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大阪桐蔭はいきなり東海大菅生と!  広島新庄に横浜 県岐阜商は明徳と  好カードずらりの夏の甲子園

森本栄浩毎日放送アナウンサー
優勝候補の大阪桐蔭は大型チームの東海大菅生と初戦で当たることになった(筆者撮影)

 9日に開幕する第103回全国高校野球選手権の組み合わせ抽選会がリモートで行われ、3回戦までの組み合わせが決まった。準々決勝以降は、試合ごとに抽選が行われる。8つのブロックに分けて、試合順で見どころを紹介したい。(本文中の主将は全員3年生)

大阪桐蔭はセンバツ8強の東海大菅生と

 まず最注目の大阪桐蔭の初戦は、5日目の第1試合でセンバツ8強の東海大菅生(西東京)と当たることが決まった。大阪桐蔭にとって、多彩な投手陣と力のある2年生が活気づける菅生打線はかなり手強い。大阪桐蔭の池田陵真主将は、「(菅生は)レベルの高いチーム。しっかり準備したい」と気を引き締めていた。初戦の先発が予想される左腕・松浦慶斗(3年)は、夏に絞ってしっかり調整したことが奏功し、大阪大会終盤の大事な場面で力を発揮した。立ち上がりからエースを援護して、ペースを握りたい。対する菅生の榮塁唯主将は、「勝ちにこだわりたい」と、一歩も引かない姿勢を強調した。

日大山形と米子東で開幕~初日

 開幕戦は日大山形米子東(鳥取)の伝統校対決。点の取り合いが予想される。この勝者は8つ目のブロックに入り、2回戦で浦和学院(埼玉)と対戦する。第2試合からが最初のブロックで、新田(愛媛)と静岡の対戦。静岡の192センチのエース・高須大雅(3年)は静岡大会37回無失点で、新田がどう攻めるか。第3試合は東明館(佐賀)と日本航空(山梨)の対戦。東明館の加藤晴空主将は、「終盤勝負には自信がある。接戦に持ち込みたい」と初陣への抱負を語った。

智弁ー倉敷商、新庄ー横浜の好カード~2日目

 2日目は好カードが並ぶ。センバツ8強の智弁学園(奈良)と倉敷商(岡山)は同宿対決。智弁の山下陽輔主将は、「キャプテンも同じ山下で、縁がある」と苦笑い。倉敷商の山下周太主将は、「ウチは粘り強く戦える。県大会のように最後まで諦めない試合を」と接戦を願った。昨夏の交流試合でも好投した左腕の永野司(3年)が智弁の強打線を抑えたい。広島新庄横浜(神奈川)も好カード。新庄の大可尭明主将は、「相手の雰囲気にのまれないようにしたい」と横浜のビッグネームを警戒。ただ経験値では上回るだけに、得意の守り合いに持ち込めれば勝機は十分にある。

名電・田村、明桜・風間に注目 県岐阜商は明徳と~第2ブロック

 2日目の第3試合から2つ目のブロック。高岡商(富山)と松商学園(長野)は北信越同士で、松商学園の打線が、高岡商の川渕恒輝(3年)を打ち崩せるか。初出場の東北学院(宮城)は、愛工大名電(愛知)に挑む。名電は田村俊介主将がマウンドにも上がり、投打でチームを引っ張る。3日目第1の明桜(秋田)には、大会ナンバーワンの呼び声高い最速157キロ右腕・風間球打(3年)がいる。相手の帯広農は、北北海道大会決勝で19得点した。剛腕をどう攻略するか。第2試合は好カードで、県岐阜商明徳義塾(高知)のハイレベル対決。県岐阜商は、多彩な投手陣を好捕手の高木翔斗主将が攻守両面で引っ張る。明徳は好左腕の代木大和(3年)が大崩れせず、堅守でリズムを作る。4~5点勝負になるだろう。

またも当たった神戸国際と北海~第3ブロック

 第3試合からが3つ目のブロックで、神戸国際大付(兵庫)と北海(南北海道)の対戦は、4年前の夏、今春に続いて両校出場3大会連続初戦対決という極めて稀な顔合わせ。過去2回はいずれも神戸国際が1点差で勝っている。お互いに春よりも打力が上がっているだけに、投手陣の踏ん張りがカギになるだろう。第4試合は小松大谷(石川)と高川学園(山口)が、ともに甲子園初勝利を懸ける。小松大谷の木下仁緒主将は選手宣誓の大役も。「まさか、と思った。周囲の先生方も驚いていた」と笑顔を見せていた。4日目の第1試合は九州同士で長崎商熊本工の伝統校がぶつかる。丁寧な投球が光る熊本工の吉永粋真(3年)が粘りのある長崎商打線をどう抑えるか。専大松戸(千葉)と明豊(大分)は好カード。力のある投手3枚を揃えるセンバツ準優勝の明豊に対し、サイドハンドの深沢鳳介(3年)に託す専松は、打線の援護が欠かせない。

