なぜフェリックスはPSG移籍の可能性があるのか?エムバペとネイマールの去就…監督交代が及ぼす影響。
移籍の決断は、常に難しいものだ。
先の冬の移籍市場で、話題を呼んだのがジョアン・フェリックスのチェルシー移籍だ。2019年夏に移籍金1億2700万ユーロ(約191億円)でアトレティコ・マドリーに加入したフェリックスだが、2022−23シーズン後半戦、半年レンタルでチェルシーに移籍する決断を下した。
「プレミアリーグとリーガエスパニョーラは違う。展開されるフットボールが、異なるんだ。各チームのプレースタイルは、全く違う」とはチェルシー移籍後のフェリックスのコメントだ。
「チェルシーは攻撃を好むチームだ。ボールを保持して、試合を支配しようとする。僕は、そういうチームで、プレーしたかった。すごく自由を感じるし、ここでのプレーを歓迎している」
■フェリックスとパリ行きの噂
フェリックスはアトレティコと2027年夏まで契約を結んでいる。だが彼とジョルジュ・メンデス代理人の考えは、この夏、新天地を模索するところにある。
そのフェリックスに、関心を寄せるクラブが、パリ・サンジェルマンだ。
パリSGはチームを再構築する段階にある。すでに、リオネル・メッシのインテル・マイアミ移籍が決まっているが、現在、注目されているのがキリアン・エムバペとネイマールの去就だ。
エムバペは先日、1年の契約延長オプションを行使しない旨をクラブに伝えた。契約期間は2024年夏までとなっており、レアル・マドリーを筆頭に、彼の状況を注視しているクラブがある。
ネイマールは、2025年夏まで契約を結んでいる。しかしながら、マンチェスター・ユナイテッド、チェルシー、プレミアリーグの複数クラブが彼の獲得に興味を抱いている。
またパリSGは、監督交代に向けて動いている。クリストファー・ガルティエ監督を解任し、ルイス・エンリケ監督を招聘しようとしている。
この監督交代の影響で、ネイマールが残留に傾き始めたと言われている。ネイマールとL・エンリケ監督は、2014年から2017年まで、バルセロナで共に仕事をしていた。
一方、L・エンリケ監督はフェリックスを気に入っているようだ。自身のパリSGでのプロジェクトに、フェリックスを含める考えを持っているという。
■フェリックスの課題
ただ、フェリックスにも課題はある。
「ジョアンは素晴らしい才能を持っている。それは日々のトレーニングで、見て取れる。しかし、ボール非保持のところを含めて、私は明確なアイデアとストラクチャーを見つけなければいけない。これは、ジョアンにとっても挑戦だ。彼は、どこでプレーしたいか、まだわかっていない。チェルシーで、あるいは別の場所で、まだ示すべきものがある」
「我々、監督というのは、選手から何かを得ている。それを信頼している。素晴らしい才能というのは、あるか、ないかだ。一方で、ハードワークの倫理が重要になる。ジョアンにそれがないとは言わない。彼は(ディエゴ・)シメオネ監督の下でプレーしていた。しかし、短期間で見れば、私の要求を理解しなければいけない。それを体現した上で、才能を示す必要がある」
これはフランク・ランパード監督の言葉だ。
アトレティコでプレーを続けるにせよ、パリSGあるいは他クラブに移籍するにせよ、フェリックスはこの辺りの課題を克服する必要があるだろう。トップレベルで活躍するには、ピッチ上での”労働”が不可欠だからだ。
■パリSGの補強プラン
パリは、この夏、まだ積極的な動きを見せていない。
マヌエル・ウガルテ(移籍金6000万ユーロ/スポルティング・リスボン)、リュカ・エルナンデス(移籍金4500万ユーロ/バイエルン・ミュンヘン)、マルコ・アセンシオ(フリートランスファー/前所属レアル・マドリー)、ミラン・シュクリニアル(フリートランスファー/前所属インテル)といった選手の加入が決定的となっている。だが、このうち、攻撃の選手はアセンシオのみだ。
フランス『パリジャン』によると、パリSGは2億ユーロ(約300億円)を補強に投じる準備をしているという。トップターゲットはベルナルド・シウバとハリー・ケインだとされている。だがB・シウバにはサウジアラビアからのオファーがあり、ケインにはバイエルンやマドリーが関心を寄せている。
夏のマーケットは、ここから本格化する。今後、大きな動きがあり、“玉突き移籍”も起こってくるだろう。
ネイマールやエムバペといったスター選手の去就。大物選手の獲得。フェリックスの移籍を含め、最後まで、何が起きるかはわからない。