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甲子園切符は南と北から! 夏の地方大会はますますヒートアップ

森本栄浩毎日放送アナウンサー
甲子園をめざす地方大会が盛り上がってきた。出場切符を手にするのは?(筆者撮影)

 夏の甲子園をめざす地方大会が一気に盛り上がってきた。沖縄では10日に準々決勝が行われ、4強が出揃った。今週末に、全国のトップを切って代表が名乗りを上げる。また、支部予選を勝ち抜いたそれぞれ16校によって争われる南北北海道大会の組み合わせも決まり、各地からの球音は、さらに大きく、熱くなるだろう。

有望中学生が流出している沖縄

 沖縄は、甲子園で優勝経験のある興南沖縄尚学の2強に、新鋭と唯一の公立校が挑む構図になった。

 興南-未来沖縄

 沖縄尚学-美里工

 沖縄は近年、有望中学生の県外流出に頭を悩ませている。もともと交通の便が良くないため、本島南部の那覇市近郊の生徒以外は、2強に進学しても寮生活や下宿をすることになる。したがって、レベルの高い関東や近畿の強豪から誘われた本島北中部の有力選手は、すぐに島を離れてしまうようだ。優勝経験のある2強といえども、有望選手の入学がかなわないからか、ここ数年、甲子園では目立った成績を収めていない。

プロも出た新鋭の未来沖縄

 興南に挑む未来沖縄は、KBC学園という学校法人が運営する専修学校で、高等課程の中にスポーツコースを設置し、野球部は平成27(2015)年に高野連加盟を果たした。那覇商を春夏連続の甲子園に導いた神山昂氏(70)が初代監督で、現在も総監督として指導に当たっている。オリックスの宜保翔(21)がいた4年前の春に興南を破って優勝し、周囲を驚かせた。今大会は、春の県王者・沖縄水産を破って勢いに乗っている。4年前の春を再現し、初の夢舞台なるか。準決勝、決勝は連戦で、今週末に代表1号が決まる。

支部予選終え、16校で南北北海道大会

 いち早く始まった南北の北海道大会は、これからが「本番」。広い北海道は地区ごとに支部予選があり、勝ち抜いた南北それぞれ16校が、2枚の甲子園切符を懸けて戦う。近年は北北海道勢が強くなり、今春のセンバツにはクラーク記念国際が出場した。一昨年春も、白樺学園が出場(大会は中止)している。

クラーク追う白樺学園

 その北大会は、やはりクラークが優勝候補の一番手だろう。山中麟翔(3年)、辻田旭輝(3年)の左右二枚看板はセンバツでも実力を発揮した。センバツで不振だった攻撃力のアップが春夏連続出場のカギとなる。対抗は白樺学園。こちらは伝統の強力打線が、投手陣を支える。この両校は、勝ち上がれば準決勝で対戦する組み合わせになったが、白樺は昨秋の全道2位の旭川実を破った旭川龍谷が初戦の相手で、息が抜けない。

全国屈指の好投手揃う南大会

 一方の南大会は、代表争いとともに全国屈指の好投手にも注目したい。まずは、苫小牧中央の最速151キロ右腕・斉藤優汰(3年)。制球も良く、スタミナ面での不安もない。支部予選では2試合連続2ケタ三振を奪った。知内の左腕・坂本拓己(3年)は、がっちりした体から最速148キロを投げ、変化球もいい。札幌大谷の左腕・森谷大誠(3年)は、支部予選で8回無安打無得点を達成した。チーム力上位の東海大札幌には、最速149キロ左腕の門別啓人(3年)がいる。さらに実績十分の北照には長身右腕の上川貴之(2年)がいて、1回戦で、春の全道王者・札幌第一を破った札幌創成の挑戦を受ける。大舞台に立てるのはどのチームか。

滋賀では21世紀枠候補の伊吹が健闘

 東北や九州の地方大会では、南北北海道よりも早く終わる地方大会がある。24日以降は、連日のように吉報が全国から届くはずだ。ただ、トータルで見れば、まだ地方大会も序盤戦。鹿児島大会では1回戦で春の九州王者・神村学園鹿児島実と対戦。延長11回までもつれ込む大熱戦となり、2-1で鹿児島実が勝った。11日には、滋賀大会1回戦で滋賀学園伊吹に延長11回の末、3-5で敗れた。伊吹はセンバツ21世紀枠の近畿地区推薦校に選ばれ、実力評価も高かったが、近江のライバル一番手と目された滋賀学園を倒したことで、選手たちが自信をつけたことだろう。さらに勝ち上がれれば、準々決勝で近江との対戦がかなうかもしれない。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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