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サンウルブズ安藤泰洋、28歳で日本代表デビューの心境は「震える」だった。【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
背番号7をつけ、フル出場。(写真:アフロスポーツ)

ラグビー日本代表が4月30日、神奈川・ニッパツ三ッ沢球技場で韓国代表とのアジアラグビーチャンピオンシップ初戦をおこない、85―0と快勝した。

28歳で初キャップ(テストマッチ=国際間の真剣勝負への出場の証)を獲得したフランカーの安藤泰洋は、密集戦で渋い働きを示し、試合後に自身の心境を明かした。

昨秋、ワールドカップイングランド大会で歴史的な3勝を挙げた日本代表にとって、今年度最初の試合。海外挑戦などの個別の事情や若手育成を目指す協会の方針のため、イングランド組ゼロのラインナップで臨んでいた。中竹竜二ヘッドコーチ代行のもと、24日に都内で始動した。

2009年度に関東学院大学のキャプテンを務めた安藤は、現在、トヨタ自動車に所属。身長181センチ、体重96キロと一線級のフランカーにあっては小柄も、球への嗅覚を持ち味とし、昨季は日本最高峰であるトップリーグでトライ王となった。

今季は、スーパーラグビー(世界最高クラスの国際リーグ)に日本から参戦するサンウルブズにも在籍する。

定位置を争うエドワード・カークら海外出身選手には「オンとオフの切り替え、集中力については勉強になる」と感銘を受けながらも、日本でプレーする外国人選手の能力や聡明さを再確認していることも示唆した。チームが初白星を飾った第9節のジャガーズ戦にも後半31分から出場していた(4月23日、東京・秩父宮ラグビー場で36-28と勝利)。

安藤は5月1日、サンウルブズへの合流のため代表を一時離脱。中竹ヘッドコーチ代行は2日、「昨日の夜、突然決まりました」と話している。同日昼の時点で、再合流するか否かは未定。

以下、韓国代表戦後の一問一答の一部(全て当方質問。編集済み)。

――多くのジャッカル(密集で相手の球に絡むプレー)が見られました。

「韓国代表の(サポートの)寄りの遅さもありましたけど、速くても遅くてもそこ(ジャッカル)は狙おうと意識はしていました」

――テストマッチデビュー。昨日は「緊張してきた」と話していました。

「昨日も言ったと思うんですけど、サッカーや野球やラグビーの代表の試合をテレビで観ていて、(試合前の)君が代の時の選手の気持ちを察することができなかったんです。あぁ、高ぶってるんだろうなぁ、という気持ちで。ただ、実際に自分が当事者になると、震える、というのはありました。はい」

――試合では、落ち着いていました。

「そうですね。試合に入ってからは、去年のトップリーグの時と同じようなルーティーンで臨みました。2日前から自分の食事に気を付けたりとか、そういうことです。それをやっていたら自信に変わって、不安を消す。ま、多少は緊張しましたが」

――接点の脇で相手のタックルをかわすプレーもありました。

「タックルされる時にギリギリのところで抜く。そのステップの感覚は、身体に染み込んでいます」

――安藤選手がプレーするバックロー(フランカー、ナンバーエイトといったフォワード第3列の総称)には、イングランド大会でキャプテンだったリーチ マイケルなど、外国出身選手が揃っています。

「サンウルブズではバックローには外国人選手が多い。ただ、そのなかでも、タックルとジャッカルで献身的に下働きをして、自分の持っているものを出すしかない。そんな感じです」

――きょうはサンウルブズのハメットヘッドコーチも視察していました。

「それは試合前から聞いていて…。こういう(大差のつく)試合をどう観られるかはわかりませんが、そのなかでもシステムをきちんと守れますよ、とか、献身的にやれますよ、と言うものを見せたかったのはありました」

――大勢が決まった後の攻撃でも、相手の防御を引きはがすサポートでトライを演出しました。

「特にこういうゲームでは、ああいう小さいことが大事だと思いましたね」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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