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ベンゼマとフィルミーノ。レアル対リヴァプールの一戦の背景にある「偽背番号9型」トップの対決。

森田泰史スポーツライター
シュートを打つベンゼマ(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

ビッグマッチが、待ちきれない。

今季のチャンピオンズリーグ決勝トーナメント一回戦、注目のカードのひとつ挙げるなら、それはレアル・マドリー対リヴァプールの一戦だろう。昨季のチャンピオンズリーグの決勝で激突した2チームが、再び対峙する。

昨季のCL決勝で対戦した2チーム
昨季のCL決勝で対戦した2チーム写真:ロイター/アフロ

「我々はスーパーな試合を行わなければいけない。それも、2試合続けて、だ。正直に言えば、そうでなければラウンド突破は難しいだろう。だが、何ら問題はない。これはチャンピオンズリーグの試合だ」とはユルゲン・クロップ監督の言葉だ。

「数週間前にこの試合がなくて良かった。特別な試合で、まったく待ちきれないよ。ただ、レアル・マドリーはスペシャルな試合をする必要はない。それでも、彼らには勝利の可能性があるんだ」

ケイタとクロップ監督
ケイタとクロップ監督写真:ロイター/アフロ

ビッグチーム同士の対戦だ。その2チームで、重要な役割を担っているのが、ロベルト・フィルミーノとカリム・ベンゼマである。

■リヴァプールの補強と定位置争い

リヴァプールは今夏、ダルウィン・ヌニェスを獲得。彼を引き入れるために、移籍金固定額7500万ユーロ(約99億円)をベンフィカに支払った。

この冬のマーケットでは、コディー・ガクポが到着した。カタール・ワールドカップで大活躍したオランダ代表のストライカーを、移籍金4200万ユーロ(約56億円)で確保した。

D・ヌニェス、ガクポ、ルイス・ディアス、ディオゴ・ジョッタ…。新戦力が着くたびに、ベンチに追いやられるのはフィルミーノだった。

しかし、一方で、思えばリヴァプールの攻撃を機能させてきたのはフィルミーノであった。

ゴールを喜ぶフィルミーノ
ゴールを喜ぶフィルミーノ写真:ロイター/アフロ

2015年にクロップ監督が就任して以降、リヴァプールは少しずつチームを作り替えていった。【4−3−3】のシステムで、3トップにはモハメド・サラー、フィルミーノ、サディオ・マネ(現バイエルン・ミュンヘン)が据えられるようになった。

「MFS」と称された3トップは、破壊的な攻撃力を誇った。だがサラー、マネを生かしているのはフィルミーノだった。

リヴァプールのMFS
リヴァプールのMFS写真:代表撮影/ロイター/アフロ

【4−3−3】で、CFのフィルミーノが中盤に降りる。相手守備陣は、WGのサラーやマネの飛び出しを警戒して、簡単にはフィルミーノに付いていけない。

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スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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