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被災地石川から2校出場なるか!「増枠」の東北、東海の3番手難航必至? センバツ選考会を占う(前編)

森本栄浩毎日放送アナウンサー
春を呼ぶセンバツ出場の32校がいよいよ決まる(写真は過去の選考会から、筆者撮影)

 センバツ選考会が来週に迫った。当落線上の学校は、やきもきする日々を送っていることだろう。今回は、枠数が変更になった地区もあり、特に「3枠」の東北、東海と、神宮枠獲得で増枠となった北信越は候補校の優劣がつけがたい。まずは東海、北信越までの東日本編を展望したい。

北海道(1)

 夏の甲子園でも活躍の北海が戦力充実

 昨夏の甲子園で16強入りした北海が、経験豊富な野手陣の活躍で優勝。右腕の松田収司(1年)が投手陣の軸に成長した。決勝でタイブレーク負けした東海大札幌が続く。また別海は、選手16人で4強入りと健闘し、北海とも終盤まで接戦を演じた。21世紀枠に夢を託す。

東北(3)

 学法石川が久しぶりの甲子園なるか

 近年の活躍がめざましい地区で、増枠は順当なところだろう。青森勢が強固な投手力でワンツーとなった。青森山田はエース・関浩一郎桜田朔(ともに2年)の2枚看板。八戸学院光星は、夏の甲子園8強の左腕・洗平比呂(2年)が健在で頼もしい。3番手の比較は難しい。いずれも4強の一関学院(岩手)と学法石川(福島)の一騎打ちの様相で、白熱の議論が予想される。一関学院は県1位で、大型左腕の高沢奏大と右腕の小山礼莉(ともに2年)の投手力が充実している。学法石川は県3位ながら健闘し、1回戦から3勝して4強入りした。捕手登録で奮闘した大栄利哉(1年)が、エースで4番の重責を担った。左腕の佐藤翼(1年)も光星戦で1失点完投していて、投手力では引けをとらない。センバツでは33年ぶり、夏を合わせても25年ぶりの甲子園なるか。準決勝でともに完封負けしたため、東北大会トータルでの議論になるだろう。

関東(4.5)

 5番手は激戦区を制した桐光学園か

 北関東勢が充実した戦力で上位に顔を揃えた。作新学院(栃木)はエース・小川哲平(2年)が抜群の安定感を見せた。センバツ連覇に挑む山梨学院は、メンバー一新ながら粘りは健在で、タイブレーク連勝から決勝まで勝ち残った。健大高崎(群馬)は入学早々からエースに抜擢された左腕・佐藤龍月と右腕・石垣元気の1年生両輪が魅力たっぷり。打線好調だった常総学院(茨城)は、4番・武田勇哉(2年)が牽引する。東京との比較になる5番手に浮上するのは桐光学園(神奈川)か。慶応を完封したエース・法橋瑛良(2年)の右腕に注目で、野手陣も好選手が揃っている。好投手のいる中央学院(千葉)、全国屈指の打力を誇る花咲徳栄(埼玉)も大差なく、候補に挙がる学校はいずれも県1位。それだけに、今季の関東はレベルが高いと言えそうだ。

東京(1.5)

 2番手の創価がどこまで評価されるか

 優勝の関東一は、神宮大会で大阪桐蔭に完勝し、自信を深めている。投手陣は左腕・畠中鉄心と右腕・坂井遼に加え、左腕の大後武尊(いずれも2年)が神宮大会で好投した。打線も振りが鋭い。創価は、決勝で看板の打線が本塁打による1点に抑えられた。東京大会トータルで失点の多いのが、関東5番手との比較でどう影響するか。ちなみにこの「抱き合わせ枠」はここ2年、東京が獲得している。

東海(3)

 宇治山田商と藤枝明誠の一騎打ちか

 センバツで実績のある愛知の2校が決勝に進み、出場が確実視される。豊川は両親がロシア人というモイセエフ・ニキータ(2年)を軸に、打線が爆発して打ち勝った。愛工大名電は好左腕・大泉塁翔(2年)ら投手陣と打線のバランスがいい。残る1枠を宇治山田商(三重)と藤枝明誠(静岡)の県1位同士で争う。宇治山田商は優勝の豊川相手に優勢だったが、終盤に追い上げられ、9回2死からの逆転サヨナラで散った。下級生がスタメンに多く名を連ね、活気がある。藤枝明誠は名電に序盤から主導権を握られ、終盤に挽回したが届かなかった。粘り強い戦いぶりを評価されれば選出もありうる。東海大会は大味な試合が目立ち、投手力に課題を残すチームが多かった。

北信越(3)

 能登の航空石川に吉報は届くか

 星稜(石川)の神宮制覇で1枠増となった。星稜は技巧派左腕の佐宗翼(2年)と右腕・道本想(1年)の両輪に、芦硲晃太(2年=主将)の勝負強い打撃が光った。敦賀気比(福井)は接戦で力を発揮し、2試合連続タイブレーク勝ち。決勝もタイブレークとなったが、星稜にサヨナラ負けした。昨春、甲子園で大阪桐蔭相手に好投した左腕・竹下海斗(2年)のさらなる成長が楽しみだ。近年の北信越を牽引する2強に続くのは、福井1位の北陸日本航空石川の4強勢。北陸は、春夏の甲子園で投げた右腕・竹田海士(2年)がマウンドを守る。3大会連続の甲子園なるか。航空石川は気比とタイブレークの熱戦で0-1の惜敗。右腕・蜂谷逞生(1年)ら多彩な投手陣を誇る。元日の震災禍で能登にある校舎が使えず、山梨の日本航空に全校生徒が避難した。地元を離れて練習に励む選手たちに、甲子園出場の吉報は届くだろうか。

 後編は近畿以西と21世紀枠の展望を。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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