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パナソニック、JPピーターセンの「ジャパン戦後」。トップリーグ最終戦を前に【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
決勝戦でも背番号13をつけるか。トップリーグのラストゲームもしなやかに。(写真:アフロスポーツ)

日本最高峰トップリーグで2連覇中のパナソニックは、1月24日、東京は秩父宮ラグビー場で東芝とのプレーオフ決勝戦に臨む。19日の練習後、アウトサイドセンターを務めるJPピーターセンが共同取材に応じた。

身長190センチ、体重102キロの巨躯で、しなやかなランを繰り出す。守っても大外から鋭く飛び出し、相手攻撃陣の走路を限定。今季はリーグ戦、プレーオフを含め合計9試合中7試合に先発出場し(残り2試合も途中出場)、パナソニックの戦術を下支えしてきた。

29歳の年齢にあって、南アフリカ代表として66キャップ(国際間の真剣勝負への出場数)を保持。トップリーグ開幕前の2015年秋は、4年に1度あるワールドカップへ自身3度目の出場を果たした。

イングランドでおこなわれた大会では、9月19日、ブライトンコミュニティースタジアムの予選プールB・初戦を落とす。過去優勝2回という上位争いの常連国が、5大会連続で未勝利だった日本代表に32-34で敗れ、バッシングにさらされた。もっとも、その後のチームの立て直しにより、3位で戦い終えた。

来季、イングランドのレスタータイガースへ移籍。24日の決勝戦が、ピーターセンにとって最後のトップリーグの試合となる。

以下、一問一答の一部。

――プレーオフでは東芝と対戦します。相手のキープレーヤーは。

「まずはリーチ マイケル(ナンバーエイト)。彼は周りのフォワードの選手にエナジーを与えます。(イングランドでの)ワールドカップでも戦いましたが、非常にいい選手でした(日本代表のキャプテンだった)。あとはリチャード・カフィ(アウトサイドセンター)。バックスのなかで、チームに推進力を与えられる選手です。さらにフランソワ・ステイン(フルバック)。大きなキックを持っているので、注意をしなければいけません」

――(当方質問)特にカフィ選手とは、対面にあたります。

「(笑いながら)タックル、するだけです。カフィ選手はワールドクラスで、私も敬意を払っています。ただ、彼に対しては、バックス全体でどう止めるかを考えます。東芝のバックスと、パナソニックのバックスの戦い。それが重要になっています。ここで相手をしっかりと止めたチームが、最終的に勝つと思っています」

――日本のラグビー人気が高まるなかでの決勝。どんな気持ちですか。

「いま、日本のラグビーの認知度が上がっている。日本代表の選手がワールドカップで素晴らしいプレーをして、日本の人にラグビーを知ってもらうきっかけを作ったからだと考えています。今週に関して言えば、私にとってはひとつのゲーム。決勝戦なのでプレッシャーは大きいのでしょうが、普段通りにやりたい。どれだけプレッシャーをコントロールできるかが鍵です」

――(当方質問)大舞台で、いつも通り。何が必要ですか。

「パナソニックには経験豊富な選手が多く、決勝戦にも慣れていると思います。そんななかでも大事なことがあるとしたら、1つひとつのプレーを確実におこなうこと。ここまで自分たちのやってきたプレーに集中することです。決勝戦だからといって特別な気構えをするのではなく、しっかりといつも通りのプレーをする。それが大事です」

――パナソニックの強みは。

「(笑いながら)それを相手が知ったらまずい。言えません。…東芝はフォワードが力強い。ただ、我々と彼らを比較して勝っているものを挙げるとしたら、パスで周りを使う選手の多さでしょう。また、スーパーラグビー(南半球最高峰リーグ)でのプレー経験のある選手がたくさんいます(フッカーの堀江翔太キャプテンら8人が経験し、うち4名が日本人選手。対する東芝はリーチら6人で、うち日本人選手は1人のみ)。ただ、最終的に勝負を決めるのは、『どちらが自分たちのプレーをして、限られたチャンスを活かせるか』です」

――(当方質問)改めて、イングランドでのワールドカップはどういうものでしたか。

「ワールドカップという舞台は、世界中から最高の選手が集まる。そこでプレーできたのは幸せでした。今回の3回目のワールドカップでは、3位。残念な部分もありますが、世界3位になれる選手はなかなかいるものではない。その意味ではよかったと思います」

――(当方質問)日本代表戦後、明らかにチームがまとまっているように映りました。

「日本に負けた後には大きなチャレンジが待っていた。ただ、あのチームには経験のある選手がいたので、何が悪かったのかを話し合って、改善できた。それがよかったのではと思っています。加えて、南アフリカの6900万人の国民を失望させたことが残念だった。彼らに誇りを取り戻さなくてはならないと思っていました」

――(当方質問)日本代表戦。ショックでしたか。

「はい。試合に負けた…というより、チームメイトや国で我々をサポートしてくれている方に対して申し訳ないという思いでした」

――(当方質問)来季は。

「トップリーグは、次がラストゲームです。終わってからはスーパーラグビーのシャークスへ行き、来季はレスタータイガースでプレーします(ラグビーでは季節ごとに複数のチームに加入することができる)」

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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