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大阪2強の決勝対決は水入りに! 大波乱の和歌山は、江戸時代に創立の伝統校が優勝し、近畿大会へ!

森本栄浩毎日放送アナウンサー
大阪桐蔭は前チームから4番を打つラマルが健在。履正社との決勝に臨む(筆者撮影)

 近畿大会(大阪・舞洲で21日開幕)の出場校が、続々と決まっている。注目の大阪は、大阪桐蔭履正社の「2強」が圧倒的な強さで準決勝を突破し、近畿大会出場を決めた。9日に予定されていた今季の初対決は、グラウンドコンディション不良と履正社の国体出場のため、14日に順延された。

大阪2強は準決勝でともにコールド勝ち

 準決勝では、ここまで湿りがちだった大阪桐蔭打線が大爆発。初回、いきなり境亮陽(2年)の先頭打者弾で勢いづくと、前チームから4番を打つラマル・ギービン・ラタナヤケ(2年=タイトル写真)が3ラン、満塁弾で7打点と、これまでのうっ憤を晴らすかのような猛攻を見せ、18-1の7回コールドで桜宮を圧倒した。大阪桐蔭は、興国にコールド勝ちした履正社と大阪1位の座を懸けて戦うことになり、夏に決勝で敗れた雪辱を期す。また準決勝で敗れた桜宮と興国が3位決定戦を行い、近畿大会出場をめざす。

和歌山では江戸時代に創立の耐久が優勝

 そのほかの府県でも多少の波乱はあったが、最も驚かされたのが和歌山だ。夏の県大会初戦敗退からの巻き返しを狙う智弁和歌山は、準決勝で田辺と対戦。序盤から主導権を握ったが、終盤の7回に田辺の4番・山本陣世(2年)に逆転満塁弾を浴び、2-5で敗退。今年の和歌山は2校枠だったため、近畿大会出場はならなかった。優勝したのは耐久で、創立が江戸時代の1852(嘉永5)年というから、ペリーが浦賀にやってくる前の年だ。野球の盛んな和歌山で、これだけの歴史を持つ高校が甲子園経験なしというのも驚きで、近畿大会出場は40年ぶりとなる。筆者は42年前、大阪・日生球場で開催された近畿大会で耐久を見たことがあるが、当時は同じ有田地区にある箕島の全盛期で、42年前には兵庫1位の洲本を破りながら、センバツを逃した。2位の田辺も智弁和歌山の前に市和歌山を倒していて力はある。伝統ある和歌山2校の活躍に期待したい。

滋賀は順当な顔ぶれ、京都2校は好左腕を擁す

 6府県で最も順当だったのは滋賀で、決勝では近江滋賀学園を7-2で破って優勝。3位決定戦は打ち合いとなり、今春センバツで甲子園デビューした彦根総合が八幡商に9-8で逆転サヨナラ勝ちし、2年連続の近畿大会に辛くも滑り込んだ。2枠の京都は、京都国際京都外大西が準決勝でともにコールド勝ちして、近畿大会出場を決めた。

京都外大西の田中は今夏、京都国際戦で救援登板したが打たれ、4回戦で敗退。「こてんぱんにやられた」という相手に見事な雪辱だ。上羽功晃監督(53)も「よく練習するようになった」と成長を認めた(筆者撮影)
京都外大西の田中は今夏、京都国際戦で救援登板したが打たれ、4回戦で敗退。「こてんぱんにやられた」という相手に見事な雪辱だ。上羽功晃監督(53)も「よく練習するようになった」と成長を認めた(筆者撮影)

 決勝では、外大西の左腕・田中遥音(はると=2年)が緩急自在の投球で京都国際の強力打線をかわし、2-1で競り勝った。京都国際の左腕・中崎琉生(2年)ともども、制球の良さが目についた。

報徳が2年連続優勝、天理敗退も智弁学園は安泰

 兵庫は、神戸国際大付との強豪対決を制した報徳学園が2年連続の優勝。2位が今秋の近畿大会、唯一の初出場となる須磨翔風で、3位が昨夏から3大会連続甲子園出場中のという顔ぶれ。やや抽選に左右された感はあるが、投手力のいいチームが勝ち上がった印象で、打撃陣の奮起が上位進出のカギになるだろう。奈良では、天理が奈良大付に準々決勝で1-2と競り負け、近畿大会出場を逃した。智弁学園は準決勝で高田商、決勝で奈良大付を破り、2強は明暗が分かれた。3位の高田商は昨秋、近畿8強に残りながらセンバツを逃し、雪辱に燃える。

耐久、田辺など公立5校の健闘に期待

 近畿大会は16校が出場し、センバツの「6枠」を争う。今年も大阪2強を中心とした優勝争いが予想されるが、大阪桐蔭、履正社のいずれかは2位となり、大阪以外の1位校と対戦する可能性がある。また2位でも京都国際や滋賀学園は投打に力があり、3位の社も経験値が高い。公立勢は、耐久、田辺の和歌山2校と、須磨翔風、社、高田商の5校が名を連ねた。近畿からは今春まで95大会連続で公立校がセンバツに選ばれている。運命の抽選は17日に行われる。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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