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大阪桐蔭強し! 強豪集中ブロックの対戦相手よりも気になる難敵とは?

森本栄浩毎日放送アナウンサー
大阪桐蔭が盤石の滑り出し。甲子園練習で森の投球を見守る西谷監督(筆者撮影)

 大会5日目に大阪桐蔭が登場し、北海(北海道)に7-1で快勝して、上々のスタートを切った。しかし6日目は雨天順延となり、しばらく雨予報が続いている。もともと強豪集中ブロックに入った上、今後は日程面での不利も予想される。

エース快投、新メンバー活躍で盤石

 近畿勢5連敗を受けて登場した大阪桐蔭は、北海を寄せ付けなかった。3回、秋にはほとんど出番がなかった6番・岡江伸英(3年)の2点適時打で先制すると、新メンバーの8番・宮本楽久(がく=2年)も続き、一挙4得点。先発した最速154キロのエース・平嶋桂知(3年)が140キロ台中盤の速球を武器に、7回を4安打7三振にまとめ、1失点(自責0)で後続にバトンを渡した。秋は四球からの失点が目立ったが、この日は無四球で、西谷浩一監督(54)も「背番号1の責任感。相手を見ながらよく投げていた」と高評価を与えた。

西谷監督、わずか20年で最多タイも平然

 この勝利で西谷監督は春夏甲子園通算68勝となり、智弁和歌山前監督の高嶋仁氏(77)と並ぶ甲子園最多勝。次戦に単独1位が懸かる。

甲子園練習を見つめる西谷監督。優勝は春夏ともに4回ずつで、2年ぶりのセンバツ制覇を狙う。初戦は新戦力の台頭もあり「秋に悔しい思いをした選手が力をつけている」と笑顔が絶えなかった(3月14日、筆者撮影)
甲子園練習を見つめる西谷監督。優勝は春夏ともに4回ずつで、2年ぶりのセンバツ制覇を狙う。初戦は新戦力の台頭もあり「秋に悔しい思いをした選手が力をつけている」と笑顔が絶えなかった(3月14日、筆者撮影)

 もっとも本人は「監督の勝ちではなく、歴代OBの積み重ね。(最多勝は)意識はしていないし、次の試合に勝ちたいだけ」と、さらりとかわした。初勝利は2005(平成17)年夏の春日部共栄(埼玉)戦で、当時1年生の中田翔(34=中日)が投打に活躍した試合だった。わずか20年でトップに躍り出るとは、すごいとしか言いようがない。

次戦は昨夏4強の神村学園

 2年ぶりのセンバツ優勝に向けては死角なし、と言いたいところだが、実際はそうでもない。次戦は、関東王者の作新学院(栃木)を堂々と破った神村学園(鹿児島)が待ち受ける。本塁打を放った4番・正林輝大(3年)ら昨夏4強の主力打者が残り、作新の小川哲平(3年)を圧倒した。また準々決勝では、昨春に逆転負けを喫した近畿の宿敵・報徳学園(兵庫)と当たる可能性がある。

カギを握るのは2年生の森か

 今大会の大阪桐蔭は、西谷監督の指導歴の中でも「使える投手は一番多い」と言うくらい、投手陣の層が厚い。初戦でも中野大虎(2年)、南陽人(3年)を試運転させたが、カギを握るのは最速151キロ右腕の森陽樹(2年=タイトル写真)とみる。一昨年の前田悠伍(ソフトバンク)のような起用法になるのではないか。つまり、優勝まで最難関と思われる試合には先発で、目の前の試合の最重要場面には救援での起用だ。次戦での森の動向に注目したい。

5日で4試合の強行軍も

 そして、対戦相手以上に西谷監督を悩ませそうなのが日程だ。6日目の中止で決勝が一日ずれた(31日)が、今後の雨予報でさらに中止が重なると、決勝前の休養日が消滅する。2回戦以降、5日間で4試合という強行軍となり、選手のマネジメントが極めて難しい。百戦錬磨の西谷監督のことなので、対戦相手を想定して投手のやりくりを描いてはいるだろうが、雨には勝てない。今ごろ、天に祈っているのではないだろうか。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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