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近畿のセンバツ戦線に異状あり! 夏の甲子園優勝校など、強豪が相次いで春絶望に!

森本栄浩毎日放送アナウンサー
夏の甲子園のスターたちがセンバツ出場を懸ける近畿大会は間もなく始まる(筆者撮影)

 夏の甲子園の熱戦から1か月余り。余韻冷めやらぬ中、センバツ出場を懸ける地区大会は、北海道を皮切りに始まっている。夏の4強を独占し、強さを遺憾なく発揮した近畿勢はこの秋、どんな戦いを見せるのだろうか。

京都国際が京都1位、市和歌山は2年連続1位で

 やはり気になるのは、夏の甲子園で活躍したチームや、下級生で躍動した選手たちの動向だ。その意味では、例年以上に波乱が多いと言える。まずは、これまでに決まっている16日開幕の近畿大会(滋賀・皇子山)出場校を紹介する。京都と和歌山が2校で、そのほかの府県は3校が出場する。〇囲み数字は予選順位。

京都=①京都国際塔南

滋賀=①八幡商滋賀学園近江

兵庫=①神戸学院大付東洋大姫路

和歌山=①市和歌山和歌山東

 また、大阪と奈良は準決勝が終わり、9日に決勝と3位決定戦が行われる。決勝進出の2校は近畿大会出場が決まっている。

大阪決勝=金光大阪ー大阪桐蔭 3位決定戦=星翔ー履正社

奈良決勝=高田商ー智弁学園 3位決定戦=天理ー奈良北

智弁和歌山が敗退する衝撃

 まず、衝撃が走ったのは、夏の甲子園覇者・智弁和歌山の敗退だ。準決勝で和歌山東に4-5で競り負けた。近年の和歌山は、智弁和歌山を市和歌山と和歌山東が激しく追いかけ、激戦が続いている。和歌山は2校出場の年に当たっていて、智弁和歌山は2年連続でセンバツを逃すことになった。

兵庫は異色の顔ぶれ

 異色の顔ぶれとなったのが兵庫。夏の甲子園8強で、今チームでも頭一つ抜けた存在と言われた神戸国際大付が、準々決勝で明石商に敗れた。その明石商も準決勝、3位決定戦で連敗し、近畿大会出場を逃した。社は18年ぶり出場で、神戸学院は初出場。東洋大姫路も13年ぶりの出場となる。

大阪2強対決は大阪桐蔭が勝つ

 大阪では、準決勝で大阪桐蔭と履正社の2強対決が実現。大阪桐蔭が5-3で競り勝った。今年度での退任が決まっている履正社の岡田龍生監督(60)にとっては、大阪大会最後のライバル対決で、3位で近畿大会に進めば、準々決勝以降で再戦の可能性がある。昨年は3位決定戦で公立の山田に不覚を取ったが、今年は負けられない。

京都国際は底力発揮

 京都国際は、夏の甲子園4強の主力が多く残り、他校から徹底マークされたが、勝負強さを発揮して勝ち切った。夏の疲れが残る中、準決勝、決勝で逆転した底力はさすがで、近畿大会でも優勝候補に挙がる。公立の塔南は、龍谷大平安、京都外大西を倒し、京都国際にも食い下がった。初の甲子園をめざす。

奈良2強はディフェンスに課題か

 奈良は、2強がともに準決勝で大苦戦。天理は高田商に9-13で打ち負けた。夏の甲子園準優勝の智弁学園も、甲子園未経験の奈良北に延長12回の死闘を強いられ、7-6で辛くもサヨナラ勝ちした。前チームは、お互いに確固たる投手力があり、安定した試合運びをしていたが、今チームはディフェンス面で課題がありそうだ。

近江の山田は試合に出場せず

 そして、近畿の最注目選手は、近江を夏の甲子園20年ぶりの4強に導いたエースで4番の山田陽翔(2年=タイトル写真)だ。新チームでは主将に指名され、センバツへの期待が膨らむ一方で、「全く試合に出ていない」という情報があったため、3日、皇子山へ取材に向かった。チームは前日、準決勝で滋賀学園に延長で敗れ、この日の立命館守山との3位決定戦に敗れると、センバツへの望みが断たれる

ヒジの故障で1か月の休養

 スタメン表には、「4番ライト山田」の文字があった。山田は夏の激闘のあと、ヒジの故障で、医師から「1か月のノースロー、ノースイング」を言い渡されていた。1日の金曜からようやくティー打撃を開始し、2日の準決勝では代打出場(三振)。この日が初スタメンだった。近江は初回に2失策があり2点の先制を許す苦しい立ち上がりも、2回に追いつく。

広い皇子山球場で文句なしの満塁弾を放った山田。ヒジのテーピングは痛々しいが、「痛みはありません」とフルスイングで「バット全開」をアピールした(筆者撮影)
広い皇子山球場で文句なしの満塁弾を放った山田。ヒジのテーピングは痛々しいが、「痛みはありません」とフルスイングで「バット全開」をアピールした(筆者撮影)

 さらに2死満塁で山田が登場。力強いスイングでとらえた打球は、高い放物線を描いて左翼席へ飛び込む決勝の満塁弾となった。山田は6回にも犠飛を放って、この日5打点の活躍。チームは9-2の7回コールドで進撃し、センバツへ望みをつないだ。

「山田の一発に泣いた」と多賀監督

 ヒジにテーピングが施された山田は、ライトでのキャッチボールも、山なりの送球しかできていない。前夜、準決勝で敗れたあと、山田は多賀章仁監督(62)に、「野手で出させてください」と電話で直訴した。「そうか。嬉しいわ」と多賀監督もスタメン出場を即決。試合後、満塁弾の場面を思い浮かべた多賀監督は、「山田の一発に泣きました。すごいです」と目を潤ませた。練習再開から3日でこの活躍。やはりこの男は只者ではない。

秋は「エース山田」封印か

 「山田がいてくれたら何とかなる。どこと当たってもかまわない。ワクワクしている」と多賀監督は近畿大会へ自信を深めた。しかし、「エース山田」はしばらく封印する。多賀監督は、「秋は投げさせません」と明言し、山田本人も、「先を考え、無理することはない」と、ヒジの回復に専念するつもりだ。自らのバットで結果を出し、センバツのマウンドに立つことしか考えていない。

公立の躍進目立つ今年の近畿大会

 滋賀は、名門の八幡商が、滋賀学園に4-0で快勝し、11年ぶりの優勝を果たした。今年の近畿大会は公立の躍進が目立つ。和歌山の2校に、高田商、社、塔南、八幡商の6校が確定。奈良北にもチャンスがある。組み合わせが決まったら(12日抽選)、展望とともに各チームを紹介したい。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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