東京の気温34.8度で「史上もっとも暑いオリンピック」に
東京オリンピックも残すところあと僅かですが、暑さは日に日に深刻化しています。
6日(金)には、東京の気温が今年最高となる34.8度に達しました。これは、オリンピック記録である可能性が高いようです。ユーロニュースなどによると、これまでの五輪の最高気温記録は、2004年アテネ五輪で出た34.2度ということですから、それを0.6度上回ったことになります。
そのうえ、カラッとした地中海性気候のアテネとは異なり、東京の湿気は蒸し風呂級ですから、屋外でベストを尽くさなくてはならない選手やボランティアの置かれた状況は想像に絶するものがあります。
体感気温は43度
湿度を考慮したときの体感温度はどれ程だったかというと、東京が34.8度に達したとき湿度は55%だったので、体感温度43度と計算されます(アメリカ気象局の計算式使用)。一般に熱けいれんや熱疲労の危険が高く、長時間太陽のもとで運動をすれば熱中症が起こるレベルとされています。
札幌では観測史上最長熱波
暑すぎる東京を避けるために、マラソンや競歩の会場に急きょ選ばれた札幌ですが、今夏はあいにく前代未聞の熱波に見舞われています。6日の気温は、東京を上回る35.0度まで上がって、今季3度目の猛暑日を記録しました。これで17日連続の30度台となり、1924年の観測史上最長記録に並びました。
同日早朝に行われた競歩では、朝5時から気温は25度以上、試合の終わった10時半頃には31度を超えていました。参加者59人中10人が暑さのため途中棄権をしたと伝えられています。
残念ながら今年のオリンピックは「史上最悪の気象環境下で行われた大会」として記録されることになりました。
次の夏季五輪3都市の夏の気温
今後の候補地の気候はどうなのでしょうか。お節介にも見てみることにしましょう。
2024年の夏季五輪はパリ、2028年はロサンゼルス、2032年はブリスベンが控えています。パリの7月から8月の最高気温の平均は25度ほどですから、東京よりもずっと過ごしやすい気候です。しかし、2年前の7月には、なんと42.6度まで上がって観測史上最高気温を記録しています。
ロサンゼルスの同時期の平均最高気温は29度ほどです。湿度も低いため、いつも通りならば東京ほどの暑さは感じられません。ただ近年は気温が40度近くなることも珍しくなく、さらに早くも山火事シーズンに突入している可能性もあります。そうなると、山火事の煙がオリンピックに影響する可能性も否定できません。
ただ、その次の豪州ブリスベンの場合は、南半球なので開催は冬となり、23度ほどの比較的快適な気温が期待できそうです。
2085年の開催可能地は8つ
このまま気温上昇が続いていくと、2085年には夏季五輪がほとんどのところで開催できなくなってしまう可能性があるようです。
カリフォルニア大学バークレー校のカーク・スミス教授らが2016年に発表した論文によると、2085年に夏のオリンピックが開催できるのは、西ヨーロッパを除くと北半球の543の都市のうちたった8か所なのだそうです。
その希少な場所とはたとえばサンクトペテルブルグ(ロシア)、リガ(ラトビア)、ウランバートル(モンゴル)、カルガリーとバンクーバー(カナダ)やサンフランシスコ(アメリカ)だとか。
カルガリーやバンクーバーなどのように、かつての冬季五輪の開催地が、夏季五輪に適していくようです。すでにバンクーバーは冬にオリンピックを開くには暖かすぎて、2010年の冬季五輪では記録的な雪不足となって、ヘリコプターやダンプカーなどで雪が連日運ばれる光景が印象的でした。
かねてから温暖化による五輪への影響が懸念されてきましたが、今回の東京五輪をきっかけにして、より一層議論が深まることは必至です。
(↑東京の夏季の平均気温は1900年から2.8度上昇している、とNASA)