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ラウタロはメッシとスアレスの決定力に頼るバルセロナの解決策になり得るか。

森田泰史スポーツライター
ラウタロとスアレス(写真:ロイター/アフロ)

ラウタロ・マルティネスのバルセロナ移籍が、現実味を帯びてきている。

バルセロナは来季に向けてラウタロを獲得するべく動いてきた。契約解除金1億1100万ユーロ(約127億円)の支払うのではなく、2選手を譲渡して移籍金を引き下げようという目論見のもとに、インテルと交渉を続けてきた。

ラウタロに対して新契約を準備していたインテルだが、バルセロナは年俸1000万ユーロ(約12億円)の5年契約で、すでにラウタロと個人合意に至っているようだ。残すはクラブ間交渉で、移籍金は6000万ユーロ(約70億円)前後になり、選手譲渡に関してはネルソン・セメド、エメルソン、アルトゥーロ・ビダルがオペレーションに含まれる可能性がある。

■ラウタロの起用法/バルセロナとインテルの違い

重要なのは、ラウタロの起用法だ。

インテルでは、アントニオ・コンテ監督の下、3-5-2でプレーしている。ロメル・ルカクと2トップを組み、破壊的な攻撃力を見せつけている。

3バックのインテルは、ビルドアップで詰まった際に、ルカクにロングボールを送る。ルカクがそれをきちんと収めるため、ラウタロの役割はそのサポートで、あるいは「第三の動き」でスペースを狙うというものだ。

また、相手陣内に入ったら、ブロゼビッチ、ステファノ・センシ、マティアス・ベシーノの中盤の3選手がトライアングルを形成しながら縦パスを試みる。ターゲットはルカクだ。ただ、ルカクはバイタルエリア付近でのポストワークに終始しない。時に、相手CBを釣り出して、ライン間でボールを受けようとする。その際、空いたスペースに飛び込むのがラウタロである。この2人の関係性は完璧に補完されている。

だが現実的に考えて、ラウタロとスアレスの共存は難しいだろう。まず、前述したようにバルセロナが2トップのシステムを使用するのは想像しにくい。キケ・セティエン監督の続投を基本路線とするなら、なおさらだ。

■メッシとの相性/「MSN時代」の超越

2017年夏にネイマールがパリ・サンジェルマンに移籍して以降、バルセロニスタの「MSN」へのノスタルジーは消えない。リオネル・メッシ、スアレス、ネイマールの3トップは、結成から3シーズンで公式戦363得点を記録した。

だが、その得点力以上に、「MSN」の化学反応が本拠地カンプ・ノウの観衆を虜にした。3選手のフィーリング、相性の良さは抜群で、攻撃のスイッチが入った時のアイデアとコンビネーションに、人々は酔いしれていた。

ネイマールが退団して、バルベルデ前監督の下で重要な役割を担ったのがジョルディ・アルバだった。アルバもまた、メッシと非常に相性の良い選手であり、その「偽ウィング」の機能性がバルベルデ時代のバルセロナの大きな武器のひとつになった。

近年のバルセロナはメッシを中心にチームが回っている。バロンドールを6回受賞するような、規格外の選手がいるゆえの現象だ。メッシがいる限り、彼を攻撃の軸に据えない指揮官は存在しない。メッシとの相性、「背番号10」を快適にプレーさせるというのは、現在のバルセロナにおいては結果に直結する大事なファクターになる。

ラウタロの課題はメッシとのピッチ上のフィーリングだ。もっと言えば、それを確かなものにしながら、得点という目に見える結果を残すことである。そのタスクを全うしなければ、おそらくスアレスは超えられない。世代交代を考えるなら、33歳のスアレスより、22歳のラウタロがベターなのは明らかだ。

だが実力主義のフットボールの世界で、ポジションは与えられない。それは勝ち取るべきである。ラウタロの移籍が間近だというニュースに、多くのバルセロニスタが喜んでいる。一方で、それは本当の意味で「MSN時代」を超越できるかどうかという挑戦なのである。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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