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バルサがコウチーニョ獲得を半年越しに実現。「MSD」か「MSC」というバルベルデの贅沢な悩み。

森田泰史スポーツライター
移籍を希望していたコウチーニョ(写真:ロイター/アフロ)

バルセロナがフィリペ・コウチーニョ獲得でリヴァプールと合意に達した。クラブが半年越しにコウチーニョ獲得を実現させた一方で、エルネスト・バルベルデ監督は新たなジレンマを抱えることになりそうだ。

今夏ネイマールがパリ・サンジェルマンへの移籍を決断した際、後釜候補に挙げられたのがウスマン・デンベレとコウチーニョだった。しかしながらリヴァプールの徹底抗戦に遭い、バルセロナはブラジル代表MF獲得をできずに2017-18シーズンを迎えた。

それでもバルセロナはコウチーニョ獲得を断念しなかった。今冬の移籍市場が開くと、ジョゼップ・マリア・バルトメウ会長が直々に動き、リヴァプールと再交渉。最終的には移籍金固定額1億2000万ユーロ(約162億円)にボーナス4000万ユーロ(約54億円)で決着したようだ。

■グリエズマンを狙っていたバルセロナが犯した過ち

バルセロナが狙っていたのは、コウチーニョだけではない。アトレティコ・マドリーのアントワーヌ・グリエズマン、アーセナルのメスト・エジルらにもクラブは鋭い視線を送っていた。

だがグリエズマン獲得に関して、バルセロナはある失敗を犯した。バルトメウ会長が選手の家族と接触したというのを、スペイン紙『ムンド・デポルティボ』にリークされてしまったのだ。

加えて、その直後に幹部のギジェルモ・アモール氏が「そういうコンタクトがあるのは普通のことだ」と発言して、火に油を注いだ。このコメントはアトレティコの怒りを買った。

アトレティコは即座にFIFAに対して訴えを起こした。FIFAはバルセロナに処分を下すか検討しているが、バルセロナがグリエズマン獲得に動きにくくなったのは事実だろう。

■コウチーニョの希望

バルセロナがコウチーニョ獲得を成功させた背景には、コウチーニョの強い希望があった。

「バルサ移籍はコウチーニョの夢だった。彼は私に対して、クラブの人間に対して、移籍を強く主張した」とユルゲン・クロップ監督が語る通り、コウチーニョはバルセロナ移籍を望んでいた。夏の市場ではリヴァプール残留を決めたコウチーニョだが、シーズン前半戦のチームの成績次第で、1月の移籍を容認するようにクラブに頼み、合意していたという。

リヴァプールは現在首位マンチェスター・シティと勝ち点18差の4位とプレミアリーグ制覇が困難な状況で、コウチーニョとの約束を守りバルセロナとの交渉に応じた。

■指揮官の贅沢な悩み

「勝っているチームは弄(いじ)るな」という鉄則がある。ただ、今季リーガエスパニョーラで15勝3分けと無敗を維持しているバルベルデ監督は、コウチーニョの加入でシステムと戦術の見直しを強いられるはずだ。

リオネル・メッシ、ルイス・スアレス、デンベレの「MSD」に賭けるのか、メッシ、スアレス、コウチーニョの「MSC」に賭けるのか。あるいは4選手を共存させるのか。その場合、絶好調であるパウリーニョの処遇はどうするのか...。指揮官の悩みは尽きない。

コウチーニョは4-3-3なら両ウィング、左右インテリオール(中盤前目)で、4-4-2なら両サイドハーフ、トップ下、2トップの一角としてプレーできる。合計8ポジションで起用可能なのだ。

ひとつだけネックがあるとすれば、今季リヴァプールの選手としてチャンピオンズリーグ(CL)でプレーしたコウチーニョは、バルセロナでCLに出場できない。バルベルデ監督はそれを考慮した上でコウチーニョをフィットさせながら、リーガ、CL、コパ・デル・レイの3大会で奪冠を目指さなければいけない。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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