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フォワードがゴールキック? サンウルブズ堀江翔太キャプテン、「興味」のススメ【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
帝京大学時代の趣味はギターにけん玉。おそらく凝り性。(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

2月18日、沖縄は残波岬。合宿4日目の練習を終えたサンウルブズの堀江翔太キャプテンが、近くコーチに就任予定という田邉淳氏の話に耳を傾ける。

サンウルブズは、世界最高峰リーグのスーパーラグビーへ今季から参戦する日本のクラブである。過去にレベルズの一員として同リーグへ挑戦したことのある堀江は、新生チームの初代キャプテンに就任していた。身長180センチ、体重104キロの30歳。昨秋のワールドカップイングランド大会では日本代表の副キャプテンを務め、過去優勝2回の南アフリカ代表などから歴史的な3勝を挙げている。

スクラムの最前列中央に位置するフッカーという黒子役的なポジションを務めながら、球を持った際のランニングやパスの技術でもファンを魅了する。時には相手守備網の裏へ短いキックを転がすなど、スキルフルなプレースタイルの持ち主だ。

そしてこの日は、現役時代に名キッカーだった田邉氏と対話。国内所属先でもキャプテンとコーチの間柄である2人が言葉を交わすなか、堀江キャプテンが実際に右足を振り抜くこともあった。そう。おもにセンターを務める立川理道のゴールキックの練習に、本来は門外漢でもおかしくない堀江キャプテンが混ざっていたのだ。ゴールキックは、スーパーラグビーのレッズ入りしたフルバックの五郎丸歩など、バックスの選手が務めることが一般的である。

実際の試合で、堀江がゴールを狙うことなどあるのだろうか。夕暮れ時、ファンと写真撮影をしながらグラウンドを後にする本人が、真相を明かした。発展途上のチームの様子もまた。

チームは27日、東京・秩父宮ラグビー場でライオンズとの初戦をおこなう。

以下、18日の堀江キャプテンの一問一答(他社の質疑も含む)。

――(当方質問)プレースキックの練習。ずいぶん本格的に指導を受けていましたが。

「ハハハハハ…。そんな真剣に習ってないですよ。『ここは、何でなんですか』という感じでアドバイスを聞いていて。一応、何かの時に使えるかなって」

――(当方質問)何にでも興味を持つことが大事なのですね。それが、堀江さんのプレースタイルを象っていそう。

「あぁ…ですかねぇ。僕は何にでも興味を持つ方なので。(他人のプレーが)どんな考えでやっているのかとか、そういうものを知りたい」

――(当方質問)田邉さんのキック指導。パナソニックで受けることは。

「ないですねぇ。まぁ、受けたところで…みたいな感じもあるので。(長期合宿中の)こういう時にしか。ハハハハ!」

――小学生の頃にサッカーをしていましたね。

「そうすねぇ。サッカーをやっていたので、他のフォワード(フッカーなど、ぶつかり合いに顔を出す選手たち)よりも蹴れるかもしれないです」

――(当方質問)きょうの全体練習では、実戦形式のセッションで守備ラインの組織を確認していました。

「コミュニケーション(連携)、横の奴の幅(隣に立っている選手の守備範囲)、相手が優位な状況でどんなディフェンスオプションを使っていくかを勉強するのにいい(トレーニングができた)。練習ではどんどん失敗していい。例えば、ハル(立川)はいま、初めて本格的に13番(アウトサイドセンター)をやっている。練習中にコミュニケーションを取るなかで、『あ、これぐらい前に出てもいいんだ』『この時は、もっとああした方がよかったね』と言っていくのがいいかなと」

――日本代表経験者がチームを引っ張っているようですが。

「トップリーグの上位チームの奴らは、(代表経験がなくても)ジャパンと一緒。彼らが『もっとああした方がいい』みたいなアイデアをくれて、すごく助かっていますね」

――今後、チームをどう引き締める。

「この先1週間もあれば、完成に近づく。その時は(すべきプレーを)シンプルにして…。確認事とかが、これから多くなってくると思います」

――ご自身のコンディションは。

「身体自体も調整しながらです。きょうは午前中にも練習があって、緊張感を持ってやっているので」

――(当方質問)公開されているスケジュール以外にも、練習時間はあるのですね。

「はい。やってます、やってます! あれ(公開された午後練習)だけじゃないです。水曜日(17日)の練習も柔らかい感じでしたけど、その前日に(激しいコンタクト練習)やっていました。楽勝ではないです! 結構、皆、疲れてると思いますよ。毎日、毎日、休みなく続いていますので」

――(当方質問)準備の量が成否を分けるスクラムなどはいかがですか。

「どうやって組むのかがひとつになり出してきている。横の選手(隣同士で組む選手)の癖とかもわかり合えいるところ。前進しているな、と。あとは経験で(準備の量の不足)を埋めていきたいと思います」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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