2018年はワインの豊作年 背景に記録的な寒波と熱波

(写真:アフロ)

大寒波、雹、熱波に水不足と、今年ヨーロッパは度重なる激甚な気象に襲われました。このように悪天が重なったにもかかわらず、フランスなどヨーロッパの国々では、ワイン用ぶどうの生産・品質ともに数年来で最高のレベルとなっているようです。

2018年のフランスワイン

フランスでは去年、霜や雹によってブドウの収穫量が1945年以来の最悪の水準となりましたが、今年は打って変わって豊作の年となりました。

フォーブスによると、今年のワイン生産量は、昨年よりも約25パーセント増の4,610万ヘクトリットルに達する見込みとのことです。去年と今年の生産量の差は930万ヘクトリットルで、これはオリンピックプール372杯分にも相当します。

また世界全体で見ても、今年はワイン生産量が大きく増加しています。国際ぶどう・ぶどう酒機構(OIV)によると、全世界のワイン生産量は去年の12.4%増の2億8200万ヘクトリットルで、今世紀最大級とのことです。

ドイツやイギリスでも

フランスと同じように、ドイツやイギリスなどでも豊作の年となりました。ドイツ・ワインインスティトゥートによると、ドイツの収穫量は過去10年間の平均を23%も上回り、1999年以来最高と見込まれるほか、ブドウの出来も並外れてよいとのことです。

一方ドリンクス・ビジネスによると、イギリスでも「記録的な年」と呼ばれるほどの当たり年で、ワイン農家は加工や貯蔵場所が不足するかもしれないと嬉しい悲鳴を上げているようです。

(↑ヨーロッパ全体では去年より27%増)

大豊作の理由

こうした記録的な豊作の背景には、今年ヨーロッパを襲った極端な天候がありました。

【冬の寒波】

まず冬の終わりから春のはじめにかけての記録的な寒波です。この寒波は「Beast from the east(東の猛獣)」という別名で呼ばれ、ヨーロッパ各地に平年よりも10℃以上低い気温をもたらしました。

一部では霜などによる被害が出たものの、イギリスなどではぶどうの開花が遅れ、成長も遅くなったことから、逆に霜害による被害が少なくすんだようです。

【春の嵐】

しかし4、5月には雹の嵐が襲い、フランスなどのぶどう農園で壊滅的な被害が発生してしまいました。例えばボルドー地方では全体の5%に当たる7,100ヘクタールに被害が発生し「農家は農園を売り払わざるを得なくなるかもしれない」とさえ言われたほどでした。

【夏の熱波、晴天】

しかし幸いなことに、夏には記録的な高温と晴れの日が続きました。イギリスでは42年ぶりの大熱波となり、フランスでは史上2番目に暑い夏となりました。

下のグラフは、フランス・ボルドーにおける5~10月にかけての日最高気温の推移です。特に7、8月の高温が顕著で、全体的にも7割の日で平年を上回る暖かさとなりました。

こうした記録的な高温や晴天により、ぶどうの成熟が進み、収穫も記録的に早い時期から始まったのです。

気象庁のデータをもとに筆者作成
気象庁のデータをもとに筆者作成

ボルドーワインの農家は、今年のビンテージは今世紀最高といわれた2009年や2010年に匹敵するかもしれないと、喜びと期待をあらわにしています。