全国屈指の激戦区、近畿大会の組み合わせが決まった。昨日のドラフトでは、春夏の甲子園を沸かせた近畿の高校から7人が指名されるなど、人材の宝庫でもある。近畿のセンバツ枠は「6」で、準決勝に同一府県から3校が残らない限り、4強の甲子園は堅い。したがって、ゾーン別に2試合ずつ紹介したい。

市和歌山に小園の後継者

市和歌山(和歌山1位)-神戸学院大付(兵庫2位)

天理(奈良3位)-滋賀学園(滋賀2位)

 ドラフトでは、エースだった小園健太がDeNAから。前主将の松川虎生がロッテからそれぞれ1位指名を受け、大いに盛り上がった市和歌山が、開幕戦に登場する。エースの米田天翼(つばさ=2年)は、最速148キロを誇る。「小園に比べるとスケール感はないが、かなり期待できる」と半田真一監督(41)も2年連続のセンバツに手応えを感じている。対する神戸学院大付は、今大会唯一の近畿初出場校。軟式から転向して6年目で、急速に力をつけてきた。岩上昌由監督(45)は、香川西で春夏5回の甲子園経験があり、打線の強化に力を入れている。神戸学院打線が、近畿屈指の右腕にどこまで通用するか。

 前エースの達孝太が日本ハムから1位指名された天理は、苦しい試合を乗り切ってセンバツへ望みをつないだ。伝統の強力打線は、前チームからレギュラーだった内藤大翔(2年)や戸井零士(2年)らがいてまずまずだが、甲子園でも投げた大型右腕の南澤佑音(ゆうと=2年)ら、投手陣に安定感が欲しい。対する滋賀学園は投手力に自信を持つ。エースの服部弘太郎(2年)を始め、右腕の西垣玲音(2年)、左腕の村田凌摩(1年)ら多彩な陣容を誇る。打線は前チームから4番を打つ鈴木蓮(2年)に快打が出れば面白い。打力では天理に分があるので、滋賀学園は接戦に持ち込みたい。

 このゾーンは、小園の後継者と目される米田の投球が最注目だ。

大阪桐蔭と智弁学園の対戦は?

大阪桐蔭(大阪1位)-塔南(京都2位)

智弁学園(奈良1位)-東洋大姫路(兵庫3位)

 昨日、投打の柱だった松浦慶斗池田陵真がドラフト指名された大阪桐蔭は、相変わらず逸材が多い。投手陣は質、量とも申し分なく、甲子園でも投げた川原嗣貴(2年=タイトル写真)や別所孝亮(2年)、左腕の川井泰志(2年)に加え、左腕の前田悠伍(1年)が頭角を現してきた。西谷浩一監督(52)の評価もきわめて高く、今大会の大事な試合は、前田に託すことになるかもしれない。打線は甲子園で本塁打を放った松尾汐恩(2年)やU15代表の海老根優大(2年)ら、今チームも右の強打者が牽引する。塔南は、龍谷大平安を4安打完封した速球派のエース・野原元気(2年)が、投打でチームを引っ張り、初の甲子園をめざす。

 強打の前川右京が阪神から指名された智弁学園は、レギュラーがごっそり抜けても勝負強さは健在。投手陣は、今チームも左右の二枚看板で、甲子園でも投げた左腕の藤本竣介(2年)は変化球がいい。右の大坪廉(2年)はU15代表も経験していて、大崩れしない。打線はかなりスケールダウンしたが、1年生の伸び盛りの選手が上位に並び、勢いもある。13年ぶりの近畿大会となる東洋大姫路は、藤田明彦監督(64)の来春3月での退任が発表され、チームに一体感がある。エース・森健人(2年)は、小気味のいい投球が持ち味で、打線が早めに援護できれば勝機が生まれる。

 前チームでは、秋春の近畿大会、そしてセンバツと、3度の熱戦を繰り広げた大阪桐蔭と智弁の激突が、今世代でも実現するか

18年ぶり出場の社に注目

高田商(奈良2位)-金光大阪(大阪2位)

社(兵庫1位)-近江(滋賀3位)

 今夏は達の春夏連続出場を阻み、新チームでも、相手のお株を奪うような打撃戦を制して、一躍「天理キラー」となった高田商は勢いのある好チーム。天理戦では中盤に一挙7得点するなど打線が好調で、夏の県大会から出場している東口虎雅(たいが=1年)のバットに期待がかかる。大阪桐蔭には0-7で完敗したが、13年ぶりに近畿大会出場を決めた金光大阪は、エース・古川温生(2年)の踏ん張りが大きい。府予選は苦しい試合が続き、足がつったこともあったようだが、大黒柱としての責任を果たした。高田商の強力打線を抑えて、センバツをつかみ取りたい。

 18年前の皇子山開催で準優勝し、初のセンバツ出場を決めたは、兵庫大会では意外にも初優勝。縁起のいい球場で2度目の甲子園を狙う。エース・芝本琳平(2年)は最速143キロの速球が武器の本格派で、前チームから主戦格だった。立ちはだかる近江は、夏の甲子園4強の原動力となったエースで4番の山田陽翔(2年=主将)が万全なら、優勝候補に挙がる。しかし激闘がたたってヒジを傷め、今秋は打撃に専念する。外義来都(2年)ら左腕三枚でどれだけ山田の穴を埋められるか。

 経験値なら断然、近江だが、大黒柱が投げられず、どのチームにもチャンスがある混戦ゾーンとなった。

京都国際と履正社のビッグカード

八幡商(滋賀1位)-和歌山東(和歌山2位)

京都国際(京都1位)-履正社(大阪3位)

 滋賀の名門・八幡商は投手力が際立つ。速球が武器のエース・水野夢月(2年)を抑えに回し、有園広大(2年)、石田大和(1年)らで継投する。打線は、中軸の馬場脩世(2年)、北川敦也(2年=主将)らが好機に強い。今春に就任したばかりの小川健太監督(40)はOBでもあり、「もう一度、強い八商をつくろうと頑張ってきた」と、伝統校復活に意気上がる。和歌山東は、智弁和歌山を接戦で破り、初の甲子園に近づいた。こちらも継投策で、攻守とも、お互いの継投機がカギになるだろう。公立同士の好勝負を期待したい。

 今大会の優勝候補一番手に推したい京都国際は、強敵との初戦になった。エース・森下瑠大(2年)、平野順大(2年)の左右両輪が健在で、両者は打撃でも中心になるが、阪神から指名を受けた捕手の中川勇斗の穴がなかなか埋まらず、府大会は苦しい試合の連続だった。それでも勝ち切るあたりはさすがで、甲子園での経験が、揺るぎない自信につながっている。岡田龍生監督(60)の退任が発表された履正社は、近畿大会に懸ける思いが例年以上に強いだろう。ライバル・大阪桐蔭には3-5で惜敗したが、総合力は今大会でもかなり上位。前チームから攻守の要だった遊撃手の光弘帆高(2年)が打線を勢いづけ、増田壮今仲巧の左右1年生投手がエースの座を争う。

 このゾーンは土日の連戦になるが、4チームとも複数の好投手がいる。京都国際は最も避けたかった相手ではないだろうか

藤田、岡田、二人の名将に注目

 レベルの高い京都と大阪の対戦が2カード組まれた。特に京都国際が履正社をどう迎え撃つか、注目したい。また、名将が現チームで最後となる東洋大姫路と履正社の動向も気になる。履正社の岡田監督は、母校の東洋大姫路への転身が決定的で、退任する藤田監督ともども、センバツに現チームを率いて出場すれば、これ以上の花道はない