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来春も近畿は難航必至? 報徳、近江、履正社、須磨翔風が線上! 抜け出すのはどのチームか?

森本栄浩毎日放送アナウンサー
激戦が繰り広げられた近畿大会。大阪桐蔭と報徳は僅差の試合になった(筆者撮影)

 神宮大会も終わり、高校野球はオフシーズンに入った。8日にはセンバツ21世紀枠の最終候補9校が発表される。同時に一般枠当落線上のチーム関係者は、やきもきしていることだろう。選考で、毎年のように難航するのが近畿地区。今回も線上は力のあるチームが多く、選出枠「6」を巡って議論百出が予想される。

当落線上は報徳、近江、履正社、須磨翔風

 まずは、秋の近畿大会の結果をおさらいしておく。優勝は大阪桐蔭で、3連覇は近畿大会史上初めての快挙。続いて京都外大西が僅差で準優勝に輝いた。4強は京都国際耐久(和歌山)で、創立170年を超える伝統校・耐久の健闘は話題になった。そして、準々決勝で敗退した4校が、残る2枠を争うことになる。試合順に報徳学園(兵庫)、近江(滋賀)、履正社(大阪)、須磨翔風(兵庫)がその候補である。

近畿は準々決勝の試合内容重視

 選考において最も重視されるのは、試合内容だ。特に近畿では、準々決勝のウエイトが高く、さらに初戦の内容、府県大会の結果、対戦相手の勝ち上がりなども加味される。今回の兵庫のように、8強同時敗退の場合は、府県大会まで掘り下げて議論される可能性がある。同時に、できるだけ多くの県から出られるように、評価が同等とされた場合は、それまでに選んでいない県のチームが優先される。これは昨春、聖隷クリストファー(静岡)が不選出になって大問題となった際、ガイドラインが発表され、その中で「複数の学校の評価が並んだ場合、できるだけ多くの都道府県から出場できるよう地域性も考慮する」と明記されている。これらを踏まえて、各校の秋の戦いぶりを振り返りたい。

報徳は間木と今朝丸の強力右腕2枚が看板

 組み合わせが決まった段階から「事実上の決勝」と言われた大阪桐蔭との準々決勝で敗れた報徳は、今春センバツ準優勝に貢献した間木歩(2年=主将)と今朝丸裕喜(2年)の強力右腕2枚が健在。揃って安定感、経験値とも抜群で、先発、救援も問わない。ただ、スコアは3-4だったが、安打数は大阪桐蔭の11に対し、わずか4本に抑えられたように、前チームに比べると攻撃面での課題は残る。特に、救援した大阪桐蔭の剛腕には完全に力負けしていた。県大会では、準決勝で社、決勝で須磨翔風を退けていて、県1位のアドバンテージもある。

近江の西山は抜群の制球力誇る

 近江は伝統の投手力が健在で、夏の甲子園でも好投した右腕の西山恒誠(2年)の安定感が際立つ。興国(大阪)との初戦を76球の3安打完封で飾ると、京都国際戦も2試合連続のゼロ行進となった。しかし味方が援護し切れず、99球目をサヨナラ打されて、近畿大会初失点で散った。スライダーを投げ分け、直球の最速も夏から3キロ増して143キロまで上がった。敗戦後に「最後は下半身に疲れが出た」と話したように、冬場に鍛えればさらに力強くなるだろう。課題は得点力で、安打の割に点数が少ない。ただ、県大会は圧倒的な強さで優勝している。

完敗の履正社は実力を評価されるか

 履正社は言わずと知れた「大阪2強」の一角で、今夏は大阪桐蔭を破って甲子園でも活躍した。秋は大阪桐蔭に1点差負けしたが、近畿大会では滋賀学園投手陣の乱調につけ込み、危なげなく初戦を突破した。しかし、勝てば4強という京都外大西との準々決勝は意外な展開。頼みのエース・高木大希(2年)が連打を浴び、味方の失策も重なって2回までに6点を失った。終盤に追い上げて、最終スコア7-10まで持ち直したが、あわやコールドという窮地もあった。実力を評価する声はあるだろうが、内容的には乏しかったと言わざるを得ない。

須磨翔風は甲子園未経験の公立

 須磨翔風は初戦で奈良1位の智弁学園にタイブレーク勝ちしたが、連戦となった耐久との準々決勝では守備陣が崩れて、報徳を上回る4強入りを逃した。秋の公式戦を一人で投げ切ったエース・槙野遥斗(2年)が大黒柱で、選考会でも高い評価を受けるだろう。いわゆる剛腕タイプではないが、走者を背負ってからの投球が身上で、粘り強い。智弁戦では強打線を9回まで3点に抑えたが、耐久戦では守備陣が乱れて主導権を渡した。攻撃面では4番がスクイズするなど堅実で、投手力に自信を持つ表れか。甲子園未経験の公立校強豪撃破などをどこまで評価されるか、注目したい。

来春センバツで当てになるのは投手力

 今秋の近畿大会は投手力のいいチームが目立ち、15試合でコールドはなし。逆にタイブレークと1点差決着が計8試合と過半数だった。来春は、低反発の新基準バットが導入される。投手力のいいチームにとっては大歓迎の改革で、近畿の当落線上4チームはそれに該当する。選考会では、例年よりも投手力を主眼に議論されるかは不透明だが、数字を判断材料にするなら、来春は攻撃力よりも投手力の方が当てになるはずだ。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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