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強すぎる!大阪桐蔭 待ったをかけるチームは現れるのか?

森本栄浩毎日放送アナウンサー
大阪桐蔭は不戦勝のあと市和歌山に大勝し4強入り。頂点まであと2勝だ(筆者撮影)

 センバツは4強が決まり、休養日を挟んで準決勝、決勝は連戦となる。1回戦最後の登場で日程的に不利だった大阪桐蔭は、2回戦の相手の広島商にコロナ感染者が多く出て、不戦勝での準々決勝進出市和歌山に対し、6本塁打17得点。3人の投手による1安打の完封リレーで圧倒した。残り2試合、待ったをかけるチームは現れるのか?

前田は6回1安打12三振

 準々決勝のマウンドには、満を持してエースの前田悠伍(2年=タイトル写真)が上がった。甲子園初登板だ。2点の援護をもらって三者凡退で立ち上がると、市和歌山打線を手玉に取り、三振の山を築く。大量リードに守られ、6回まで毎回の12三振を奪った。許したヒットは1本で得点圏にすら進めさせず、86球で後続にマウンドを譲った。西谷浩一監督(52)は「投げたくてうずうずしていた。しっかりゲームをつくれたし、まっすぐと変化球のバリエーションも良かった」と合格点を与えた。

6本塁打のすさまじい長打力

 前田の投球は予想通りだったが、予想以上だったのは打線のすさまじさだった。市和歌山の米田天翼(3年)が連投回避で救援待機だったとしても、初回から猛攻を仕掛け、1試合6本塁打には恐れ入った。今大会は本塁打が少なく、1回戦16試合で1本だけだった。この試合まででも6本だったから、いかにすごい数字だったかがわかる。「KKコンビ」のPL学園(大阪)以来、38年ぶりのセンバツタイ記録(当時はラッキーゾーンがあった)を樹立。中でも1番の伊藤櫂人(3年)は1イニング2本塁打のセンバツ記録となった。

不戦勝も練習の成果を発揮

 「記録はびっくりした」という西谷監督だが、初戦の鳴門(徳島)の好左腕・冨田遼弥(3年)を打てず、相当、練習したという。「しっかり引き付けてアジャストできた」と話し、成果を強調した。「試合に勝つことで力をつけていくのが甲子園」を持論とする指揮官は、2回戦の不戦勝を残念がったが、いい調整期間になったようだ。準決勝前の休養日も「しっかり練習したい」と、体力温存の気配すらない。

準決勝はチーム状態いい国学院久我山

 準決勝の相手は国学院久我山(東京)と決まった。センバツ初勝利から一気に4強まで駆け上がり、勢いに乗って最強軍団に挑む。準々決勝では星稜(石川)に押しまくられていたが、相手の投手継投機を見事に攻めて4番・下川辺隼人(3年)の決勝2点本塁打で逆転勝ちした。3投手のリレーも見事に決まり、大舞台で力をつけていることは間違いない。2回戦ではその4番にスクイズを命じて得点するなど、「全員で1点を取りにいくのがウチのスタイル」と、若い尾崎直輝監督(31)の采配には迷いがない。特に左腕2枚は変化球が制球よく決まれば大阪桐蔭打線もてこずりそうだ。

長打力の浦和学院か剛腕・山田の近江か

 もう1試合は浦和学院(埼玉)と近江(滋賀)の対戦。打線に長打力があり、勝ちパターンの投手継投を確立している浦和学院がやや有利だが、補欠校から滋賀勢初の春4強をつかんだ近江も上げ潮ムード。特に打線がしぶとさを発揮し始めている。3試合完投のエース・山田陽翔(3年=主将)のワンマンチームと思われがちだが、山田を攻守両面でしっかり支え、もり立てるチームワークは出色。心配されたヒジの状況も「全く問題ない」(山田)と頼もしい。久我山を含めた3校、いずれかが大阪桐蔭の独走に待ったをかけられるか、残り二日に注目したい。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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