史上初めて女性が「雷雨注意報」を発表 アメリカ
アメリカでは、女性労働者が全体に占める割合は5割なのに、科学分野における女性の比率は3割未満です。天気業界で見てみても、女性キャスターの割合は3割、管理職となると1割以下というデータもあります。
決定的に男性が多いアメリカの気象業界で、先週、ある偉業が打ち立てられました。気象官のエリザベス・ライトマンさんが、女性としては初めて「雷雨注意報」を発表したのです。
SPCとは…
一体どういうことでしょうか。
アメリカでは、雷雨や竜巻の発生が予想される数時間前に、注意報(Watch)が出されます。これらを発表する機関はストーム予測センター(SPC)で、そこにはアメリカの気象官の中でもエリートと呼ばれる人たちが勤務しています。
主要業務をこなす気象官が約20人いるそうですが、女性は2人のみです。そうしたこともあって、同組織は約70年の歴史を持つものの、これまで女性が注意報を発表したことは一度もなかったといいます。
ところが15日(水)、勤続13年のエリザベス・ライトマンさんが快挙を成し遂げました。
その日アメリカ南部では激しい雷雨が予想され、勤務中だったライトマンさんが、激しい雷雨と降雹などのリスクを知らせる「雷雨注意報(Severe thunderstorm watch)」を発表しました。お茶目なライトマンさんは、その瞬間を写真に撮って、その写真をSNSに投稿しています(上のツイッター)。
その時発表された注意報の全文を見ると、最後の行にライトマンさんの名前が輝かしく記されているのが分かります。
気象一筋の少女
ライトマンさんは、幼い頃から気象に魅せられ、親に呆れられながらもカメラで雲の写真を撮り続けたり、日々オンライン上で気象局の情報を入手したりと、天気一筋の幼少期を過ごしてきたそうです。
ある時、気象情報に執筆者の名前が記されているのを見つけ、それ以来その人たちにヒーローのような憧れを感じてきたといいます。今はその尊敬する気象官の中に混じって、活躍しているというわけです。
気象分野の女性の活躍
ところで、国連の世界気象機関(WMO)は、気象分野で活躍する女性リーダーをホームページで特集しています。
そこには、男性優位の社会における苦労やアドバイスが紹介されています。多くの女性リーダーは次のようなことを話しています。
「少数派である女性が活躍することは、容易いことではない。しかし、誰よりも努力し、自分の信念に忠実であり続け、専門知識を活用することで、問題は克服できる」
女性が今よりも自由に活躍できる日が早く来ることを、願ってやみません。
(↑気象などの科学分野に女性の力がもっと必要だと説く、WMOの投稿)