Yahoo!ニュース

近江の「真打」山田の初登板はいつ? 近畿の地方大会も終盤戦へ

森本栄浩毎日放送アナウンサー
今季の高校球界トップスターの近江・山田。滋賀大会での初登板はいつか?(筆者撮影)

 甲子園を懸けた地方大会は最高潮を迎えようとしている。日曜日も4大会で決勝があり、出場49校中、7校が甲子園切符を手にした。月曜日以降も決勝ラッシュとなり、代表校が続々と名乗りを上げる。

センバツ出場の大分舞鶴、大島は涙

 北北海道では旭川大高が旭川東を破った。旭川東は地域を代表する名門進学校で、捲土重来に期待したい。栃木は作新学院の11連覇を阻止した国学院栃木が、センバツ準優勝経験のある宇都宮南に競り勝った。夏は37年ぶりとなるが、センバツは4回出て7勝している。大分は明豊が、センバツ21世紀枠出場の大分舞鶴を序盤から攻めて大勝した。鹿児島実は、センバツ出場の大島と大熱戦。最終回の猛追を振り切って、20回目の出場を決めた。大島の好左腕・大野稼頭央(3年)はあと一歩で春夏連続出場を逃した。すでに甲子園出場を決めているのは興南(沖縄)、八戸学院光星(青森)、能代松陽(秋田)で、能代松陽は能代市立能代商と県立能代北が合併した県立の新設校。現校名になって初出場となるが、能代商としては3回の出場があり、甲子園記録は継承する。

兵庫は報徳、東洋大姫路が敗退

 ハイレベルの近畿の各大会も終盤戦に入ってきた。兵庫では、センバツ出場の東洋大姫路と、春の県大会優勝の報徳学園が準々決勝を前に敗退した。準々決勝のカードは、社ー明石商長田ー神戸学院大付神戸国際大付ー市川滝川二ー加古川西で、明石商が報徳に続いて、秋の県王者の社を倒すか。進学校としても名高い長田や加古川西の戦いぶりにも注目したい。

京都は森下、西村のバットに注目

 京都の準決勝は京都外大西ー龍谷大平安乙訓ー京都国際。京都国際はエース・森下瑠大(3年)がヒジ痛の影響からか登板はないものの、バットが猛威を振るい、チームに勢いをもたらしている。外大西の強打者・西村瑠伊斗(3年)は、すでに京都大会タイの4本塁打を放っている。西村は勝負が懸かった場面でめっぽう強く、平安の投手陣も徹底マークするしかない。

大阪2強は5回戦で強敵と当たる

 大阪は4回戦が終了して、大阪桐蔭履正社の2強は危なげなく勝ち上がっている。しかし、2強の5回戦にはいずれも難敵が立ちはだかる。履正社にはセンバツ8強の金光大阪が。大阪桐蔭には東海大大阪仰星が待ち受ける。金光大阪はエース・古川温生(3年)と岸本紘一(3年=主将)のバッテリーが好調で、履正社打線がいかに攻略するか。投手陣好調の大阪桐蔭はここまで別格の強さを見せていて、試合運びが安定している。仰星戦では、まだ登板のないエース・前田悠伍(2年)の今夏初マウンドがあるか。2強はこのまま勝ち進んでも決勝まで当たらない。決勝でファン垂涎の「黄金カード」実現となるだろうか。

奈良は2強が勝ち残り、智弁和歌山も順調

 奈良はベスト4が決まり、2強の天理高田商と、智弁学園生駒と、それぞれ準決勝で対戦することになった。近年、天理は高田商と相性が悪く、今チームも秋には土をつけられている。和歌山は夏の甲子園連覇を狙う智弁和歌山が危なげなく4強入りを決めた。また第1回大会からの皆勤校である桐蔭も4強に勝ち進んだ。和歌山は月曜日に市和歌山和歌山東のセンバツ出場校同士が激突する好カードがある。和歌山は4強が決まったあと抽選になるので、智弁和歌山の準決勝の相手にも注目だ。

近江・山田は大苦戦にも登板なし

 そして今季の高校球界の「真打」が、近江(滋賀)の最速149キロ右腕・山田陽翔(3年=主将・タイトル写真)。昨夏、今春と合わせて甲子園で8勝(記録上は7勝)している。滋賀大会は序盤戦から波乱が相次ぎ、昨秋上位の八幡商や滋賀学園が初戦敗退を喫する中、近江も初戦から瀬田工相手に大苦戦。延長にもつれ込む死闘で辛くも振り切ったが、負けも覚悟するほどのピンチにもかかわらず、山田の登板はなし。取材した同僚記者によると、本人は「投げたくてうずうずしていた」と言うが、山田が投げずに負けてしまえば明らかに悔いを残すような展開だった。

山田の体調に異変?

 3回戦は甲西を相手に序盤から圧倒し、山田の満塁弾などで5回コールド勝ちした。山田自身は投げたい気持ちを口にするが、山田は昨夏の甲子園後にヒジを痛め、長期離脱を強いられた。6月以降も県外強豪との練習試合などでかなり奮闘していて、状態が万全ではない可能性がある。多賀章仁監督(62)も、瀬田工戦後には「体調が万全ではない」と話していたようだ。肩ヒジの不調でないことを祈りつつ、今大会の初登板を待ちたい。

近江の相手は滋賀学園を倒した伊吹

 準々決勝の相手は21世紀枠の近畿推薦校になった伊吹で、山田不在の秋には辛くもサヨナラ勝ちしている。伊吹は、近江の最大のライバルと目された滋賀学園と初戦で当たり、延長11回2死から3点を奪って強敵を倒した。

伊吹のエース・福井は、初戦の滋賀学園相手に11回を完投。ここまで3試合で400球ジャストを投げ、防御率は2.57。近江にも無欲で挑む。(筆者撮影)
伊吹のエース・福井は、初戦の滋賀学園相手に11回を完投。ここまで3試合で400球ジャストを投げ、防御率は2.57。近江にも無欲で挑む。(筆者撮影)

 これで、秋、春に続いて、堂々の8強入りとなる。原動力はエース・福井希空(のあ=3年)で、ここまでの3試合を一人で投げ切っている。3回戦では疲れからか、終盤に息切れしかかったが、何とか1点差で逃げ切った。2日間の休養で、本来の調子を取り戻していれば、近江打線も楽には攻略できないだろう。勢いに乗る伊吹が近江も倒すか。一方の近江は山田の初登板があるのか。月曜日の試合に注目したい。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

森本栄浩の最近の記事