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高校ビッグ3はどこが射止めるか! 高校生投手大豊作のドラフト直前、注目選手は?

森本栄浩毎日放送アナウンサー
高校生投手豊作のドラフト。完成度の高さでは市和歌山の小園が筆頭だろう(筆者撮影)

 注目のプロ野球ドラフト会議(10/11)が目前に迫った。今年は高校生の投手に逸材が多いと評判だ。中でも、「高校ビッグ3」の市和歌山・小園健太(タイトル写真)、高知・森木大智明桜(秋田)の風間球打(きゅうた)は1位指名が確実と言われる。

投球術と完成度の高さでは小園

 小園はセンバツで県岐阜商に競り勝った。2回戦で明豊(大分)に惜敗したが、投球術やマウンドでの立ち居振る舞いなどは高校生離れしていて、完成度の高さでは今年の高校生でナンバーワンだろう。最速152キロの速球もさることながら、握りを変えて落差を変化させる多彩なツーシームやスライダーも一級品で、四球から崩れる心配はない。筆者も二度、取材したが、受け答えもしっかりしていてマスクも良く、スター性を兼ね備えている1位競合もありそうな気配だ。

185センチ右投げ右打ち 大阪府貝塚市出身

甲子園未経験も風格十分の森木

 森木は、中学時代から世代トップと言われた逸材で、軟式球で150キロを投げて注目された。高知では主戦として四国大会などでも活躍したが、明徳義塾の厚い壁にはね返され、甲子園経験はない。高校での最速は今春に計測した154キロで、スライダーが特にいい。明徳との夏の県大会決勝を見たが、大きく外れるスライダーに明徳の各打者が何度も空振りをしていた。フォームにも欠点がなく、すぐにでも一軍で投げられそうな風格がある。

184センチ右投げ右打ち 高知県土佐市出身

ドラフト当日18歳になる風間

 風間は、今ドラフト上位候補で唯一、夏の甲子園で全国デビューを果たした。甲子園では4回まで無安打投球だったノーゲームを経て、帯広農(北北海道)に10奪三振で勝利。2回戦で明徳に敗れた。最速は157キロで、今世代のトップを誇る。上記2投手と比較すると制球に難があり、抜け球が目立っていた。三振もカーブやフォークなどの変化球で奪うことが多く、まとまりには欠けるが、その分、伸びしろは大きいと言える。ドラフト当日が18歳の誕生日という強運の持ち主でもある。

183センチ右投げ左打ち 山梨県甲州市出身

ビッグ3を追う達と松浦

 「ビッグ3」に続くのが、天理(奈良)の193センチ右腕・達孝太大阪桐蔭の左腕・松浦慶斗だ。達はセンバツで大きく成長した姿を見せたが、その後はやや精彩を欠いていた。潜在能力は無限大とみるスカウトもいるほどで、鍛え方次第では、球界を代表する投手になるかもしれない。松浦は、186センチの長身だが制球も良く、投球がうまい。この1年、最速150キロの速球が影を潜め評価を上げることはできなかったが、甲子園不完全燃焼の悔しさをプロの舞台で晴らす。

左腕なら相模の石田、北海・木村ら

 センバツ優勝投手の東海大相模(神奈川)の石田隼都(いした・はやと)も評判がいい。左腕からテンポよく投げ込む投球スタイルはファンにも支持されている。春夏の甲子園ではともに神戸国際大付(兵庫)に惜敗した北海(北海道)の左腕・木村大成は、150キロの速球とスライダーで三振の山を築く。北海道出身の松浦とともに、日本ハムが狙っているのではないだろうか。左腕ではほかに、夏の甲子園で活躍した二松学舎大付(東京)の秋山正雲や森木の甲子園出場を阻んだ明徳代木大和(しろき・やまと)などが指名を待つ。

中京・畔柳、新庄の花田ら右腕は多士済々

 右腕は多士済々。センバツで注目を浴びた中京大中京(愛知)の畔柳亨丞(くろやなぎ・きょうすけ)は、最速152キロの剛球を投げる。県内のライバルだった愛工大名電寺嶋大希は、夏の甲子園で高い能力を発揮して評価を上げた。広島新庄花田侑樹は、いかにも投手らしい体つきで、バランスのいいフォームから質の高い球を投げる。センバツ準優勝に貢献した明豊京本眞は、189センチの大型右腕で、将来性も抜群。その明豊に夏の甲子園で完封勝ちした専大松戸(千葉)の深沢鳳介は、スリークォーターから威力のある速球と鋭い変化球を投げる実戦派投手だ。日大山形滝口琉偉は、夏の甲子園で150キロの速球を投げ、一躍、ドラフト候補に名乗りを挙げた。

野手のトップ評価は智弁の前川か?

 投手に比べ高校生野手の上位候補は例年よりもやや少ない。野手でトップ評価を受けるのは、夏の甲子園準優勝に貢献した智弁学園(奈良)の主砲・前川右京(まえがわ・うきょう)だろう。夏の甲子園で2本塁打とようやく本領を発揮し、入学時から追いかけてきたスカウトたちを安心させた。抜群の飛距離だけでなく、広角に打ち分ける技術もある。守備と走塁には少々目をつぶっても、左のスラッガーは希少価値で、どの球団も喉から手が出るほど欲しいはず。1位で消える可能性もある。右打者では、大阪桐蔭の主将だった池田陵真に注目。けた外れのパワーにうまさを兼ね備える。また、甲子園未経験の昌平(埼玉)・吉野創士は、高校通算56本塁打を放った185センチの強打者だ。

捕手は県岐阜商の高木と市和歌山の松川

 センバツ1回戦で当たった県岐阜商高木翔斗と、小園と中学時代からコンビを組む市和歌山松川虎生(こう)は、「打てる捕手」として各球団がマークしている。また、「二刀流」として活躍した岐阜第一阪口楽(うた)と、夏の甲子園でアーチを描いた愛工大名電田村俊介は、打者としての評価が高い。プロ側がどのようなアプローチをするか。

指名されない甲子園優勝投手

 「プロ志望届」はすでに締め切られ、プロ側は未提出者を今ドラフトで指名できない。夏の甲子園で優勝した智弁和歌山中西聖輝大阪桐蔭関戸康介智弁学園小畠一心ら、筆者が昨秋から追いかけてきた近畿を代表する右腕には、近い将来、必ずチャンスが訪れるだろう。次のステージで腕を磨いてほしい。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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