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U-18日本代表、悲願の世界一へ! 世代最強左腕・前田が金メダルへ導く!

森本栄浩毎日放送アナウンサー
U-18日本代表のエース・前田は今大会無失点。悲願の金メダルなるか(筆者撮影)

 台湾で開催されているU-18野球ワールドカップは、スーパーラウンドに突入し、日本代表が、エース・前田悠伍(大阪桐蔭=タイトル写真)の快投で韓国に快勝。2戦目のプエルトリコも5回コールドで破って、決勝進出へ大きく前進した。(日本選手は全員が3年生)

2試合を無四球、無失点で安定感抜群の前田

 前田は1次ラウンドの米国戦でも先発し、6回途中まで投げて無失点。中3日で先発した韓国戦でも4回を1安打無失点と抜群の安定感だった。ここまで9回2/3を投げて被安打5、奪三振9の数字もさることながら、審判のストライクゾーンがまちまちな国際試合での無四球は恐れ入る。前田の対応力の高さと自己管理能力の賜物だろう。夏の大阪大会決勝で履正社に敗れ、甲子園を逃した悔しさを、代表のマウンドで晴らしている。高校球界のリーダー・大阪桐蔭では主将も務め、チームを代表して「JAPAN」のユニフォームに袖を通しているという自覚が感じられる。

壮行試合で大学生相手に好投

 前田はセンバツ後、長くベンチを外れ、「故障したのでは?」の噂も流れていた。大阪大会の投球も好調時と比べるとまだまだで、代表でのマウンドも懐疑的な見方をされていた。しかし、先発した大学代表との壮行試合(8月28日、東京ドーム)では、2回を3安打3奪三振で無失点に抑え、U-18代表の馬淵史郎監督(67=高知・明徳義塾)を安心させた。球数制限が厳格な今大会は、調子のいい投手や、対戦相手との相性を考えて投げさせる投手のマネジメントが大きなカギを握る。前田は韓国戦で4回を投げたがわずか47球で終え、後続投手が踏ん張った。これは願ってもない。

前田は、場合によってはラスト2試合の連投も可能

 今大会の球数制限ルールをおさらいしておくと、

  40球まで=連投可

  41球~55球=中1日

  56球~75球=中2日

  76球~90球=中3日

  91球~105球=中4日(105球が一日の最多投球数

 ただし、2日間の合計が41球になった場合は、翌日に登板できない。前田は47球しか投げていないので、中1日で、3戦目の台湾(チャイニーズタイペイ)との試合にも登板できる。また40球以内ならば、連戦となる最終日にも登板できる。

東恩納が5回完全投球でプエルトリコを圧倒

 さて、スーパーラウンド2戦目のプエルトリコ戦では、先発した右腕の東恩納蒼(沖縄尚学)が5回をパーフェクトに抑え、打線の援護もあって10-0でコールド勝ちした。東恩納は立ち上がりから制球力抜群で、5回まで一人の走者も許さない完璧な投球だった。5回をわずか53球で投げ切り、中1日で最終日の登板も可能になった。攻撃陣は、4番指名打者で出場の「二刀流」武田陸玖(山形中央)の先制適時打で主導権を握ると、その後も攻撃の手を緩めず、5回には打者一巡の猛攻で一挙6得点。あっさりコールドを決めた。スーパーラウンドに入って打線も上向きで、投打とも万全の状態で残り2試合に臨めそうだ。

台湾がオランダに勝てば日本の決勝進出が決まる

 1次ラウンドの当該チームの勝敗を持ち越すため、日本代表は3勝1敗で、地元の台湾に次ぐ2位につけている。台湾が、8日の夜に行われるオランダ戦に勝てば4戦全勝で、決勝進出となる。この場合、日本は最終戦の台湾戦を待たずに2位以上が決まり、決勝で台湾と対戦する。最終日に米国か韓国のいずれかと勝敗で並ぶ可能性があるが、日本はこの両チームに直接対決で勝っているためだ。ただし、台湾がオランダ戦を落とすとややこしい。最終日に勝たないと、3勝2敗で3チームが並ぶ可能性が残り、この場合の順位決定は、得失点率差に委ねられる。

U-18世代初の世界一も夢ではない

 仮に台湾がオランダに勝った場合、スーパーラウンド最終の台湾戦は、いわゆる消化試合となり、お互いが手の内を見せることはないだろう。逆に、負けが許されない試合になれば前田でいくしかないが、その場合は最終戦(決勝と信じたい)で東恩納を先発させられる。台湾には地の利があり、厳しい試合になるのは覚悟の上だが、前田と東恩納の左右両輪を軸に日本投手陣は絶好調で、攻撃陣とうまく噛み合えば、この世代にとって悲願の「初の世界一」も夢ではない。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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