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ラグビーワールドカップ南アフリカ代表戦メンバー発表会見 エディー・ジョーンズHC

向風見也ラグビーライター
リーチ マイケルキャプテンら同席者より一足早く会場入り。電話で呼ぶ。

9月18日にイングランドで開幕する4年に1度のラグビーワールドカップ第8回大会で、24年ぶりの勝利を目指す日本代表は、19日、南アフリカ代表との予選プールB初戦に挑む(ブライトン)。17日、出場登録メンバーを発表(詳細下記)し、エディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)が会見した。

以下、一問一答の一部。

「ワールドカップ初戦。この4年間、必死に頑張ってきました。南アフリカ代表というリスペクトに値するチームと対戦できて、嬉しく思います。相手はワールドカップの歴史上、勝率の高いチーム。身体が大きくフィジカルが強い。ジャパンは逆です。ワールドカップでの勝率が最も低く、小さい。けれどもジャパンとしては、過去最高経験値のチームで挑戦します。楽しみにしています。(日本語で)アリガト」

――以前から、「南アフリカ代表戦のメンバーは決まっている」と語っていたが、思い描いていたメンバーと実際に選んだメンバーに違いはあるか。

「前にどう思ったかは無関係です。このゲームにベストな23人を選んだだけです。(具体的な比較は)言えない。ただ、(事前にイメージしたメンバーがどれだけ選ばれたかを見れば)打率8割。悪くはない。星、3つです」

――フィジカルの強い南アフリカ代表に、どう勝負するか。

「こびとが槍を持って巨人が戦う感じです。我々は槍を持てないので、いろいろな準備をする。何が使えるのかを見極めて、やるだけです。中心は、セットピース(スクラムやラインアウトなどプレーの起点)だと思います。試合で戦うにはセットピースで戦えないといけません」

――今回、どのようなサプライズがあるか。

「いろいろ、あります。南アフリカにとってはそうではないかもしれませんが」

――(当方質問)強豪とのワールドカップ最初のゲーム。次戦以降に繋げるために、どんな試合にしたいか。

「勝つ試合をするだけです。フィジカル面で、戦わなければ。どのようなボールでも、勝ち取ったら動かす。相手の持っているボールをちょん切って、奪い返す。ワールドカップには、日本はリスペクトを得るために来ました。いままではそうじゃなかった。毎試合、リスペクトを得るために戦います。上手くいけば勝つ。選手はいい準備をしました。真っ向勝負の準備はできています。南アフリカ代表はここまで苦戦しています。ラグビーチャンピオンシップでもいいパフォーマンスができていない(南半球4か国の対抗戦。同国は今季、3戦全敗)。アルゼンチン代表に、初めて負けた。誰がこんなことを想像したでしょう。何が起こるかはわかりません」

――スタンドオフ、ウイングのチョイスの根拠。

「ベストプレーヤーだからです。

(ウイングについて)松島(幸太朗)は南アフリカにゆかりのある選手です。ジンバブエ人の父を持ち、シャークスの下部組織でもプレーしています。山田(章仁)は世界一のウイング、ブライアン・ハバナと対面です。こういうビッグゲームをエンジョイできる選手です。ということで、この2人にチャンスをあげました。

(スタンドオフについて)コーセー(小野晃征)とハル(立川理道)。厳しいセレクションでした。コーセーの方が、オーガナイズの面で上だと判断しました」

――今季の大会前の試合で最も満足できるものは。

「すべて、あくまでワールドカップのための準備の試合です。ただ、最近のジョージア代表(グロスターで13-10と勝利)が最も本番に近い戦い。セットピースやモールでいいものが出せたと思います」

――2007年のワールドカップでは、南アフリカ代表のスタッフだったが。

「基本的に南アフリカ代表の戦いは、皆さんご存知のもの。50メートルのところからのラインアウトは5人。スクラムハーフの位置にフォワードがもう1人、立って、(計6人で塊となって)ドライブする。その後、9番(スクラムハーフ)がハイパントを蹴る。身体を当ててくる。

