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いよいよ今週末に出場校の練習試合解禁! いつごろまでセンバツはぶっつけ本番だったかご存じですか?

森本栄浩毎日放送アナウンサー
いよいよ今週末、センバツ出場校の練習試合が解禁となる。本番も間近だ(筆者撮影)

 今週末の3月2日にセンバツ出場校の練習試合が解禁となる。以前は、事実上、センバツの開幕に合わせて高校野球シーズンが始まることになっていたので、甲子園出場校はぶっつけ本番で大会に臨んでいたことになる。

アウトオブシーズン規定はあるが柔軟に対応

 他校との練習試合、つまり対外試合が可能になるかどうかは、高校野球のアウトオブシーズン規定による。対外試合ができないアウトオブシーズンは、12月1日から翌年の3月8日までとされていたが、近年、センバツの開幕が早まったこともあって、3月第1土曜日の練習試合解禁を原則に、柔軟な対応を取ってきた。今年の3月2日は、これまでで最も早い解禁日となる。

30年前から練習試合ができるように

 センバツ前の練習試合は今や当たり前となっているが、以前は3月25日からがシーズン(11月末まで)と規定されていて、事実上、センバツの開幕=高校野球のシーズンインだった。つまり、センバツ出場校は大会前に対外試合は行えず、ぶっつけ本番で大会に臨まざるを得なかったのである。この規定が変わったのは、ちょうど30年前の1994(平成6)年のこと。この年から3月15日以降、練習試合ができるようになった。この年の開幕は26日だったので、準備期間は現在よりも短いが、それでも以前のことを考えると、雲泥の差がある。

以前の実戦はせいぜいが紅白戦

 センバツにおける各校の評価は、4か月以上も前の秋の大会の戦いぶりから判断するしかない。実際、秋より後退しているチームも少なくないのが現状で、これは今も昔も変わらない。ただ、ぶっつけ本番だった時代は、指導者が選手の調子やチーム状態に確信を持てないまま初戦を迎え、力を出す間もなく敗れ去ってしまった例が後を絶たなかった。実戦練習といっても、せいぜいが紅白戦くらいで、部員の少ないチームはOBの助けを借りるなどの苦労もあったと聞く。他校との試合はそれなりの緊張感もあるし、紅白戦のようなチーム内での遠慮もない。相手もセンバツ出場校を倒して夏に弾みをつけようと、本気で向かってくるからだ。

以前から雪国のチームは温暖な環境で調整

 ぶっつけ本番の時代から、特に冬期の気候に恵まれない地域の出場校は、温暖な場所で調整することが多かった。ただし地元のチームと手合わせはできない。30年前からは、調整と同時に地元の有力校との対戦が可能になり、本番までの課題をより正確に把握できるようになった。現在では、プロ野球キャンプが終わった直後の沖縄まで遠征するチームも、20校ほどある。横浜(神奈川)や龍谷大平安(京都)、浦和学院(埼玉)などは20年以上前から恒例行事にしているようだ。

沖縄勢を強くした春先の練習試合

 沖縄の高校は練習量が豊富で調整が早いため、いい経験ができる。平安の原田英彦監督(63)は、「足の速い選手が多く、特に守りの面でいい刺激になった」と話していたことを覚えている。ちなみに沖縄のセンバツ出場校は、かつては甲子園の寒さにやられて力を発揮できないことが多かった。しかし練習試合が可能になり、全国から多くの有力校が訪れるようになってからは、センバツで3度の優勝(夏は1度)がある。筆者は近年の沖縄勢躍進の最大の要因は、春のこの時期の本土勢との鍛錬にあると思っている。

万全の状態で本番を!

 いくら練習試合ができるといっても、規定によって、出場校同士はもちろんのこと、出場の可能性がある補欠校とも戦うことはできない。履正社(大阪)などは対戦希望が殺到しそうだが、近畿地区補欠校なのでセンバツが終わるまで、32校との対戦はかなわない。多くのチームは来月2日の解禁を前に意欲満々と察するが、開幕まではまだ半月以上ある。いきなりピークに持っていっても、チーム状態が下降線で本番を迎えるようでは本末転倒。また、張り切りすぎるあまり、ケガをする選手もいる。アピールしたい気持ちは理解できるが、甲子園でプレーできなければ悔いが残るだけだ。32校の選手たちが、万全の状態で本番を迎えられるよう願っている。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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