ジェットに乗って、NYーロンドン間で最短記録「4時間56分」達成

イメージ画像(写真:ロイター/アフロ)

例えば日本から北米に旅行するとき、行きは帰りよりも飛行時間が短いことはよく知られています。上空には「ジェット気流」という強い西風が吹いていて、行きの飛行機は気流に乗って、帰りは逆らって飛ぶため時間が変わるのです。

またジェット気流は一般的に冬の方が速くなるので、冬の方が夏よりも短時間で北米に着きます。

このジェット気流のおかげで、大西洋横断路線における飛行時間の記録が打ち立てられました。

大西洋横断路線で最速記録

その記録を作ったのが、ニューヨーク・JFK空港を8日に出発し、ロンドン・ヒースロー空港に9日に到着したブリティッシュ・エアウェイズ(BA)112便でした。

通常の旅客機による、大西洋横断路線のこれまでの最短飛行時間の記録は、2018年1月にノルウェー・エアシャトルが打ち立てた5時間13分でした。しかしFlight Radar24によると、BA112便はそれよりも17分短い、4時間56分で飛んでしまったようです。

異常に早く着いたのはこの便に限らなかったようです。

その後に同空港を出発したヴァージン・アトランティック航空4便は4時間57分、そして同じくヴァージン・アトランティック航空の46便は4時間59分と、ともに5時間を切りました。

この区間の平均飛行時間は6時間50分ということなので、約2時間も早く飛んでしまったというわけです。

超高速で飛んだ理由

イギリス気象局発表の9日0時の地上天気図。低気圧「キアラ」がイギリスに接近している。
イギリス気象局発表の9日0時の地上天気図。低気圧「キアラ」がイギリスに接近している。

この記録の背景には、強いジェット気流と低気圧の影響がありました。

当時、この時期としても珍しい強いジェット気流が大西洋上を吹いており、同時に発達中の低気圧「キアラ」が大西洋を横断していました。この低気圧、実は先週アメリカ東部に竜巻や大雪をもたらし、死者を出すなど大きな被害を出しています。

BA112便はこれらによる追い風の影響で、一時、対地速度が時速1,327キロ(825マイル)にまで達したそうです。

反対に、ジェット気流に逆らって飛ぶこととなったロンドン発ニューヨーク便は、約2時間半も余分に時間がかかってしまったとのことです。

コンコルドの記録

ちなみに、今はなき超音速旅客機コンコルドは、1996年に同区間を2時間52分59秒で飛行しています。飛行速度はなんと時速2,173キロだったそうですから、桁違いの速さです。

ジェット気流の発見者

このようにジェット気流は、航空機の飛行速度を左右します。その名前はこの気流がジェット機のエンジンから出される高速な空気の流れに似ていることに由来します。

誇らしいことに、このジェット気流を世界で最初に発見したのは日本人です。本によってはアメリカ人パイロットと書かれているものもありますが、実際は元高層気象台長の大石和三郎氏でした。

大石氏は1926年に論文を発表し、事実上世界初のジェット気流の発見者となりました。しかし当時、日本がまだ科学の先進国でなかったこと、また論文がエスペラント語で書かれていたことなどから、海外の科学者の目に留まらず、日の目を見ることがなかったのです。

ただ今日では、大石氏が最初の発見者として世界でも認識されるようになっているようです。