我々はジャパンの戦いを準備しました。

南アフリカはテストマッチの結果からか、セレクションの面でちょっとナーバスなのではないでしょうか。通常ならヴィクター・マットフィールド(38歳のキャプテン)はこのゲームでは休みを与えるところ、出してきたということは、かなり。そういうナーバスになっているところの隙を突きます」

――南アフリカ代表で日本のサントリーに所属するフーリー・デュプレアやスカルク・バーガーは、ジャパンについてどんな話をしていると思うか。

「寿司の好みのことでしょう。

この2人とは2007年から友人で、彼らの考えを知っているし、彼らも自分の考えを知っている。日本がボールを動かすこともわかっているでしょう。日本はボールインプレー(グラウンド内でボールが動いている時間)を45分以上にする。逆に向こうは、敵陣ゴール前30メートル以外はあまりボールの展開をしない。お互いがお互いを知っています。内部情報は役に立たないでしょう。

フーリーはいい選手。南アフリカ代表がワールドカップで勝つにはこの人の力が必要で、(リザーブ入りした)日本の試合で彼が出てきたら、必死で止めないといけない。我々の試合に出るのではなく、ゴルフをしていて欲しかったくらいです」

――力強い相手とスクラムを組む、先発プロップに何を望むか。

「シャークス(南半球最高峰スーパーラグビーのクラブ)のフロントローと戦います。テンダイ・ムタワリラとヤニー・デュプレッシー。ヤニーがさぼれないようにさせて欲しい。彼は医者の資格を持っていますが、レフリーの資格はない。それなのにスクラムの時に(レフリーに)色々と言ってくる…。(ジャパンのプロップは)まずスクラムを組んでもらうことが仕事。1本組んだら、2本目、3本目…。目がくるくる回って、ヴィレム・アルベルツやバーガーに何度もタックルする。掘り続けないといけません。疲れたら、リザーブの2人が出てくるだけです」

――キャプテンのリーチ マイケル選手に求めるものは。

「たくさんのことです。

日本で育った選手。高校、大学で毎日3~4時間練習を重ね、それで生き残っている。そこが素晴らしい。いい人間で、いい選手。当たりの強いアルベルツとの対戦。ここで勝てればディフェンス力が向上するでしょう」

1 三上 正貴(29)

2 堀江 翔太(38)

3 畠山 健介(68)

4 トンプソン ルーク(59)

5 大野 均(94)

6 リーチ マイケル(43)=キャプテン

7 マイケル・ブロードハースト(22)

8 ツイ ヘンドリック(32)

9 田中 史朗(49)

10 小野 晃征(29)

11 松島幸太朗(12)

12 クレイグ・ウィング(10)

13 マレ・サウ(23)

14 山田 章仁(13)

15 五郎丸 歩(53)

16 木津 武士(37)

17 稲垣 啓太(6)

18 山下 裕史(45)

19 真壁 伸弥(31)

20 アマナキ・レレイ・マフィ(3)

21 日和佐 篤(47)

22 立川 理道(39)

23 カーン・ヘスケス(10)

※()内はキャップ(国同士の真剣勝負への出場)数、ブライアン」

【ワールドカップ2015 対南アフリカ代表戦 出場登録メンバー】

1 三上 正貴(29)

2 堀江 翔太(38)

3 畠山 健介(68)

4 トンプソン ルーク(59)

5 大野 均(94)

6 リーチ マイケル(43)=キャプテン

7 マイケル・ブロードハースト(22)

8 ツイ ヘンドリック(32)

9 田中 史朗(49)

10 小野 晃征(29)

11 松島幸太朗(12)

12 クレイグ・ウィング(10)

13 マレ・サウ(23)

14 山田 章仁(13)

15 五郎丸 歩(53)

16 木津 武士(37)

17 稲垣 啓太(6)

18 山下 裕史(45)

19 真壁 伸弥(31)

20 アマナキ・レレイ・マフィ(3)

21 日和佐 篤(47)

22 立川 理道(39)

23 カーン・ヘスケス(10)

※()内はキャップ(国同士の真剣勝負への出場)

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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