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逆転負けのサンウルブズ山田章仁。チーターズ戦の3トライ中、ベストはどれ?【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
相手をかわす持ち前の走りで、記念すべきスーパーラグビー初トライ。(写真:ロイター/アフロ)

世界最高クラスの国際リーグ戦、スーパーラグビーに加盟するサンウルブズの山田章仁は、3月12日、シンガポール・ナショナルスタジアムでチーターズとの第3節に先発出場。31―32と惜敗後、自ら挙げた3トライなどについて語った。

昨秋のワールドカップイングランド大会で日本代表だった山田は、身長182センチ、体重88キロの30歳。日本では国内最高峰トップリーグで3連覇中のパナソニックに所属し、プレーオフトーナメントで通算3度のMVPに輝いている。ファンサービスにも熱心で、いまでは自身のオリジナル番組を動画共有サイトのYou Tube上で開設。より魅力的なスタジアム作りへの提言や、チームメイトへのインタビューをおこなっている。

スーパーラグビーでは昨季、ウェスタン・フォースに在籍も出番なし。今季は初参戦する日本のサンウルブズに加わり、今季開幕節があった2月27日、デビューを果たした。東京・秩父宮ラグビー場でライオンズに13―26と敗れたが、試合がなかった第2節を経て臨んだチーターズ戦では、歴史的初白星を目指していた。

以下、ミックスゾーンでの共同取材時の一問一答(編集済み)。

――(当方質問)惜しかったです。

「勝ちたかった」

――(当方質問)まずは、順にトライシーンを振り返っていただきます。前半3分の1本目。グラウンド中央付近のスクラムを起点に左、右と球を動かし、最後は右大外の広いスペースでセンターの田村優選手、フルバックのリアン・フィルヨーン選手がハンズパス(手渡しに近いパス)を繋ぎ、最後は山田選手が受け取ります。右から左へのステップで目の前のタックラーをかわし、左からカバーに来た相手は真っ直ぐ駆け抜けて振り切り、インゴールへ…(スコアは7-0)。

「田村がいいオフロード(タックルを受けながらのパス)をしていたので(チャンスはあると感じた)。皆、スキルがあって、いいハンズが繋がりました。(パスを受けた直後は)最初の相手は、こっちが内(左)側へステップを切った時の反応が悪かったので、内側へ。フルバック(カバー役)はそのまま行ける(追いつかれない)と思いました」

――(当方質問)13分の2本目。グラウンド中盤左から右大外へのキックパスをフィルヨーン選手が捕球、相手に捕まれながらも左の田村選手にパス。その田村選手から球を受け取った山田選手が、そのまま右タッチライン際を駆け抜けました(スコアは14-6)。公式会見では「コミュニケーションが取れていた」と話していましたが…。

「そうですね。コーチ陣が分析した結果、そこ(グラウンド中盤における、ボールがある地点の逆側)が空いているとわかっていた。結果を出せてよかったですね」

――(当方質問)33分の3本目。グラウンド中盤左中間からスタンドオフのトゥシ・ピシ選手が相手の背後へ短いキックを蹴ります。それを追いかけ捕球した田村選手をサポートしたのが、山田選手。そのままポールの真下へ飛び込みます(21―13)。

「あれは僕のなかでも嬉しいトライで。真ん中の方(接点に近い位置)でボールをもらうようにとずっと自分でも心掛けていましたし、コーチ陣にも『10番(スタンドオフ)』の内側へ走り込んで欲しいと言われていたので。優が(ピシ選手のキックへ)いい反応で走っていたので、チャンスだと思いました」

――(当方質問)その他、失点後のキックオフでは敵陣の深い位置まで駆け上がり、捕球した選手へタックル。好位置での自軍ボール確保に繋げています。

「そういう作戦だったので」

――バックスラインの攻撃、より磨かれています。

「お互いが皆の特徴をわかって来て、1本目の時のフィルヨーンのパス(自身の背後を通すパスで山田のトライをアシスト)もそうですし、いいスキルをいい形で出せている」

――(当方質問)かねて、グラウンドの外側から情報発信をすることも課題にしていましたが。

「ちょっと、よくなったと思います。トライも取れましたし。勝ちたいですね」

――(当方質問)しかし、一時は18点あったリードをひっくり返され、31-32で敗戦。

「チーターズが気合いを入れてきた。こっちのディフェンスも甘くなって…かな、と」

――31―27と4点リードと迫られる後半17分、交代を告げられましたが…。

「もうちょいやりたかったです。走りたかったです。ちょっとバテていたのは自分でもわかったけど、皆もバテていたからな…」

――サンウルブズから観て、スーパーラグビーのレベル感は。

「十分通用すると感じています。あとは結果が出れば、皆の自信がつくと思うので、早く勝ちを手にしたいですね。(開幕節より)勝ちに近かった。シーズン早めの段階でこういう経験ができてよかった」

――(当方質問)次戦は3月19日のレベルズ戦(秩父宮)。改善点は。

「後半の入りは、これからもしっかりやっていかなければいけないかな。しっかり身体を動かして、こっちから先に動く…ということ」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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