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サンウルブズ草創期のタスク、オリンピックリオ大会への準備…。山田章仁が語る【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
「神対応」ぶりも評判。子どものお菓子の差し入れを、その場で食べたりも。(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

南半球の強豪クラブが集うスーパーラグビーへ日本から初参戦するサンウルブズは、2月27日の開幕戦(対ライオンズ/東京・秩父宮ラグビー場)に向け沖縄合宿を敢行中。昨秋のワールドカップイングランド大会でも活躍したウイングの山田章仁は、練習を指導するマーク・ハメットヘッドコーチの通訳係を担うなど、生まれたてのチームで自らの資質をフル活用している。

国内所属先のパナソニックでは日本最高峰トップリーグのプレーオフで3度のMVPに輝くなど、勝負強さに定評がある。突破した味方への絶妙な援護やボールを持たぬ際の連携やポジショニングで、持ち前の器用さやボディーバランスを最大化する。

イングランド大会ではサモア代表戦(ミルトンキーンズ・スタジアムmkで10月3日、26―5と勝利)で魅せる。

前半終了間際、「チャンスが来そうな感じだった」と右タッチライン際にスタンバイ。身体を回転させながら目の前のタックラーをかわしてインゴールへ飛び込んだ。この動きは「忍者トライ」と称された。

愛知合宿中盤の11日からサンウルブズへ合流。直前までは、7人制日本代表のオーストラリア遠征に帯同していた。

今季は8月のオリンピックリオデジャネイロ大会での活躍をターゲットとし、自らも「違う競技」と認める7人制へ注力するとしている。しかし、いまは新チームで15人制に専念。2012年度には社会人アメリカンフットボールXリーグの相模原ライズに所属しながら、15人制ラグビーでもトップリーグのリーグ戦トライ王を奪取。いわゆる「二刀流」の遂行には慣れている。

身長182センチ、体重88キロの30歳。慶應義塾大学在学中には2度にわたりオーストラリアへ留学し、卒業後にプロ契約を結んだホンダ、三洋電機(12年度からパナソニック)に在籍中もニュージーランドでのプレーを経験。昨季はイングランド大会前、ウェスタン・フォースの一員としてスーパーラグビー挑戦を目指していた。

サンウルブズの沖縄合宿4日目の18日は、練習終了後にディフェンスコーチのネイサン・メイジャーと意見を交わす場面もあった。チームには、首脳陣が提示した攻防のフォーマットを選手同士でブラッシュアップする文化が醸成されつつある。

以下、18日の練習後の山田の単独取材による一問一答。

――沖縄合宿。いかがですか。

「充実してますよ。皆でコミュニケーションも取れていて」

――先ほどは、メイジャーコーチと守備について話し合っていました。

「チームでどんな感じでやれるのか、と。システムを含め、(全体の連携を)合わせることをしたいなと。(選手とコーチの)意見のすり合わせは大事かな、と。…最初よりは、よくなっていると思います」

――サンウルブズのウイングの役割は。

「色んなところから来た選手同士のチームで、(開幕まで)時間も少ない。(先述の意見のすり合わせにより)僕のやりたいディフェンスと、周りのやりたいディフェンスのバランスを見ていかなきゃいけないと思います。アタックではもっとフォワードの負担がかからないように、僕らバックスリーが中心にやること(所定の立ち位置でよりボールを呼び込み、接点周辺でのフォワードのぶつかり合いを減らす)も必要かな、と思います」

――13日、愛知・豊田スタジアム。トップリーグ選抜に52-24で勝利。後半から登場した山田選手は2トライを決めました。合流してわずかなのに…。

「アタックのど真ん中にいるわけではないので、上手く回りとコミュニケーションを取れればいいかな、と思う」

――7人制ラグビーとの両立について。8月のオリンピックの準備を踏まえれば、サンウルブズにはいつまで帯同しますか。

「はっきりとは決まってないですけど、まずはここでしっかりとやる。こっちも、世界で戦えますから、いい経験はできる」

――体重の設定はどうしましょうか。一般的には、俊敏性とスピードの継続性が必要な7人制では軽い方がいいと言われますが。

「スーパーラグビーを戦っていかないといけないので、強い身体でやっていく。いったん、7人制のことは考えないで、ラグビー選手としての能力を高めていくのが大事かな、と思いますね」

――スーパーラグビーと言えば、出番を与えてくれなかったウェスタン・フォースを見返したい気持ちはありますか。

「余裕で、あります!」

――出たら、やれるのだと。

「そうですね。全然、出してくれなかったので。やれるチャンスでは、やりたいと思います」

――ゼロから作り上げるチームにあって、山田選手の豊富な移籍経験は活きそうですか。

「コミュニケーションを取ったり、周りの色を見たり。それは色んなチームを観てきたなかで覚えてきた。それは自分の役に立っているかなと思います」

――「周りの色を見」るには、どんな時間が大事ですか。

「練習中が一番ですけどね。あとは、強く言われても大丈夫な人とか、優しく言われた方がいい選手とか…そういったことは普段の生活から見れたらいいですよね」

――30歳にもなると…。

「本当ですよ。確かに、いろいろ経験しましたからね」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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