアーでヘッドコーチ代行を務める。5月10日には日本協会の薫田真広・男子15人制日本代表ラグビー・オブ・ディレクターとともに会見し、ツアーメンバーを発表する予定。

以下、ハメットヘッドコーチの一問一答の一部(質問は全て当方。編集済み)。

――(当方質問)合同練習、いかがでしたか。

「両チームにとってメリットがあればと願います。こちらはバイウィーク(休息期間)明けということで、どのくらいの強度でコンタクトができるかが不安ではありました。ただ、そこがしっかりできたのでよかったです。ジャパンにとっても、韓国代表よりも香港代表の方が強い相手。その意味でも、よい練習になったと思います」

――(当方質問)1日、サンウルブズに在籍する日本代表メンバー8選手が代表チームを離脱。2日午前中の練習に参加することとなりました。経緯は。

「彼らはサンウルブズにとっても大事なメンバーなので、呼んでいます。週の頭だったので、ジャガーズ戦のレビューをした。そこには参加して欲しかったのです。この先の4週間でどこがフォーカスポイントとなるのかを話すミーティングも、ありました。あとは怪我人や病気等の確認が必要でした」

――(当方質問)2日午後には8名中6名が代表へ帰還。北川賢吾選手と安藤泰洋選手がサンウルブズに残留します。

「北川は膝の怪我で復帰に1、2週間はかかる。香港代表戦に出られないので、こちらにいることとなりました。泰洋は次のフォース戦のスコッドに入るので、残っています」

――今回の合同練習開催は、ハメットヘッドコーチからのリクエストによるものですか?

「ジャパンからのオファーがありました。ジャパンとサンウルブズ、いい関係性を持たないと日本ラグビー全体の強化にはならない」

――きょうの練習、サンウルブズにとってのメリットは。

「バイウィーク明けのチームをひとつにする。色んなアイデアを交換する。そして、競わせた環境で練習をすると、選手が最大の能力を発揮することがあります。ジャパンにとっては、サンウルブズの選手に対抗することで自分の力を試せる」

――日本代表で印象に残った選手は。

「(呼び方が珍しかったため)チュン? チネン? ソーリー。知念雄(競技転向2年目で代表デビューを飾ったプロップ)。まだ代表活動が短い選手なのでいますぐ…ということはないが、ポテンシャルの高い選手だと思います。韓国代表戦では、スクラムハーフの内田啓介キャプテンもよくコントロールできていたと思います」

――5月10日にメンバー発表会見があります。きょうの練習もセレクション材料になるのですか。

「なると言った方がいいなら、そうしますよ。ハハハハ! 特に今回は、そういう意図はありません。いま、薫田さんと日本協会にある程度のメンバー構想がある。最終スコッドのアナウンスに対し、きょうのジャパンとサンウルブズのメンバーが入ってくることは濃厚だと思いますが。薫田さんをはじめ、選考する方々は選手をちゃんと観ている」

――フォース戦に向けて。

「秩父宮での試合で、やりがいを感じています。また、オーストラリアのチームに対戦できるので楽しみです。前回のオーストラリアチームとの対戦でいえば、レベルズ戦がよくプレーできなかった(3月19日、秩父宮の第4節で9-35と敗戦)。汚名返上をしたいです。フォースはテクニックの精度が高い。自分たちのプレースタイルが高い精度で要求されます。自信だけでは勝利は得られない。自分たちが何をすべきかを考え、準備万端でいきたい」

――(当方質問)きょうから練習に復帰した山田章仁選手、怪我をしている稲垣啓太選手、ジャガーズ戦で怪我をしたビリアミ・ロロヘア選手の状態を教えてください。

「稲垣はおそらく、来週に戻ってきます。ロロヘアは手術しました。2016年シーズンの復帰は無理でしょう。山田はフィットした状態で戻ってきます」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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