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大阪桐蔭完勝スタート! 優勝した昨年との共通点は? 神宮大会が開幕

森本栄浩毎日放送アナウンサー
神宮大会が開幕。大阪桐蔭は東邦に快勝し、連覇へ好スタートを切った(筆者撮影)

 シーズン最後を飾る明治神宮大会が開幕。連覇を狙う今センバツ覇者の大阪桐蔭(近畿)が、有力校の東邦(愛知=東海)に9-1で快勝し、開幕戦を飾った。近畿大会から一変した試合運びに、昨年との共通点を探る。

大阪桐蔭が4回にビッグイニング

 注目の開幕戦は、両校エースの投げ合いが期待された。大阪桐蔭は言わずと知れた世代ナンバーワン左腕の前田悠伍(2年=主将)。東邦は最速149キロを誇るパワー系右腕の宮國凌空(2年)。早朝試合ということもあって、両者とも立ち上がりは手探りの状態で、じっくりとエンジンを温めていった。しかし、大阪桐蔭は二回り目に入ると宮國に襲いかかる。1-1で迎えた4回裏、大阪桐蔭は、6番・村本勇海(2年)の二塁打を足掛かりに、8番・岸本真生(まうい=2年)のフェンス直撃三塁打で勝ち越すと、9番の前田も適時二塁打。上位打線にも適時内野安打が出て、一挙5点のビッグイニングを完成させた。宮國は5回10安打6失点(自責5)と、本来の力を発揮できなかった。

前田はピンチ背負うもコース間違えず

 一方の前田も、あまりいい内容ではなかった。終盤に大差がついて8回でマウンドを譲ったが、東邦に計8安打を浴び、三振も6個にとどまった。三振を狙っていても粘られる場面があり、140キロを超える真っすぐも数えるほどしかなかった。それでいて本塁打による1点に抑えるのが前田の非凡なところ。ピンチでもコースを間違えないので、決定打を許さない。終盤、2走者を背負って相手3番打者を迎えた場面では、本塁打性の大飛球を打たれたが、厳しく内角に投げ切っていたため、打者が詰まらされた。

昨年も神宮では打たれていたが…

 「朝一番の試合で難しく、思ったようにいかなかったが修正した。チームを勝たせる投球ができた」と振り返ったように、前田は点差を見て投球を組み立てられる。近畿大会でも神戸国際大付(兵庫)の初回の満塁弾、彦根総合(滋賀)には、4回に逆転してもらった直後と、明らかにその後の試合展開を読んだ投球をしていた。しかし前田は神宮が苦手なのか?その姿からは、近畿大会時のような余裕や風格は消えていた。昨年も近畿大会がピークで、神宮では打たれる場面が目立っていたが、この日も三者凡退は一度だけと、全体的にはピリッとしなかった。これが神宮のマウンドのせいなのかどうかは、次の試合で証明されるだろう。

打線は近畿大会から大きく良化

 昨年とよく似たシーンは、前田だけではない。攻撃陣が力強く前田を援護し、近畿大会から大きく良化していた。この日は東邦の3投手に17安打で9得点。走塁ミスがなければコールドで終わっていただろう。下位打者が勢いづけた4回の攻撃は特に評価できる。昨年は、神宮からジグザグ打線に組み替えてつながりが良くなったが、今チームは控え選手も力があり、西谷浩一監督(53)は、その時の調子や相性を見極めた起用をする。6日間で4勝しないと優勝できないため、前田の負担を軽くするためにも、打線の援護は不可欠。「前田の苦闘を援護する打線」。初戦で見られた昨年との共通点は吉兆と言うべきだろう。クラーク記念国際(北海道)との次戦に注目したい。

仙台育英や広陵との直接対決があるか?

 この大会には全国10地区の優勝校が集う。大阪桐蔭のほかにも、今夏の甲子園王者の仙台育英(宮城=東北)、昨年の神宮準優勝の広陵(広島=中国)など豪華な顔ぶれで、大阪桐蔭との直接対決が実現するか、楽しみは尽きない。優勝校の地区に与えられる来春センバツの「神宮枠」を懸けて、例年以上に激しい優勝争いが繰り広げられそうだ。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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