空港は冠水、砂漠は草原に。UAEで雨が多くなったわけ

ドバイの砂漠を歩くラクダ(写真:アフロ)

アラブ首長国連邦は、その国土の80%を砂漠が占めています。年間降水量は全国平均で80ミリにも満たず、日本の降水量のたった20分の1にすぎません。

この国で、いまちょっとした異変が起きています。砂漠に草木が生い茂り、可憐な花まで咲いているのです。そんな草原の中を歩くラクダは、遠くから見るとまるで馬のようにも見えてしまいます。

今季の天候

このところアラブ首長国連邦では、大雨や嵐が続いています。

例えば昨年12月20日には大雨で道路が冠水、今年1月6日には落雷が発生、11日には大粒の雹が降り、12日にはドバイ国際空港の滑走路が水に浸り、21日には水上竜巻も発生しました。

特に1月9日~12日には、20年来の大雨が降って1人が死亡、2,000件の交通事故が発生しています。この時期は雨季に当たりますが、例年を超える降水量となっているようです。

大雨の背景は?

しかしこの大雨、単に自然が原因というわけではなさそうです。

Gulf Newsによると、アラブ首長国連邦では2015年から人工降雨のプロジェクトが行われており、これまでに1,500万ドル(約16億円)が使われたとのことです。

その方法は、雲の中に塩の微粒子を撒き、その塩を核として水滴が成長し、雨となって落ちてくるというものです。その塩を散布するための航空機はアルアイン国際空港に4機あって、積雲の発生が予想されると、この雲の種まき作業(クラウドシーディング)が行われるのだそうです。

(↑クラウドシーディングの様子。UAE気象局。)

効果は?

では、どれだけの効果が出ているのでしょうか。

同記事によると、2018年には184回クラウドシーディングが行われたものの、46.5ミリの雨が降っただけでしたが、2019年には247回で101.1ミリの雨が降ったといいます。今年は1月20日までの時点で17回行われているそうです。

気象局は、増加した降水量のうち30~35%は人工降雨作戦によるものではないかと話しています。

失敗したら補償は?

人工降雨によって自分の車に被害が出た場合、保険は適用されるのでしょうか。

ドバイの地元ニュースによると、契約内容に特別な記載がない限り、適用されるそうです。

ただ、過去には他国で、補償金をケチって訴訟沙汰になった例があります。

2008年ロシア・モスクワ郊外で行われたクラウドシーディングの作業中、誤って空から25キロのセメントの袋を落としてしまい、民家の屋根を突き破って1メートルの大きな穴を開けてしまったそうです。(ロシアではクラウドシーディングにセメントの粉を用いているそう)

屋根の修繕費として空軍が2,100ドル(現在のレートだと23万円)の申し出をしたところ、家主は「道徳的な苦痛」を受けたと、損害賠償を求めて訴えたといいます。

くれぐれも、空から落とすのは雨だけに。