どこが大阪桐蔭を苦しめるか~第4ブロック

 第3試合からが4つ目のブロックで、大阪桐蔭はここに入る。阿南光(徳島)は、左腕・森山暁生(2年)ら下級生中心で勢いがある。対する沖縄尚学もエースの當山渚(3年)がヒジの手術から完全復活し、心強い。初出場の鹿島学園(茨城)は、強力打線の盛岡大付(岩手)と。盛大付の田屋瑛人主将は、「常総を破っている強いチーム。打ち勝ちたい」と気を引き締めていた。大阪桐蔭と菅生の勝者と当たる5日目第2試合のカードは近江(滋賀)と日大東北(福島)。近江は山田陽翔(2年)が投打の中心。日大東北は福島大会のように終盤の粘りで勝機をつかめるか。

好投手対決!西短・大島ー二松学舎・秋山~第5ブロック

 5つ目のブロックからは2勝で8強となる。5日目の第3試合は西日本短大付(福岡)と二松学舎大付(東東京)の好カード。西短の右腕・大島柊(3年)、二松学舎の左腕・秋山正雲(3年)の投手戦に期待したい。春夏連続の京都国際は、前橋育英(群馬)と。2年生中心ながら、センバツ以降、急速に力を伸ばす京都国際が、関東の強豪に挑む。ここは4チームともかなり力がある。

智弁和歌山に宮崎商が挑む~第6ブロック

 6日目の第1、第2が6つ目のブロックで、優勝候補の智弁和歌山は、春夏連続の宮崎商と。センバツで天理(奈良)に完敗も、好投手・達孝太(3年)から適時三塁打を放って気を吐いた宮崎商の中村碧人主将は、「すごく楽しみ。守りからリズムをつくりたい」と春の雪辱を誓った。10大会連続の作新学院(栃木)と対戦するのは、夏の甲子園で25年ぶりの勝利を狙う高松商(香川)で、ともに優勝経験がある名門校だ。

好投手の樟南に三重の強力打線~第7ブロック

 6日目の第3、第4試合が7つ目のブロックで、樟南(鹿児島)と三重の実力校がぶつかる。キレのいいスプリットを投げる樟南の好左腕・西田恒河(3年)を、県大会で猛打を見せた三重打線がどう打つか。日本文理(新潟)と敦賀気比(福井)の北信越対決も面白い。経験値で上回る気比がやや有利だが、文理の渡辺暁仁主将は、「打ち勝ちたい」と力勝負を望む。

智翠館の山崎琢は県大会決勝で無安打無得点~第8ブロック

 最後の第8ブロック。7日目に登場する石見智翠館(島根)ー弘前学院聖愛(青森)は、智翠館の好投手・山崎琢磨(3年)に注目。185センチの立派な体で、決勝で無安打無得点を達成した。聖愛打線がどう打ち崩すか。7日目第2試合に、浦和学院が登場して開幕戦の勝者と戦う。森士監督(57)が最後の指揮とあって、吉田瑞樹主将は、「日本一長い夏にしたい」と、恩返しを誓った。

第1、第2ブロックは激戦 大阪桐蔭は初戦がヤマ

 ブロック別に見てみると、第1ブロックは智弁学園が勝っても新庄ー横浜の勝者が相手で激戦が続きそう。第2ブロックは、名電、明桜、県岐阜商、明徳など注目校がひしめく。第3ブロックは、神戸国際ー北海の勝者と、専松ー明豊の勝者が有力だ。大阪桐蔭はとにかく初戦がヤマで、ここを突破すれば第4ブロックを抜けられそう。

日程運に恵まれる智弁和歌山、浦和学院

 日程運に恵まれる第5ブロックは激戦。投手力のいい西短と二松学舎、京都国際と前橋育英も僅差勝負が予想され、どこが勝ち上がるか。第6ブロックは智弁和歌山が総合力で8強に最も近い。第7ブロックは経験値で気比か。第8ブロックは、浦和学院の総合力が高い。準々決勝もこの有利なブロックの勝ち抜けチーム同士が当たるので、勢いに乗ったチームが大阪桐蔭などを脅かしそうだ。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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