Yahoo!ニュース

なぜスペインは日本に敗れたのか?無意味だった1038本のパスと高いポゼッション率。

森田泰史スポーツライター
競り合う守田とペドリ(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

パニックに駆られた夜だった。

カタール・ワールドカップのグループステージ第3節、スペイン対日本の一戦は、日本が2−1で勝利した。その結果、グループEでは日本の首位通過、スペインの2位通過が決まっている。

堂安のクロスのシーン
堂安のクロスのシーン写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

無論、スペイン戦の勝利で日本中が歓喜に沸いた。一方、スペインでは「難破した船」「悲劇の寸前」と衝撃的な一報が伝えられた。

■スペインの敗因

ここでは、なぜスペインが日本に敗れたのかを、スペイン的な視点で分析したい。

スペインは【4−3−3】で日本戦に臨んだ。いつものシステムだ。ローテーションに関しては、ルイス・エンリケ監督は極端には行わなかった。ゼロトップのマルコ・アセンシオの代として9番タイプのアルバロ・モラタが入ったが、フェラン・トーレスの代わりにニコ・ウィリアムス、ジョルディ・アルバの代わりにアレッハンドロ・バルデと似たプレースタイルの選手をスタメンで組み込んだ。

スペインは前半からボールを保持して攻め込んだ。3バック(守備時5バック)の日本に対して、自由にパスを回した。前半11分には、セサル・アスピリクエタのクロスにモラタがヘディングで合わせ、先制点を奪取。完全にペースを握っていた。

スペインは2人のセンターバック、ロドリ・エルナンデスとパウ・トーレス、そしてアンカーのセルヒオ・ブスケッツを中心にボールを循環させていく。これに日本のCF、2シャドー、ダブルボランチが対応しようとしたが、プレスが嵌っていないのは明らかだった。

■ルイス・エンリケの誤算

ただ、スペインにも誤算があった。そのひとつは後半から日本がプレスの位置を高くしてきたことだ。

そして、それはゴールに直結してしまう。

この記事は有料です。
誰かに話したくなるサッカー戦術分析のバックナンバーをお申し込みください。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

森田泰史の最近の記事