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大阪桐蔭を倒すのはこの4校だ! 来週抽選のセンバツ甲子園

森本栄浩毎日放送アナウンサー
神宮王者の大阪桐蔭がセンバツの優勝候補筆頭。ここに迫るチームは?(筆者撮影)

 センバツ抽選会(3月4日)が目前に迫った。昨秋の明治神宮大会で優勝した大阪桐蔭(タイトル写真)が、名実ともに優勝候補の筆頭に挙がる。久しく高校球界のトップに君臨するこの強豪に、今センバツで迫るのはどのチームか?

手応えつかんだ?西谷監督

 「前のチームより力はない」と、西谷浩一監督(52)は、秋の段階では控えめだった。しかし、先月28日に出場が決まったときには「(部員)41人全員で春の大きな旗をとりにいく」と、意欲的な言葉が出てきた。冬の練習が充実し、手応えをつかんでいるのだろう。神宮大会優勝後に「これからは競争」と、一旦はチームをリセットすることも明かしていたが、もとより選手層の厚さは全国屈指。新戦力の台頭も必至だ。

前田頼みから脱却できるか

 昨秋から大阪桐蔭の今チームについては詳しく述べているので重複は避けるが、弱点がないわけではない。秋の段階で目についたのが、上級生投手陣の不安定さだ。西谷監督は、大事な場面を全て左腕の前田悠伍(1年)に任せていた。特に経験値が高い川原嗣貴別所孝亮、左腕の川井泰志(いずれも2年)らが、指揮官の期待に応えられず、前田頼みになっていたことは否めない。上級生たちはサイズも申し分なく、中学時代から注目を浴びてきた逸材だけに、下級生に先を越されて目の色が変わらないことはないだろう。それぞれが、前田の負担を少しでも軽くできれば、最強の投手陣が完成する。

神宮上位組で一番手は九州国際大付

 その大阪桐蔭に迫るのは、地区大会を制した九州国際大付(福岡)、花巻東(岩手)、広陵(広島)の3校を挙げたい。いずれも下級生の強打者を擁し、神宮大会でも上位を占めた。九国と広陵は、大阪桐蔭との直接対決があり、力量を肌で感じられたのが大きい。九国のエース・香西一希(2年)は、左腕からコーナーを巧みに突き、緩急も使える。秋の直接対決では登板しておらず、大阪桐蔭は伝統的に緩急を使える左腕を苦手にしていることから、特に早期で対決があれば、最も警戒が必要な相手だろう。

打力で対抗する花巻東と広陵

 秋に直接対決がなかった花巻東は、打力で大阪桐蔭を上回る。すでに高校通算50本塁打の佐々木麟太郎(1年)だけでなく、下位打者まで鋭い振りを見せる。主戦の技巧派左腕・萬谷大輝(2年)ら投手陣は多彩だが、全体のレベルアップが急務で、こちらは看板の打線が勢いづいた大会終盤に当たると怖い。広陵は、森山陽一朗(2年)ら、右腕本格派が投手陣の軸になる。神宮では大阪桐蔭にかなり打ち込まれた。一方の攻撃陣は、大阪桐蔭5投手から計15安打を放って自信を深めたはず。投手が打たれても諦めずに挽回した秋の教訓を、本番のゲームプランに生かしたい。

近畿で最も怖いのは京都国際

 昨年の大阪桐蔭は、センバツ1回戦で智弁学園(奈良)、夏は2回戦で近江(滋賀)に敗れた。いずれも手の内を知られた近畿のチームで、今大会も近畿には強敵がいる。経験値で他を圧倒する京都国際は、昨夏甲子園4強入りに投打で貢献した森下瑠大(2年)と平野順大(2年)の左右両輪が健在。今チームでの対戦はないが、平野は一昨年秋の近畿大会で、カーブをうまく使って大阪桐蔭の前チーム相手に好投している。森下は昨春以降、急成長した。140キロを超える速球と鋭い変化球を低めに集められると、並の高校生では対応できない。今回も原則、フリー抽選と決まり、昨年のようにいきなり近畿勢との激突もありうる。

注目は「離島の星」大野ら

 そのほか活躍が期待されるのは、関東では投打のバランスがいい山梨学院が上位に食い込んできそう。近畿勢では、攻守にハイレベルでまとまる昨春4強の天理(奈良)と、好投手・米田天翼(2年)の市和歌山に注目。北信越の覇者・敦賀気比(福井)には、投打の柱となる上加世田頼希(2年=主将)がいる。鳴門(徳島)の左腕・冨田遼弥(2年)は、延長死闘の末、明徳義塾(高知)を倒した。大島(鹿児島)を8年ぶりのセンバツに導く原動力となった「離島の星」大野稼頭央(2年)も屈指の左腕で、特に強打のチームとの対戦があれば興味深い。

昨年は1回戦で地区大会再戦が3カード

 抽選は、2校出場の6都府県の出場校は決勝まで当たらないように配慮されるが、それ以外はフリーで引くため、同地区対戦の可能性がある。昨年は1回戦3カードが同地区対戦となったが、そのいずれもが地区大会の再戦だった。こうした対戦は、お互い非常にやりにくいし、ファンにとっても興味が半減する。全国大会にふさわしいカード、甲子園でしか実現しないカードが増えることを望んでいる

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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