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頼もしきエース・前田が147キロをマーク! 大阪桐蔭、史上初の快挙へ力強く進撃!

森本栄浩毎日放送アナウンサー
大阪桐蔭は前田の完投で4強進出を決めた。2度目の春連覇へあと2勝だ(筆者撮影)

 大阪桐蔭は3回戦で能代松陽(秋田)のエースから2安打しか打てず、7回にスクイズでようやく先制。最後は大黒柱の前田悠伍(3年・主将=タイトル写真右)を投入して1-0で辛くも逃げ切った。準々決勝の相手は大型チームの東海大菅生(東京)で、かなりの苦戦が予想されたが、投打に圧倒し、6-1で快勝した。

今大会一番の出来だった前田

 前日からの連投になった前田は、「立ち上がりから気持ちを入れて一球一球投げた」と言う通り、初回を10球、三者凡退で立ち上がる。「状態も良かったし、真っすぐで押すところは押せた」と、9回を134球7安打1失点。毎回の11三振を奪い、無四球と、今大会で一番の出来だった。この日の直球は147キロを計測し「普段あまり投げないカーブも交えて、いつもと違う色んな配球ができた」と、涼しい表情で振り返る姿には、自信がみなぎる。西谷浩一監督(53)も「打者に絡んでいく前田らしい球がいくつもあった。これまでのモヤモヤも取れてきたんじゃないかな」と、状態が上向いていることを認めた。

「貧打線」もようやくエースを援護

 過去2試合でチーム打率2割にも満たない「貧打線」も、相手の投手継投機を逃さず、エースを力強く援護した。3回には4番・南川幸輝(3年=タイトル写真左)の2点適時打を皮切りに4点を奪い、5回には当たりが出ていなかった5番・佐藤夢樹(3年)が、菅生の好投手・日當直喜(3年)からバックスクリーン弾を放って突き放した。投打がかみ合っての快勝で、2度目のセンバツ連覇という史上初の快挙まであと2勝となり、ここからは強敵が待ち受ける。

準決勝は前田が救援待機か?

 西谷監督が「よりレベルの高い相手と戦うので、知恵を絞っていきたい」と話すように、前田の起用法も含めたベンチワークが、快挙への大きなカギとなる。前田は「これからも全試合、投げるつもり」と、初戦後と同じ頼もしいセリフだったが、さすがに残る2試合を前田一人に背負わせることはできない。安全策をとるなら準決勝は、3回戦のように前田を救援待機させ、右腕の南恒誠(3年)や境亮陽(2年)らが踏ん張って、前田につなぐのが現実的か。そのためには攻撃陣の援護が不可欠になる。

「一戦必勝で」と頼もしいセリフ

 あと気になるのが、大阪桐蔭内野陣の守りで、失策こそ記録されなかったが、併殺を取れなかったり、ゴロをポロポロこぼす場面が見られた。競り合いになればなるほど、細かいミスが勝敗を分ける。「あと2勝だが、まずは目の前の試合を一戦必勝で」という前田の言葉が、いつも以上に頼もしく聞こえた。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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